スポーツ方法実習(野外活動)
担当者倉品 康夫
単位・開講先選択  1単位 [現代ビジネス学科]
科目ナンバリングHSS-201

授業の概要(ねらい)

1.概要
《本キャンパスの「地の利」"locational advantage"を活かした野外活動》
 帝京大学は「自然が残る都市近郊」にあります。この豊かな多摩の身近な自然、学習資源を最大限に活用して楽しく学ぶ野外活動スポーツ実習です。

2.はじめに
《3~5名の『グループワーク』》
履修者を分けて3~5名の少人数で密集・密接を避けて活動します。師弟同行(どうぎょう:教員と学生が教育的実践を通してともに学びあう、励ましあう) 的に実施します。

3.日程
 里山2回(基礎授業含む)と高尾山1回の3日間及び試験のセットで実施します。


4.指導システム概要について
《全員が交代でリーダーになる》
 全員が交代でリーダーになる1日責任リーダー輪番制です。 「重層的な指導システム」(『キャンプ研究2016』p62)をOJTで実施します。
※OJT:現任訓練

《重層的リスク管理》
 指導担当スタッフ学生が自身が考え他の学生を指導して教員がそれを指導者になる為の指導
(スーパーバイズ)をします。教員は参与的な観察レベルで常に全体を俯瞰してリスクをチェックできる「重層的な指導システム」で安全を確保します。

5.コミュニケーション方法について
《SNSを活用した協働事業》
 また、リーダーの輪番制はSNSによって自発的に永続する仕方で組織立てられます。リーダー体験内容は支援ツールで申し送られ、経験が分有されます。次回、リーダーは前回リーダー申し送りを参考に、計画や企画まで発展させ、工夫を形にして、より高次に再現します。

6.地の利を活かす活動
《地の利を活かしキャンプ指導者となる為に》
フィールドには大学最寄りの多摩センター駅からバスで10分の近さなので足繁く通います。
《実施プログラム》
 ①キャンプ(野外生活技術)、②ハイク・周辺谷戸山及び高尾山(登山技術)、③ロゲイニング(地図読図周辺競歩)、④冒険プログラム(木登り、ロープワーク)、⑤里山体験(田植え・間伐等野外教育)⑥野外食育プログラム(野外生活技術)等を複合して行います。

7. 実施プログラム概要及び留意点の確認
 ①野外生活技術:学生が指導者になる為の指導がねらいなので基本が実践できて、教えられるスタッフを養成しつつ実習します。
 ②ハイク:里山の谷戸山でも登山技術は習得しますが、それ以外にも良質な大自然にふれることも課題です。そこで、大学から程近い、保全された裏高尾の自然も探勝します。
 ③周辺ロゲイニング:広い谷戸のポイントを携帯のカメラで撮影し、地図を作りポイント『グループワーク』で周ります。
 ④冒険プログラム:いざという時や将来の災害時に困らないよう、危機を想定した「楽しく身につける冒険体験」として、小学校で導入されているPA的ハイエレメントの木登りロープコースの設置及び指導を実施します。
 ⑤里山体験(田植え・間伐):地主の好意で田植えを二枚行います。また、里山の手入れとして竹等を切ることもあります。
  プレ田植として、水田の中で相撲をとる、サッカーをする。また、安全に木に登ってみます。
 ⑥野外食育プログラム:耐火煉瓦によるピザ釜を組み立てて、調理方法を検討、『討議』します。
※質問すること:疑問点はできるだけ、共有して、その場で解決できればと考えます。それがリスクマネジメントにも貢献します。
※以下「谷戸(やと)」とは、丘陵地が浸食されて形成された谷状の地形を指します。
 以上

8.【重要】事項の確認
《諸連絡に関する注意》
諸連絡は掲示等を通じて行います。
・履修登録手順
・実習費用振り込み期日
連絡方法はLMS➡️LINEに移行します。

