担当者 | 古市 将人教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択必修 2単位 [国際経済学科] | |
科目ナンバリング | PFP-202 |
あるAさんが貴方に次の質問をしたとしよう。「この道路をつくる時の税金を君は払っていない。だって、その時君は生まれていなかった。だから、君はこの道路を通ることが許されない」。貴方はこの議論が変だと思うだろう。しかし、なぜそう言えるのか。商店で150円の価格のジュース1本を買うことは、「150円」と「ジュース1本」が対応していることを意味している。つまり、ジュース2本が欲しければ、300円をお店に支払わなければならない。Aさんの質問は、取引における「買い逃げ、食い逃げ」を念頭に置いているのだ。さて、生まれる前に作られた施設を私たちが利用することは、何を意味しているのだろうか。
私たちが日々享受している公共サービスの世界には、ジュースとお金の関係が必ずしも当てはまらない。例えば、あるBさんが、「私は、隣のCさんよりも、20倍税金を納めている。だから、Cさんの20倍の公共サービスを受け取るべきだ。または、私の子どもはCさんの子どもの20倍の教育サービスを受けるべきだ」と発言したとしよう。おそらく、多くの人はこの発言に違和感を覚えるであろう。実際、公共支出の世界においてBさんの論理は成立しない。
納税額の計算に公的サービスの利用量を考慮することはない。公的サービスの利用に、納税額が必要となることもない。しかし、公的サービスを皆が享受し、皆でその財源を負担しているのは間違いない。いかなる仕組みで、税が納税者に
課せられ、人々に公的サービスが供給されるのだろうか。この問題に答えるには政府予算について学ばなければならない。
公的サービスを賄うお金の徴収と分配の実態を明らかにし、社会の秩序とその安定を図る政府の活動を分析する学問のことを財政学という。本講義では、教育財政、社会保障財政、政府間財政関係を理解するために必要な知識を扱う。最終的には、近年の諸改革を理解・検討するのに必要な知識・考え方を履修者に提供する。
本講義の到達目標は以下の通りである。
(1)基本的な財政用語を理解し、その意味を説明できる。
(2)再分配政策が必要とされる基本的な理由を説明できる。
(3)教育財政の基本を理解し、その役割を財政学の観点から説明できる。
(4)公的年金制度の役割を理解し、それを説明できる。
(5)再分配政策に関する各種指標を計算することができる。
毎回の講義後課題の点数(45%)と試験の点数(55%)によって、基本的に成績を評価する。ただし、以下の加点措置を実施する。
履修者は加点レポートを提出することができる。レポートの提出者にはレポートの点数が上記の点数に加点される。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 講義にて講義ノートを配布する。参考文献と講義の内容との関係については、講義にて説明する。 | ||
参考文献 | 『財政学 改訂版』 | 神野直彦 | 有斐閣、2007年。 |
参考文献 | 『福祉財政』 | 高端正幸・伊集守直編 | ミネルヴァ書房、2018年。 |
参考文献 | 『貧困』 | 駒村康平編 | ミネルヴァ書房、2018年。 |
参考文献 | 『日本財政の現代史Ⅲ 構造改革とその行き詰まり 二〇〇一年~』 | 小西砂千夫編 | 有斐閣、2014年。 |
参考文献 | 『私たちと公共経済』 | 寺井公子・肥前洋一 | 有斐閣、2015年。 |
初回講義時に、各回の講義概要、各回の到達目標とキーワードなどを整理した資料を配布する。講義の冒頭で、前回講義の復習(約5〜10分)をする。そのため、配付資料を参考に、キーワードの定義を確認しノートに整理する、講義ノート内の例題・練習問題を自分で解き直す、到達目標を確認するといった、復習と予習を履修者はすることが望ましい。また、配付資料を参考に、次回のキーワードや到達目標を調べることや、次回の授業概要や参考文献の対応箇所を読むことで、履修者は予習をすることが望ましい。
経済学の基本(需要曲線と供給曲線など)を復習していることが望ましい。財政学Ⅰの履修者は本講義で知識を深めることができる。第4回目のオンライン授業を別の回に変更する場合がある。そのときは事前に講義内で連絡をする。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 財政学とは何か |
第2回 | 市場経済と政府の役割 |
第3回 | 再分配政策の基本(1):なぜ、再分配は必要なのか? |
第4回 | 再分配政策の基本(2):格差の測り方について ※この回はオンライン授業(LMSのオンデマンド形式)を予定している。 |
第5回 | 教育政策と政府の役割について(1):なぜ、教育への税財源投入が正当化されているのか。 |
第6回 | 教育政策と政府の役割について(2):教育への税財源投入の範囲とその妥当性について |
第7回 | 地方財政の理論と実際(1):日本財政における地方財政の重要性 |
第8回 | 地方財政の理論と実際(2):地方交付税の役割とその仕組み |
第9回 | 租税論(1):租税論入門と 累進課税について |
第10回 | 租税論(2):所得課税の理論とその仕組み |
第11回 | 租税論(3) 消費課税の理論とその仕組み |
第12回 | 公的年金制度の役割とその仕組み(1):なぜ、公的年金制度が必要なのか |
第13回 | 公的年金制度の役割とその仕組み(2):公的年金制度の近年の動向 |
第14回 | 医療保険制度と介護保険制度について |
第15回 | 再分配政策の効果と評価について |