日本経済入門Ⅰ
担当者岡本  勉教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [国際経済学科]
科目ナンバリングECP-101

授業の概要(ねらい)

 コロナ感染が広がった2020年の春、政府はコロナ対策として、1人10万円を配布しました。
 お年寄りから幼児まで、すべての国民に10万円ですから、君たちも、受け取ったと思います。家族分は世帯主にまとめて入金されるので、あれ?受け取っていない
という君は、お父さんなりお母さんに尋ねてみてください。
 さて、この10万円、テレビのワイドショーでは、キャスターやコメンテーターが、政府の対応が遅いと言って批判していました。
 しかし、10万円を日本の国民1億2000万人に配ると、12兆円(!)という巨額のお金になります。政府の対応が遅いと批判するコメンテーターは、
その12兆円をどう準備したのか、知っているのでしょうか?君は知っていますか?
 そして、実際に資金を私たち国民ひとり一人に振り込む手続きをするのは、どこだと思いますか? 政府? とんでもない。その作業をするのは、政府ではなく、
君たちの住んでいる市町村の役所です。あのとき、振り込まれるのが遅いと政府を非難するキャスターもいましたが、その人の住んでいる市町村の対応が遅いのです。政府ではありません。
 私たちは、事実を知らないまま、テレビに引っ張られて、何かを批判したり、非難したりしているということが、しばしばあります。
 事実を知らないで、ただ批判だけするというのは、無責任です。
 NHKは、朝7時、正午、夜7時に、ニュースを放送しています。このニュースでは、まず、政治、経済のニュースが報じられます。
 君は、そのニュースが理解できますか? 
 帝京大学に入り、経済学部の1年生になった君に、あるいは、進級して2年生、3年生、4年生になった君に、経済の基礎、とくに、日本経済の過去、現在を知ってもらう。
 経済学部の学生としてはずかしくない知識と考え方を持ってもらう。それが、この講義の狙いです。
 1年後には、この講義を聴くすべての君たちが、NHKのニュースが分かるようになったと言えるようにしたいと思います。

授業の到達目標

 講義は、春学期のⅠと、秋学期のⅡに分かれます。
 春学期は、日本経済の基礎的な知識を学びます。
 「そうか、経済って、おもしろいんだ」「そういうことだったのか」と理解することを目指します。
 秋学期も、春学期より一歩踏み込んだ内容を学びます。
 そして、NHKニュースが、「なるほど、そういうことか」と分かり、ニュースの内容を、君の家族に説明できるようになることを目指します。

成績評価の方法および基準

 コロナの感染状況によっては、2021年度もオンライン講義になる可能性があります。
 その場合、音声による解説と、文字で書いた資料を帝京大学のネットにアップします。
 そして、最後に、毎回、課題を付けます。
 毎回、課題の提出で、その回の出席とします。
 課題の提出回数、つまり、出席回数の少ない人には、単位を出せません。
 また、最後の授業では、学期末の試験を実施します。
 毎回の課題の答えと、試験の答案で、その学期の評価をつけます。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 新聞、テレビ、あるいはネットでもかまいませんが、毎日のニュースを、しっかりウオッチしてください。新聞を取っている人は新聞を読み、取っていない人は朝か夜のNHKニュースを見るよう、心がけてください。



教科書 特定のテキストは使用しません。
参考文献
参考文献 適宜紹介する。

準備学修の内容

 経済は、すべてのことの土台になります。経済は、政治、国際、社会のすべての分野に関係してきます。
 スポーツにも経済が関係します。例えば、東京五輪が、なぜ最も暑い真夏に開かれるか、知っていますか?それは、経済が関係しています。
 君は、ニュースの渦巻く世界で生きています。
 いま、日本と世界で、何が起きているのか、日々のニュース、あらゆるニュースにしっかり関心を持ってください。

その他履修上の注意事項

 この講義のためのノートを一冊、用意してください。
 小さなノートではだめです。
 大きなノート、A4サイズのノート、いわゆる大学ノートを用意してください。
 授業でも話しをしますが、いま、日本も欧米も、書類は、A4が正式な規格です。
  講義の内容を、しっかりと、ノートに取ってください。
 そして、大事なことは、講義ごとに1冊ずつ、ノートを取ることです。
 日本経済入門で1冊、ライフデザインで1冊、ほかの経済の科目でも1冊ずつ、です。
 1冊のノートに、いろんな講義の内容をごちゃごちゃに書き込んではいけません。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス
大学での心構え、勉強の仕方、講義の進め方などを、説明します。