授業の到達目標

 2.1【当事者として主体的に活動することができ、交互に仲間を指導することができる】
 移動距離が短い、全日程日帰り、費用も安く抑えた、「安近短」のキャンプです。里山百選に選ばれた小野路に位置する谷戸で、東京とは思えない山奥に足しげく通いつつ、ピアサポート・仲間同志で指導しあい、「学生が主体的に活動すること」が最大の特徴です。※注意点:そのためには学生が担当プログラムの全体指導ができるように事前に個別的指導を受けることが前提になります。
 2.2【裏山に登れことができる・常に「こんなとこ、どうやってやるの…」に挑戦することができる】
 合言葉は「裏山に登れ」。これは石巻市の大川小学校からの教訓です。※2020年12月に4回目のフィールドワークに伺いました。
2011年3月11日の東日本震災以降、戦後最大の歴史の断絶と転換点から、さまざまな観点における、自助・共助みんなが生き残れる国民的サバイバルについて考えることもキャンプの目的です。キャンプ場は里山の谷戸の田んぼにあり、周囲を谷戸山に囲まれています。谷戸までの往復には、斜面を上り下りします。
 その他、常に「こんなこと、どうやってやるの…」の想定外に挑戦します。目標は「想定外という言い訳」を無くすです。
 2.3【ふりかえりにおいて様々な考えを述べることができる】
 2.4【参考文献を読み問題提起・質問等ができる】
 2.5【担当プログラムの指導案を書くことができる】
 2.6【リスクを間違って見積もる根拠のない自信、思い込みを客観的に分析できる】※メタ認知とも云います。
 以上、これらが行動指針キーセンテンスです。

2.7 誰かがやるのを期待するではなく…
 本キャンプは、参加学生自身がキャンプ場の施設作成に関わり、当事者意識や多様な役割行動能力、キャンプの創造・運営能力を養います。
 誰かがやるのを期待するではなく、自分達でやって楽しむ・体験する。これが、今後の生涯スポーツとしてのキャンプの重要なテーマです。

2.8 「主体的に為す事によって学ぶ」の実践
 将来、教育現場で学年キャンプ、クラスキャンプを実践する際・地域でキャンプをする(災害による「キャンプ活動」をふくむ)時に使える力は「主体的に為す事によって学ぶ」実践によってのみ育まれると考えます。
 その際、指導者が使ってはいけない言葉は「団体行動だから」。使う概念は「和、責任、自立、共生、共有」となります。
 そもそも、キャンプとは「団体行動」とは何かを根本的に身体活動を通じて理解させることです。
 学校現場等で「手垢ついた」の常套句をイニシエーション(「つかみ」)の段階で教条的に使いません。迂遠(遠まわり)ですが「ふりかえり」の段階で体験から「手垢のついた言葉」である「団体行動」から解放された明確化や概念化の段階が聞けるような仕組み作りが目標と考えます。

2.9 具体的到達目標の例
 野外生活技術指導法(ブッシュクラフト)及びリスクマネジメントにおける具体的到達目標の例:
鋸(のこぎり)の使い方及び安全の指導ができる。火の起こし方及び安全の指導ができる。火を起こして、米を炊くこと及び安全の指導ができる。本結びを結ぶことができる指導ができる。エイトノットの結び方及び応用(人の身体に結んで引き上げるロープワーク)を子どもに教えることができる。

成績評価の方法および基準

3.1 成績評価の方法および基準
 上述の主体性・当事者性を参与的に観察して評価します。観察する具体的内容及び態度は以下のようです。
・主体的に活動しつつ(※やる気・エンゲージメントとも云う)、仲間とも交流して作業を進めている。
・仲間と挑戦、チャレンジしている姿勢(※自己効力感を高める行動)。
・安全に配慮した行動をして(※自分の行動を客観的に分析している)、仲間に伝達している。
・質問力:わからないことが解る問題解決能力。

