担当者 | 高梨 利恵子教員紹介 | |
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単位・開講先 | 必修 2単位 [心理学科 2017年度以前] | |
科目ナンバリング | PSY-202 |
臨床心理学は、医療や教育、産業、福祉、司法などの現場で役に立つことを目指した実践的な心理学である。各種の臨床現場で活躍する臨床心理の専門家は「科学者ー実践家モデル」に基づき養成され実践を行うことが求められるが、これはしっかりと基礎心理学を修め、心の仕組みの科学的理解を踏まえた実践の重要性を物語っている。
一方、患者やクライエントなどの臨床心理学の対象者は、きわめて個別的な問題を抱え、主観的な苦しみを体験している。したがって、科学的・客観的な視点と、具体的な目の前の対象者の理解とかかわりという実践のバランスを保ち続けることはそうたやすいことではない。科学的な知見にばかりに目が行くと、わかった気になってしまい、肝心なそこにいる対象者のその場での苦しみを理解し損ねることにもなりかねない。
「心理学基礎演習Ⅰ」では、このようなバランスを意識しながら、臨床心理学の基本的な各種パラダイムについて、文献をもとにディスカッションを行う。パーソナリティ理論や、精神分析、人間性心理学、学習理論、認知理論、その他のパラダイムが取り扱われる。それらのパラダイムのエビデンスや臨床での応用の実際が検討される。「心理学基礎演習Ⅱ」では、「心理学基礎演習Ⅰ」で取り扱ったパラダイムを適宜用いながら、臨床心理学の対象となる心理的障害の理解と支援について学ぶ。具体的には気分障害や様々な不安に関連した障害、統合失調症、発達に関する障害などの問題を扱う予定である。それぞれの障害の経過とともに、アセスメントの方法、生物・心理・社会的な治療や支援について理解を深める。
1)必要な文献を集め、内容をまとめることができる。
2)考えや疑問を明確にし、効果的にプレゼンテーションやディスカッションができる。
3)臨床心理学のパラダイムや対象について説明ができる。
担当回の発表 30%、ディスカッションへの参加 20%、ミニテスト 20%、最終レポート 30%
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 臨床心理学 | 丹野義彦他 | 有斐閣 |
参考文献 |
発表担当1週間前に発表グループによる打ち合わせを行うため、その準備をすること。発表担当者は資料を作成して配布すること。
発表担当者以外の履修者も指定個所を読み、自分の関心や疑問点を明確にしてディスカッションの準備をすること(ミニテストを行い事前準備の確認を行う)。
他の履修者の邪魔となるような行為はしないこと(私語、携帯電話など)。
実践的な学問であることを念頭におき、知識として理解するだけにとどまらず、身近な自分の心の動きや実体験と照らし合わせ理解しようと試みること。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 以下は予定であるが、登録学生の人数や理解度等により変更もある。 オリエンテーション 発表担当割り振り |
第2回 | 心理的障害の見取り図 |
第3回 | うつの理解と支援について発表とディスカッション |
第4回 | 躁の理解と支援について発表とディスカッション |
第5回 | 社交不安症の理解と支援について発表とディスカッション |
第6回 | パニック症の理解と支援について発表とディスカッション |
第7回 | 強迫症の理解と支援について発表とディスカッション |
第8回 | 心的外傷後ストレス障害の理解と支援について発表とディスカッション |
第9回 | 統合失調症の理解と支援について発表とディスカッション |
第10回 | パーソナリティ障害の理解と支援について発表とディスカッション |
第11回 | 身体の不調に関連する心理的障害の理解と支援について発表とディスカッション |
第12回 | 発達に関する障害の理解と支援について発表とディスカッション |
第13回 | 認知症の理解と支援について発表とディスカッション |
第14回 | 演習を通して学んだことの振り返り(オンライン) |
第15回 | まとめと展望 |