ECCP(論理的思考)Ⅰ
担当者
単位・開講先選択  2単位 [国際経済学科]
科目ナンバリングSEM-203

授業の概要(ねらい)

 ECCP 有資格者を対象に2年生クラスとして開講します。ECCP論理的思考クラスは2年と3年時を通じて開講し、2年時からの対象者は2年間、3年時からの対象者は1年間を通して履修してもらうことを想定しています。3年次修了までを目指す第一歩として参加してもらいます。文系の論理的思考とは必ずしも数学的論理だけを意味しません。感情論理とよばれるものが加味して人を動かす論理が加味されて完成する場合が多いのです。クラスが目指すのは、自分の考え方に筋が通っていること、それをできるだけ正確に表現できること、を基本とします。人は「数字」か「ことば」でモノを考えます。ここでは「ことば」で考え、表現できるようになる論理的思考表現の完成を目指します。2年次クラスでは、ふだんの講義クラスでは触れることが少ないさまざまな現代事象をテーマにとりあげ、興味と視野を広げるとともに、自分なりの考え方をまとめる訓練をしていきます。講義の区切りごとに、その都度のテーマについて自分の考えを記述コメントし、提出してもらいます。コロナ感染症の拡大が見通せない中、昨年(2020年)度は全講義がオンラインで実施されました。今年度も事態が引き続き流動的ですので、変更等がありえることに留意しておいてください。

授業の到達目標

 3年時の論理的思考クラスへの準備期間と位置づけます。まずはNHK番組録画など映像記録を中心にすえて、さまざまな現代事象を通じて、興味の幅、視野を広げてもらう。現実社会の動きを身近に感じて、自分で考え、そしてまとめていく。たんなる感想を述べたり、書いたりするのではなく、問題点の分析、解決のあり方といった社会学的なアプローチの第一歩を意識してもらう。3年次への準備段階として、自分の考え、分析を手短にまとめて記述し、それを自己点検できるように訓練する。

成績評価の方法および基準

 講義で扱うテーマごとに、コメント意見、テーマに沿った小論を書くことを求めます。扱うテーマごとに自分の考え、分析をどれほどコメントや記述にまとめられるかを評価の基準とする。学期中、その内容を評価して最終考査に加える(40%)。最終講義でクラス内試験として小論作成もしくは読解力試験を行います(60%)。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献

準備学修の内容

 ふだんから国内外のニュースに関心を向けておくこと。社会動向をみて、何が議論になっているのか、自分なりの判断をもっておくこと。国内、国際を問わず、大きなテーマには時代背景や、それまでの歴史がこめられています。うわべを撫でた理解ではなく、幅広い情報収集と理解、それを総括できる「まとめる力」が大切。インターネットという無限大の電子図書館の活用も欠かせません。

その他履修上の注意事項

 2年次クラスでは映像資料をできるだけ活用します。また講義テーマは一回ごとに変わるか、テーマによっては2回連続で扱うことを基本とします。ECCPクラスでは出席が必須と心得ておいてください。扱うテーマは具体的にはその都度決めていきますが、大まかに国内テーマ、国際テーマと2分類し、それぞれ政治、経済、歴史、文化といった各種テーマに配分して組み立てます。毎年度、テーマには変更がありますが、シラバスを参考にして大まかな流れを理解しておいてください。前年および前々年度に扱ったテーマを参考にしてアウトラインを紹介しておきます。

授業内容

授業内容
第1回2年時ECCP論理的思考クラスの目標と狙いを解説して概論とします。2021年度は第1回をLMSオンライン講義として予定されていますので、注意してください。
第2回コロナ危機がもたらしたオンライン化による企業活動の進捗をどうとらえたらいいのか。これまでのビジネス慣行に改変を迫られている。そのシンボルが日本の「ハンコ文化」。ハンコがなければ正式文書とみなさないとしてきた慣行がどうなるのか。印鑑業界は生き残れるのか。新聞記事等から考える。
第3回印鑑には象牙が使われ、野生動物保護の観点から世界的流れに逆行すると、国際社会で批判の的となってきた。ハンコ文化の行方はどうなるのか。国際問題として印鑑ビジネス慣行を考える。
第4回SNSの浸透は、出版文化に大きな変化を強いている。かつて信州大学学長が入学式で「スマホをやめるか、信州大生をやめるか」と衝撃的な表現でスマホ依存から脱却し、「本を読み、考えよう」と訴えた。その報道記事をもとに学長の警鐘を考える。
第5回前回のテーマで議論を広げる。履修生の意見表明とコメント記述。
第6回映像資料「ホタルのふるさと」を観る。ほとんど知られていない九州川内川上流のホタルで町おこししている実話を考える。人々が自然の中で暮らし、ホタルという伝統資産を大事にすることが、そのまま町おこしにつながっている事例を知って、観光振興が陥っている巨大テーマパークや、巨大投資からの解放に一つのヒントがあるのではないか。(国内関連社会テーマ)
第7回LMSオンライン講義をオンデマンドにて実施する。
第8回人種と差別を考える。日本人とアフリカ系を両親とする若い女性がミス・ユニバース日本代表に選ばれた。彼女の発言は、アメリカにおける黒人差別に抗議したプロテニス選手大阪なおみさんの行動と重なる。人種差別が日本社会と無縁であるはずがない。その問題を考える。(国際社会問題)
第9回前回のテーマを継続し、コメント記述を求める。
第10回コロナ危機が人々の移動を大きく制限した。経済界で最も影響をうけた交通運輸業界は、これを機会にEV電動化と無人運転等、新たな交通システム導入を加速し始めている。地球温暖化への対処とコロナ危機の影響がわれわれの社会をどう変えようとしているのか、映像資料等で考える。
第11回前回テーマを継続し、最後にコメント記述。
第12回映像資料「生活保護受給者200万、3兆円の衝撃」。リーマンショックと東日本大震災の後、生活保護受給者が増大した。社会が手を差し伸べる大切さと、財源をどうするのか。社会のひずみを是正するには財源問題の考察と切り離せない。では、財源とは何か。経済学部生であれば、その視点を持ち、自分の意見をもたねばならない。(国内経済社会テーマ)
第13回コロナ危機はとりわけ外国人の技能実習生のようなアルバイト等で生計をたてる人々を直撃した。そのシステムはいまのままだと、国際的な人権問題となりかねないひずみを抱える。その実態を映像資料等から考えてもらう。(国内関連社会問題テーマ)
第14回前回のテーマ継続と議論。コメント記述もしくは小論作成。
第15回前期テーマを総括し、コロナ危機がもたらす社会生活の新しい形を考える。講義内試験として読解力を試す記述テストを実施する。