3.2 レポートについて
 実習二日目にレポートテーマ設定及びグループ作りを『討議』します。キャンパスからの近さを活かし、学生諸兄姉はキャンプ場に足しげく通いながら、仲間とともにテーマについて考え下さい。その成果を、設定したテーマ毎に最終日の講義及び試験の日に『プレゼンテーション』します。その際の質問、『ディスカッション』を重視します。
※質問して、討議するのは発表者に対する「礼儀」です。
 レポートの全体テーマを事前に発表します。それに沿って設定したグループ毎のテーマに取り組みます。その進捗作業を中間的にも相談・討議しつつ進めます。
 また、参考文献を読みキャンプ中に問題提起・質問等ができることも評価の対象です。また、毎活動後の「ふりかえり」「自己変容の語り」も重視します。SNSを利用して「ふりかえり」を共有する場合もあります。
 評価の配分割合:目標到達度60%・レポート20%・ふりかえり及び質問等20%

3.3 レポートテーマ予定
「大学キャンプ指導者養成を楽しく学ぶための
問題点」

 以上




教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書2012、『スポーツビジネス概論』  黒田次郎・倉品康夫ら叢文社
教科書※以下、2.4で述べた生涯スポーツについて言及した資料を倉品康夫 cinii で検索して読んでおくこと。
教科書 『野外活動における冒険プログラムの役割』1997、 ※目標:冒険プログラムの構造を説明できる。倉品康夫ほか日本体育学会
教科書 『ポール・ウォークを考える:ストックを使って上半身を活用し積極的に登山・野外活動を行なう』1993、 ※目標:登山技術として杖の使い方を説明できる。倉品康夫日本体育学会
教科書 『スポーツを育て支えるスポーツ推進委員の在り方とは:「新たなスポーツ文化」ネットワークを創る試み』2012、 ※目標:地域での生涯スポーツの普及促進について自分なりの展望を持てる。倉品康夫日本体育学会
教科書『《小乗》スポーツを大乗化する試み:スポーツの負の部分が顕在化する昨今、改めてスポーツが人々の幸せに貢献するあり方を考える』2014、日本体育学会『スポーツと仏教と倫理 : スポーツだけがすごく高貴なもの、高等なものという発想を止める』2015、 ※スポーツイベントの熱狂について自分の意見をもつことができる。倉品康夫日本体育学会
教科書www.camping.or.jp/JJCS192015.pdf
「キャンパス近くの自然を生かした活動…」『キャンプ研究No.19』pp61-66 ※レポートを書く際に言及すること。
倉品康夫ほか公益社団法人日本キャンプ協会
教科書http://www.camping.or.jp/JJCS232020.pdf
もしくは
日本キャンプ協会 キャンプ研究 vol.23
で検索して下さい。
《実践報告》
野外で『うまい飯を炊く』調理法の検討 ー飯盒炊飯を負の歴史から考えるー
『キャンプ研究No.23』2020.pp41-45
《地域研究》
地域研究:里山キャンプを考える
『キャンプ研究No.23』2020.pp47-51

※今回の実技の導入、共通理解のレポートです。このレポートの通読、共有が前提になります。
倉品康夫ほか 宮内麻里香、柏木舞、 滝島慎、露木拓実
公益社団法人日本キャンプ協会
参考文献帝京大学短期大学紀要 (40), 31-39, 2020

ハイハイ運動身体文化を考える
Considering of namaskar as core exercise
コロナ禍の室内運動について
倉品康夫帝京大学短期大学
参考文献

準備学修の内容

 【予習】前述、生涯スポーツについて言及した資料を 倉品康夫 cinii 等で検索して読んで、キャンプ中の評価の対象である問題提起・質問等ができるように準備すること。
 【復習】各実習及び準備学習・調査で全体の「ふりかえり」をするが、さらに学習者自身が自らの知識や体験、感情などを見つめ、その学び(意味を構築するプロセス)を、反映できるようにすること。

