演習Ⅱ
担当者冨田 秀昭教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [国際経済学科]
科目ナンバリングSEM-302

授業の概要(ねらい)

 この演習は、イノベーションという視点から日本経済がこれまでたどってきた成長の軌跡を学ぶとともに、今後の日本経済の行方について考えることを目的としています。日本経済は第2次世界大戦による壊滅的な被害を乗り越えて高度経済成長を遂げ、今日の豊かな社会の礎を築いてきました。その過程で最も重要であった要因は、イノベーション、すなわち生産性の改善・向上に大いに寄与した広い意味での技術進歩であったと考えられます。それは教育水準を向上させ技術吸収能力を高めながら、海外から進んだ技術を取り入れて積極的にR&D投資を行い、日本に適合するように技術に改良を加えるというものでした。
 しかしながら、2度の石油ショックの後、日本経済は安定成長ないし低成長に移行、バブル経済の崩壊を経て、「失われた20年」、さらに「長期停滞」ともいわれる状況が続いています。こうした経済状況を打破するためには、従来の導入技術改良型のイノベーションは既に限界にきており、自前技術によるイノベーションが必要であるといわれるようになって久しい今日この頃です。
 そこで春学期の「演習Ⅰ」では、イノベーションの観点から顕著な成果が観察された高度成長期を取り上げて、その実態について学びます。続く秋学期の「演習Ⅱ」では、将来の展望を切り開くイノベーションとして近年注目されているAI(人工知能)の動向などを学んだ後、AIがもたらす日本経済の成長への寄与などを可能な限り検討します。さらに、ゼミ生が関心を有する業種を取り上げて、AIが当該業界の将来にどのようなインパクトをもたらしうるかを議論します。あわせて、経済成長とは何だろうか、経済成長は必要だろうか、という根源的な問いについても考えてみたいと思います。

授業の到達目標

 (1)イノベーションが経済成長に及ぼす影響について、具体的な事例により理解します。
 (2)輪読担当部分の発表、メンバー間での討論・意見交換を通じてプレゼンテーション能力を磨きます。
 (3)グループワークにより他の人々を説得できるレポートを作成し、ゼミ内で報告会を実施する。

成績評価の方法および基準

 毎回の出席を前提に、輪読担当部分の発表内容、討論などへの取り組み姿勢、グループワークにより作成したレポートや報告会における貢献度を加味して総合的に評価します。
 なお、6回以上欠席をした者については、単位を認めないので気をつけてください。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
参考文献『AIまるわかり』古明地正俊、長谷佳明日本経済新聞出版社、2017年
参考文献『AIの経済学 「予測機能」をどう使いこなすか』鶴光太郎日本評論社、2021年

準備学修の内容

 (1)輪読に際して、各回の発表担当者はテキストの担当部分のポイント、内容について整理したレジュメを作成し、プレゼンテーションの準備をしてください。
 (2)指定された討論者は、テキストの該当箇所を読んで、質問を考えておいてください。それ以外の皆さんも同様に、必ずテキストの該当箇所を読んできてください。

その他履修上の注意事項

 (1)上記の参考文献以外に、随時紹介していく関連文献、資料をできるだけ当たって、イノベーションに関するイメージをどんどん膨らませてください。
 (2)諸般の事情により、各回の内容、進度、順序など変更することがあります。
 (3)わずか1年間という短い期間の演習ですが、共に楽しく学びましょう。できればメンバー間での親睦を図るべく、懇親会なども実施したいと思います。

授業内容

授業内容
第1回 <ガイダンス>
 1)授業目的、授業方法、成績評価、準備学修および授業内容について
 2)輪読のテキストおよび分担決定(第3回~第9回)
第2回 <講義>(オンライン授業) AIと日本経済を巡る議論のポイント(冨田)
第3回 <輪読> 発表①、発表②
第4回 <輪読> 発表③、発表④
第5回 <輪読> 発表⑤、発表⑥
第6回 <輪読> 発表⑦、発表⑧
第7回 <輪読> 発表⑨、発表⑩
第8回 <輪読> 発表⑪、発表⑫
第9回 <輪読> 発表⑬、発表⑭ 
第10回 <グループワーク>
 1)要領説明
 2)グループ分け
 3)グループ別打ち合わせ:レポート構成、分担決定
  (レポート構成例)業界の現状・課題、AIの活用可能性、AI導入が業界に及ぼす影響、まとめ
第11回 <グループワーク> グループ別作業:打ち合わせ、業界レポート執筆
第12回 <グループワーク> グループ別レポート報告会①
第13回 <グループワーク> グループ別レポート報告会②
第14回 <グループワーク> グループ別レポート報告会③
第15回 <まとめ>
 1)演習Ⅱおよび演習全体の総括
 2)メンバーによるスピーチ(感想・反省など)