開発金融論Ⅰ
担当者玉置 知巳教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [国際経済学科]
科目ナンバリングMOF-303

授業の概要(ねらい)

開発金融論IおよびIIでは、発展途上国の持続的な成長に、金融が重要な役割を果たすことを学んでいきます。4つのテーマを設定します。第1のテーマ「発展途上国にとっての金融の役割」は概論で、金融の健全な発展により、資金が効率的に配分されることが発展途上国の成長を促すことを理解します。第2のテーマ「金融包摂(きんゆうほうせつ)」では、金融の発展がそれまで金融サービスを受けられなかった人々や企業にも届くような発展となることの重要性とその方法について学びます。(この分野は最近、大きな進展のある分野ですので、ケーススタディを取り入れて最近の動向への理解を助けます。)第3のテーマ「金融の安定性」では、金融危機のように金融が不安定になると、その国成長は軌道から外れ、特に貧困層を傷つけることになることを理解します。テーマ4では、発展途上国に流入する直接投資、ポートフォリオ投資、海外労働者送金、政府開発援助について、それぞれの特徴を理解します。さらに特別テーマとして、「インフラ開発と金融」を取り上げ、官民連携とファイナンスについての基礎を紹介します。それぞれのテーマの事例に、主にアジアの発展途上国のケースを取り上げ、具体的な理解が進むように工夫します。
春学期は、テーマ1、テーマ2及び特別テーマについて議論していきます。

授業の到達目標

初めて開発金融について学ぶ受講生が、安定的、効率的で包摂的な金融が発展途上国の持続的な成長の達成に果たす役割について理解できるようになることを目標をします。

成績評価の方法および基準

詳細は履修状況を見て決めますが、出席及び授業内で実施する理解度チェックによる平常点(50%)と期末試験(50%)の総合評価で、成績評価を決めます。授業への参加を重視した評価となります。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書資料については、その都度、授業で紹介します
参考文献

準備学修の内容

前回の授業の復習・課題の準備を行うことで、次の授業に備えてください。

その他履修上の注意事項

日頃から、発展途上国の経済・金融情勢に関心を持つように心がけて下さい。時事的なトピックスも授業の中で取り上げていきます。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション:授業の進め方、参考資料などを説明します
第2回テーマ1「発展途上国にとっての金融の役割」①:持続的な成長にとっての金融セクターの役割
第3回テーマ1「発展途上国にとっての金融の役割」②:中心的な役割を果たす銀行セクターと発展が望まれる資本市場
第4回ケーススタディ1:(例示)インフォーマルな金融
第5回テーマ2「金融包摂」:①貧困層にも金融サービスが届くように
第6回テーマ2「金融包摂」:②グラミンバンクの試み
第7回テーマ2「金融包摂」:③銀行口座よりもスマホの普及が進む発展途上国での金融包摂
第8回テーマ2「金融包摂」:④中小・零細企業への金融サービスの浸透
第9回テーマ2「金融包摂」:⑤中央銀行デジタル通貨:発展途上国が取り組む理由
第10回ケーススタディ2:(例示)東アフリカのFintech、中国のFintech
第11回特別テーマ「インフラ開発と金融」:①発展途上国でのインフラ需要
第12回特別テーマ「インフラ開発と金融」:②旺盛な発展途上国のインフラ需要にこたえるファイナンスのあり方
第13回特別テーマ「インフラ開発と金融」:③官民連携とインフラファイナンスのエッセンス
第14回ケーススタディ3:(例示)セブ・マクタン空港に見る空港運営の民営化とファイナンス
第15回総復習と確認テスト