第2回コロナ対策のお金はどこから出ているのか?
 安倍首相、菅首相のもとで、コロナに対応するためのたくさんの政策が打ち出されました。
 君たちにも関係したのは、2020年、国民一人ひとりに配られた10万円です。
 テレビのワイドショーでは、決定が遅いとか、支給が遅いとか、さんざんに批判されました。
 君たちも、ワイドショーを見て、政府を批判したかもしれません。
 では、問います。
 その10万円、政府は、どうやって調達したのでしょうか?
 それを知らなければ、政府を批判しても、まったく意味がありません。
 あの10万円は、政府が補正予算案というものを作成し、国会に提出して、与野党で審議し、国会で可決して、
ようやく、財源が確保できたのです。
 それだけの手続きをすると、当然、時間がかかります。
 でも、それが、民主主義です。
 そのことを、理解してもらいます。
第3回世界における日本のポジションを知っていますか?
 今回と次回で、日本経済の基本的なデータを確認してもらいます。
 日本は、世界経済でどんなポジションにあるでしょうか。
 各国の経済の大きさを比べるには、どうすればいいでしょうか。
 日本は、実は、GDPで見て、いまも世界第3位の経済大国です。
世界における日本の位置を知ってもらいます。
第4回日本は広い海洋国家であること
 日本は面積的に小さな国と見られることがありますが、それは、とんでもない誤解です。
 日本の面積は37万㎢あり、ドイツやイギリスより広いのです。
 北海道だけで、韓国と同じぐらいの面積があります。ちょっと驚くでしょう?
 日本は島国というイメージもありますが、逆にいうと、海が広大です。
 排他的経済水域(EEZ)は、世界の第6位という広さです。日本は広い海洋国家です。
 日本についての誤解を払拭してもらいます。
第5回東京五輪はなぜ真夏に開かれるのか? 1回目
 2021年の東京五輪は、無事、開かれるでしょうか?
 7月に、コロナが終息していればいいのですが。
 この講義のころには、だいたい、方向性が見えていると思います。
 しかし、なぜ、東京五輪は、暑い暑い7月から8月にかけて、開かれるのでしょう。
 前回、1964年の東京五輪は、日本のベストシーズン、10月に開かれました。
 それがどうして、2021年は、7月、8月なんだろう。
 それは、五輪を取り巻くお金、とくに、スポンサーの思惑が絡むからです。
 いまや、五輪は、経済の動きによって、動くようになりました。
第6回東京五輪はなぜ真夏に開かれるのか? 2回目
 国際五輪委員会(IOC)は、そう簡単には、五輪の開催を中止するとは言えません。
 なぜか?
 中止すると、IOC に入るお金、収入が激減するからです。
 もちろん、お金だけではありません。
 ほかにも、五輪が夏になってしまう原因がいろいろあります。
 五輪は、すっかり変質してしまいました。
 その背景を探ります。 
第7回コロナと日本経済
 コロナの影響で、日本経済は、成長が鈍化しました。
 では、経済の成長は、どうやって計測するのでしょう?
 それがGDP(国内総生産)です。
 日本のGDPの中身は、どうなっているのか?
 コロナで、GDPは、どう減ったのか?
 そして、どう回復しているのか?
第8回コロナと日本の財政
 コロナで景気が落ち込み、政府は、2020年、21年と、大きな経済対策を打ちました。
 経済対策の中身を、君は、知っていますか?
 対策には財源が必要ですが、その財源を、政府は、どうやって確保するのでしょう?
 テレビのワイドショーは、無責任ですから、その財源のことも知らずに、政府の対策を批判します。
 結論からいうと、経済対策の財源は、国債を発行して調達します。
 国債を出すと、日本の財政赤字は、増えます。
 コロナで、日本の財政赤字は、拡大してしまいました。
 対策を打つのも、大変なんですよ。
 その実態を見ます。
第9回日本の財政赤字
 日本の財政赤字が大きいということを、君たちも、よく聞くと思います。
 では、赤字は、どのぐらい大きいのか。
 世界各国は、どうなっているのか?
 それを勉強します。
第10回日本と少子高齢化 1回目
 日本は少子高齢化だということを、ニュースでよく聞くと思います。
 でも、日本の総人口は、いま何人いるか、知っていますか?
 出生率って知ってる?
 少子高齢化、少子高齢化というけれど、説明してよ、と言われると、説明できないでしょう?
 その実態を学びます。
第11回日本と少子高齢化 2回目
 団塊の世代という言葉を聞いたことがありますか?
 第一次ベビーブームと、第二次ベビーブームのことを聞いたことがありますか?
 日本はどうして子供の数が減ってきたのでしょう。
 じゃあ、世界各国は、どうなっているのでしょう。
 そもそも、日本って、本当にそんなに人口少ないの?
第12回年金は不足すのか?
 若い君たちに、年金の話は、まだピンと来ないかもしれません。
 しかし、老後の生活に、年金だけではどうしてもお金が足りないという話を聞くでしょう?
 本当にそうなんだろうか?
 そもそも、年金って、何?
 年金が足りないって、そもそも、どういうこと?
第13回GAFA
 経済は、冒頭に述べたように、幅広い分野を扱います。
 今回は、がらりと趣を変えて、GAFAをやります。
 君は、GAFAが何を意味するか、分かりますか?
 GAFAって、何?
 日本にはGAFAはあるのだろうか?
第14回G7サミット
 毎年、だいたい夏前に、G7サミットという国際会議が開かれます。
 G7サミットという言葉を聞いたことがあると思います。
 では、G7って、何でしょう。
 日本はG7サミットがスタートしたときから、重要な一員です。
 G7サミットに入りたいという国も少なくないのですが、G7サミットって、入れるの?
 G7サミットの歴史と現状を学びます。
第15回まとめと試験
 最終回の15回目は、期末の試験をします。