民法総論Ⅰ
担当者李  采雨教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングCIL-101

授業の概要(ねらい)

 民法は私法のベースであり、さらに、民法総則は民法の根幹をなしている。したがって、民法総則に対する正しい知識がなければ、私法全般にわたる理解は不可能であろう。講学上の民法総則は民法典第一編の「総則」にとどまるが、民法総則のルールは私法全般にわたって及んでいる。そこで、本講義では、大学における専門科目として民法を学ぼうとする受講生を対象とし、将来、専攻としての法学を進めていくための基本的な考え方の理解を培養することを目的とする。

授業の到達目標

①学問としての民法を学習するための民法総則の条文(1条から174条まで)と判例を学ぶこと。
②民法総則のみならず、私法全体を理解するための基本ルールを身につけることを目標とする。

成績評価の方法および基準

①試験:100%、定期試験によって評価する。ただし、オンライン授業が行われる場合、LMSによる確認問題と期末課題によって評価する。
②出席率が60%に達しない場合、評価を行わない。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『民法概論1——民法総則』山野目章夫有斐閣
教科書『Legal Quest 民法Ⅰ総則』佐久間毅・石田剛ほか有斐閣
参考文献『民法講義Ⅰ民法総則』近江幸治成文堂

準備学修の内容

 大学における専門科目を理解するために、予習と復習は不可欠である。講義の終了時には次回の範囲を告知するので、予習の上で講義に臨むのが望ましい。さらに、講義中に扱った判例については、その重要性に鑑み、判例全文の確認の上で、『民法判例百選I 総則・物権〔第8版〕』(有斐閣・2018年)または『民法1 総則 民法判例30!』(有斐閣・2017年)などの判例解説集から、論点を把握する。最後に、法律用語は一般用語とは異なり、重要な意味合いを内包しているので、学習の際には『法律用語辞典〔第4版〕』(有斐閣、2012年)、『法律学小辞典〔第5版〕』(有斐閣・2016)を参照し、正確な意味を把握しておく。

その他履修上の注意事項

 上記の教科書をベースとして講義を行うが、必携ではなく、他の定評のある、または自分に合う体系書および教科書を持参することも可能である。そして、講義中、法律条文を参考とする場合が多いので、できる限り、最新の六法を必携する。スマホやノートパソコンのような電子媒体も認めるものの、可読性のために紙媒体をすすめる。また、学習に無関係な電子機器の操作や私語は厳禁である。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション 民法とは何か:民法の意義および沿革
第2回民法の基本理念Ⅰ:総論、①私権の公共性
第3回民法の基本理念Ⅱ:②信義誠実の原則、③権利濫用の禁止
第4回権利能力と意思能力Ⅰ:権利能力
第5回権利能力と意思能力Ⅱ:意思能力・失踪宣告・不在者の財産管理
第6回制限行為能力者Ⅰ:制限行為能力者とは、①未成年者
第7回制限行為能力者Ⅱ:②成年後見制度
第8回法人制度Ⅰ:法人総論・能力
第9回法人制度Ⅱ:対外関係・組織
第10回物の概念:権利の客体、物の概念、主物と従物、元物と果実
第11回法律行為Ⅰ:法律行為の概念
第12回法律行為Ⅱ:法律行為の解釈
第13回法律行為Ⅲ:公序良俗違反の概念
第14回法律行為Ⅳ:消費者契約と不当条項・任意規定と強行規定
第15回まとめ