日本経済入門Ⅰ
担当者小林 成弘教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [観光経営学科]
科目ナンバリングECP-101

授業の概要(ねらい)

 本講座では「日本の産業革命と経済発展」をテーマに、幕末の開国から今日に至るおよそ160年間に日本の産業経済がどのように西欧の近代技術を吸収し、今日の「技術立国」としての国際的地位を確立するようになったのかを学び、これを通して現代日本の経済社会を歴史的視点と地政学的視点の両面から理解する素養を身につけることを目指します。
 春期は、近代的資本主義経済の原点ともいえる大航海時代の株式会社誕生の話から講義を始め、その後西欧-アジア間の東西貿易が急拡大していく中でイギリスにおいて大規模工場制機械工業が急速に発展(イギリス産業革命)していった過程について学びます。 また、そうした近代西洋技術が幕末期の日本にも大きな刺激を与えて「明治日本の産業革命」に繫がり、第二次世界大戦までの80年足らずの間に急速に西欧社会にキャッチアップしていった歴史過程を振り返り、「明治日本の産業革命」の歴史的意義や日本の近代化の特徴や秘密を探っていきます。
 秋期は、第二次世界大戦で廃墟と化した日本が、その後どのように復活して「日本の奇跡」と呼ばれる戦後の高度経済成長を達成することができたのか、さらに、1970年代後半に突如高成長時代が幕を閉じることとなった日本が、1980年代以降どのようにこの新たな経済的困難を切り抜けてきたのかについて学びます。

授業の到達目標

 グローバル化した国際経済社会の中で日本は今どのような状況に置かれているのか、また、日本の近代経済成長の歴史の中で今日の日本はどのように位置づけられるのかを、受講者それぞれが自分なりにストーリーを描いて説明できるようになってもらいたいと思います。

成績評価の方法および基準

 【今期の講義が対面授業形式で行われる場合】 期末に行うペーパーテストの成績を基礎点とし、これに普段の授業への取り組み姿勢(出席状況、義務的課題の実施状況、任意レポート提出など)をボーナス点として加算して総合評価を行います。ただし、以下の事項に該当する場合は大幅減点とします。
①授業中の私語など、他の学生に悪影響を及ぼすあらゆる「迷惑行為」
②授業における出席偽装、テストにおけるカンニング、レポート等におけるネット情報等のコピー&ペーストなど、あらゆる「不正行為」
 【今期の講義がリモート授業となる場合】 基本的には上記対面授業の場合と同じですが、出席状況(聴講状況)については評価対象としません。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 テキストは特に指定しませんが、参考文献は講義の都度紹介します。
 
教科書
参考文献『入門日本経済』浅子和美・篠原総一郎編(有斐閣)
参考文献『日本の経済発展』南亮進(登用経済)
参考文献『日本近代技術の形成―“伝統”と“近代”のダイナミクス』中岡哲郎(朝日選書)

準備学修の内容

 講義は毎回配布(またはLMSに掲示)するパワーポイントの資料に沿って進めます。 資料は大変情報量が多いので、授業に出席(リモート授業の場合はオンライン聴講)しないまま期末テスト直前に配布資料の文字情報だけに頼って勉強しようとしてもストーリーの全体像を理解することは到底不可能です。 必ず毎回授業に出席(聴講)し、何が重要なのか、過去に起きた個別事象がどのように関係し繫がっているのか、どのように話が展開されているのかを自分の目と耳と頭でしっかり整理しながら理解を深めていくよう努めて下さい。
 なお、講義内容の理解を深め知識の定着を図るため、学期の途中で練習問題を何度か出すことを予定しています。 解答を提出する必要はありませんが、期末テストではこれら練習問題の中から何問か出題されることもあると思いますので、受講生は各自、積極的にこれら課題に取り組むことを強く勧めます。

その他履修上の注意事項

 単に授業を聞くという受け身の姿勢ではなく、講義を通して自分の関心や疑問を掘り起こし、原典や関連文献または統計データに直接あたって調べたり確認してみるといった積極的な姿勢で取り組むことを期待します。
 なお、本講義は例年留学生の受講生も大勢います。 留学生にとって本講座で取り上げる日本の歴史的な話はなかなか理解しにくい面もあると思いますが、産業・経済の発展過程およびその中での政府の役割が「日本と自身の出身国とではどのように異なり、或いは似通っているのか?」といった視点を持って受講すれば、得るものは非常に大きいと思います。

授業内容

授業内容
第1回 【LMS授業】ガイダンス & 足元の経済・金融動向
第2回 【LMS授業】大航海時代の幕開け
第3回 株式会社の誕生
第4回 オランダ商業帝国の誕生
第5回 イギリス東インド会社とキャラコ熱
第6回 イギリス産業革命と三角貿易
第7回 アジアの植民地化
第8回 日本の開国と近代西洋技術への挑戦
第9回 明治政府の産業政策
第10回 明治政府の経済・金融制度改革
第11回 明治日本の産業革命(製鉄)
第12回 明治日本の産業革命(造船)
第13回 明治日本の産業革命(生糸)
第14回 明治日本の産業革命(綿糸)
第15回 まとめ