授業の概要（ねらい）

　人口増加が期待できない時代を迎え、大学では、「智」や「技術」のみならず学生の活動をまちづくり分野に活かす試みが多く見られるようになっている。一方、本学八王子キャンパスが立地する多摩ニュータウンは、日本を代表する大規模開発として、超高齢化やコミュニティ再生など現在の地域課題への対応においても先進地域であり、ここで今、様々な場面に若者の力を活かすことへの期待がこれ迄以上に高まっている。この両者の係りから生まれるのは、「学生は、実社会で多くの大人に接し、他では体験できない多様な学びを得る」－「地域の各主体は、コミュニティ再生の方法を模索し蓄積する」という、いわゆるウィン‐ウィンの相互関係である。
　本演習は、本学が掲げる「実学」を「PBL（problem based learning）」の形で試みる立場から、学生目線での地域経営（エリアマネジメント論）を講究し、将来のまちづくりや地域貢献・NPO（的）活動に資する経験・スキルアップにも繋げることを目指して開講する。キャンパス周辺のニュータウン地域のなかで具体的な現場と係る実践的・試行的な取組みについて、これまでに構築してきた地域との関係を一層深めつつ、現場の課題・状況に即して段階的に取組み展開を図る。今後の地域づくりが着実に市民協働に向かっていることからグループワークを行う。　具体的には、日野市百草地区にある空き家の活用について、日野市都市計画課・所有者や地域住民グループ、近隣住民、自治会、近隣事業者など現場の関係者との協議・調整を尊重し、学生目線で主体的なフィールド活動を計画立案し、実践する。なお、受講者の関心領域に応じて関係者をゲストとして招聘し、或いは視察研修の実施や視察先での関係者の話を聞く機会をつくる。

授業の到達目標

（１）地域経営（エリアマネジメント論）について基本的な知識をもち、ニュータウン地域・対象とする現場の喫緊の具体的課題を説明することができる。
（２）日野市百草地区にある空き家活用について、自主的に研究テーマ設定や研究方法を考えて、研究・活動計画を立て、実践することができる。
（３）現地調査やヒアリング調査等を通じて地域・現場に受け入れてもらうための作法を身につけることができる。
（４）グループによる協働・協調での活動成果、およびこれらを通じて学んだこと、次年度以降への提案事項について、一年間の成果報告を取りまとめ発表することができる。

成績評価の方法および基準

演習系科目のため出席は必須である。評価は、グループワークへの参加・主体的な貢献が50％、研究・活動の推進とその経過報告が25％、研究・活動の成果とその取りまとめ報告が25％の配分によって総合的に評価する。

教科書・参考文献

準備学修の内容

授業時間内の実践的活動と併せて必要に応じて適宜授業時間外においても、①実践的活動のベースとなる基礎知識の習得、②地域の各関係者との関係構築に取り組むこと。
①については、多摩ニュータウンの課題、学生の地域活動の先進事例、空き家活用の事例、現代社会における住宅地区の一般的課題（例：コミュニティ再生、防災・安心安全、地域資源活用等）などのうち関心あるテーマについて資料調査等により基礎的研究を行い、空き家（みなもぐの家）の活用との関りの観点から、実践的活動の参考になる知見として取りまとめること。
➁については、日野市都市計画課、所有者、近隣住民に加えて、順次、みなもぐの家に関わることが期待される有志や地域住民グループ(親子・高齢者等）、近隣事業者などとの調整・協議を行うこと。

その他履修上の注意事項

活動はすべてグループ単位で行い、協力して検討・実践する基本姿勢を徹底してほしい。基礎知識の習得、現場の課題の把握や実践的活動の検討に際しては「物の見方や捉え方」「実現に至る過程や背景」の重要性に気付き、マニュアル思考から脱皮して、就職の際の差異・個性、卒業後必須の知識・思考を身につけてほしい。一連の活動・研究を通じて論理性・協調性・コミュ二ケーション力・プレゼンテーション力や各種PCソフトの技能等も身につくことに期待している。

授業内容