演習Ⅰ
担当者小林 成弘教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [国際経済学科]
科目ナンバリングSEM-301

授業の概要(ねらい)

 世界経済は2007年から2009年頃にかけて、アメリカのサブプライム・ローン拡大をきっかけに、世界は「100年に一度」とも言われる国際金融危機に見舞われました。 バブル崩壊の影響は一時の景気後退にとどまらず、それまで社会全体が長年に亘って築き上げ培ってきた様々な経済・社会基盤を根底から覆し、時には戦争にもつながりかねない極めて深刻な問題です。 日本も1980年代末に平成バブルを経験しましたが、その後のバブル崩壊で日本経済の屋台骨であった製造業が突然リストラの嵐に巻き込まれて「3つの過剰」(雇用、設備、債務)処理に追われるようになり、「選択と集中」の名の下に業務の大幅縮小が進んでいきました。 その結果、日本の国際競争力は急速に失われるようになり、「失われた20年」といわれる暗く長いトンネルの闇に入り込んでいきました。
 そこで春期の「演習」では、講義と輪読発表・ディスカッションを織り交ぜながら、世界の歴史上これまで幾度となく世界各地で繰り返されてきたバブルの発生と崩壊、金融と経済危機の問題を振り返り、バブルの発生の歴史と教訓を学んでいきます。 また秋期は、1980年代の金融自由化の流れのなか世界各地で頻発するようになった国際規模の金融危機や世界の金融再編問題を取り上げるほか、様々な経済指標の見方を学ぶことを通じて的確な景気判断ができるようにしていきます。

授業の到達目標

 国際経済社会が経験した様々な金融恐慌事件を通してバブル発生の原因やメカニズムを探るとともに、特に1980年代以降急速に進んだ金融自由化が金融ビジネスの膨張と経済のマネーゲーム化や格差の拡大をもたらし、世界規模の金融危機を頻発させる要因になった経緯を理解します。

成績評価の方法および基準

 出席状況、授業への積極的取り組み姿勢、授業内発表の内容、期末レポートなどによる総合評価で採点します。
 なお、形式要件として、出席回数が2/3(10回)に満たない場合は単位を取得できません。 また、授業への参加姿勢をとりわけ重視しますので、ただ漫然と授業に出ているだけでも単位は取得できません。 授業中の積極的な発言、発表、質問等を期待します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『バブルの歴史』チャンセラー(日経BP)
参考文献 『バブルの物語』ガルブレイス(ダイヤモンド社)
参考文献『大暴落1929』ガルブレイス(日経BPクラッシックス)
参考文献『昭和金融恐慌史』       高橋亀吉・森垣淑(講談社学術文庫)
参考文献『マネー革命(1)~(3)』     相田洋(NHKライブラリー)
参考文献『グローバル融攻防30年』        太田康夫(日本経済新聞出版社)

準備学修の内容

 講義の際に紹介する参考文献等をできるだけ読み進めて理解を深めて下さい。

その他履修上の注意事項

 単に授業を聞くという受け身の姿勢ではなく、講義を通して自分の関心や疑問を掘り起こし、原典や関連文献または統計データに直接あたって調べたり確認してみるといった積極的な姿勢で取り組むことを期待します。

授業内容

授業内容
第1回 【LMS授業】ガイダンス & 講義①(足元の経済・金融動向)
第2回 輪読担当分け & 講義②(バブル経済)
第3回 DVD(NHK「その時歴史は動いた~暗黒の木曜日~」)
第4回 輪読発表①(世界3大バブル)
第5回 輪読発表②(運河狂時代・鉄道バブル)
第6回 輪読発表③(アメリカ金メッキ時代)
第7回 輪読発表④(黄金の1920年代)
第8回 輪読発表⑤(暗黒の木曜日と世界恐慌)
第9回 講義③(戦後の世界経済)
第10回 講義④(小さな政府と規制緩和)
第11回 講義⑤(金融自由化)
第12回 輪読発表⑥(アジア通貨危機)
第13回 輪読発表⑦(平成バブル)
第14回 輪読発表⑧(サブプライム危機)
第15回 まとめ