その他履修上の注意事項

※注意:
候補日程: 
5/09(日),5/16(日),5/23(日),5/30(日),
6/06(日),6/13(日),6/20(日),6/27(日)
7/04(日),7/11(日),
7/18(日)試験
の日程を考えます。
この他に土曜日が可能な授業日程も検討します。
履修者の人数と希望日を調整して、各自の3日間の日付を決めます。
※この日程調整はSNSで行います。
※様々な緊急事態、東京五輪開催等の影響を受けにくい、実習方法を追求します。
※早めに履修者全員のSNSがつながらないと、日程調整からスタートできませんのでよろしくお願いします。

プログラム内容補遺:
《キャンプ場整備》
トイレ作り、機材チェック、周辺探索、田んぼ、田植え準備、ピザ釜準備。
《ロジスティックス》
薪作り、食料予算計画予算編成及び管理。
ブッシュクラフト、周辺探索。
《高尾山事前調査》
コース確認、リスクマネジメント。、薪作り、
《プログラム準備》
ブッシュクラフト、木登り・ハイエレメント作成、ロゲイニング準備。
《リスクマネジメント》
ヒヤリハッと事例共有。

※以上、計画は目標実現の為にある。ゆえに目標実現の為に予定は変更される場合があります。

 【会計・実習参加費5,000円の予算計画,執行及び収支報告】
 【自然に負荷をかけない活動】
 ゴミは出さない、すべて持ち帰る。
 【保険について】
 リスクマネジメントの観点から保険の内容について確認し、共有する。
 【注意点】
 大学の健康診断を受診することが受講の条件。
 キャンプ活動にはホームセンターのゴム長靴が便利。
 雨具はゴム引きのズボンと上着がベスト。安価な雨具は無力である。
 着替えを用意しておくこと。

【取得資格等】
学習のプロセスを通して単位取得者は、社団法人日本キャンプ協会の「キャンプインストラクター」の資格を取得することが可能です(全回出席単位取得前提条件)。別途以下の登録諸費用15,000円がかかります。
内訳@受験料1,000円 公認料4,000円 登録料1,000円 キャンプ協会入会金2,000円
キャンプ協会年会費5,000円 事務手数料2,000円
※資格取得費用は金額が変更になる場合があります。
※納入方法:経理GLに費用納入後、領収書を教務GLに提示してください。
※実習のみの学生は5,000円、資格認定も希望する学生は総額20,000円となります。

授業内容

授業内容
第1回場所:町田市小野路
集合場所
多摩センター8番バス乗り場付近
9:00
健康チェック
食料買い付け
09:30 バス乗車
準備運動
ハイキング
キャンプサイト到着
グループワーク
 説明等終了後、自己紹介・役割分担・日程確認。
計画打合せ。献立及び予算確認。
インタープリテーション、調査実施。火起こし・倉庫整理・テント・おやつ・振り返り。解散
第2回         〃
第3回         〃
第4回         〃
第5回場所:町田市小野路
集合場所
多摩センター8番バス乗り場付近
9:00
健康チェック
食料買い付け
09:30 バス乗車
準備運動
ハイキング
キャンプサイト到着
グループワーク

《野外料理等》
 活動概要:里山体験、野外生活技術及び野外料理実習、ブッシュクラフト、レポートテーマ設定
 縄の結び方,ブッシュクラフト,炊き込みご飯,ネーチャーゲーム,
里山チャレンジ,田植え,野外生活技術,野外料理実習とブッシュクラフト.
お昼寝,片付け. 
振り返り 


       
第6回         〃
第7回         〃
第8回         〃
第9回         〃
第10回9:00~16:00 
高尾山
集合場所:
高尾599ミュージアム (タカオゴーキューキューミュージアム)
住所:八王子市高尾町2435番3
電話:042-665-6688
http://www.takao599museum.jp/about/

健康チェック
準備運動
ハイキング等
第11回         〃
第12回         〃
第13回         〃
第14回 《講義及び試験》
7月18日(日)(予定)
 9:00~12:30 場所:帝京大学八王子校舎
 活動概要:講義補遺,筆記試験及び実技試験(ロープワーク)
第15回【補講】8月初旬予定 ※試験日程終了後
 
以上、計画は目標実現の為にある。ゆえに目標実現の為に臨機応変に変更されるものとする。