国際法Ⅲ(空間)
担当者則武 輝幸教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [政治学科]
科目ナンバリングILA-301

授業の概要(ねらい)

 国際関係をより良く理解するためには、国際社会を規律する法規範、すなわち国際法(国際公法)を知ることが必要である。2003年度まで、国際公法の講義は、国際公法I(2年次配当4単位)、国際公法II(3年次配当4単位)の2科目に分かれていたので、私担当の国際公法IIでは、国際法の総論にあたる部分のうちの個人に関する国際法および外交使節・領事・外国軍隊に関する国際法、ならびに国際法の各論について講義していた。2004年度より、国際公法Iは、国際公法A(2年春期2単位)と国際公法B(2年秋期2単位)、国際公法IIは、国際公法C(3年春期2単位)と国際公法D(3年秋期2単位)に分割されることになった。また、2013年度入学生より、国際公法Aは国際法(歴史・法源)、国際公法Bは国際法(主体)、国際公法Cは国際法(空間)、国際公法Dは国際法(秩序維持)と改称されることになった。さらに、2018年度入学生より、国際法Ⅰ(歴史・法源)、国際法Ⅱ(主体)、国際法Ⅲ(空間)、国際法Ⅳ(秩序維持)と改称されることになった。今年度の国際法Ⅲ(空間)では、国際法の総論にあたる部分のうち、国家の領域、海洋法、国家の国際交渉機関および国際公域、ならびに各論にあたる部分のうち国際法と地球環境について、最新の具体的事例を踏まえて講義することにする。

授業の到達目標

 ①国際法の発展科目として、国家の領域主権、国家領域の構造、領域取得の方式、日本の領土問題について、理解できるようになる。
 ②国際法の発展科目として、海洋法の形成と発展、海洋の法構造(内水、領海、接続水域、群島水域、国際海峡、公海、 排他的経済水域、大陸棚、深海底)、海洋境界の確定、海洋紛争の解決手続について理解できるようになる。
 ③国際法の発展科目として、国家の国際交渉機関(外交使節、領事機関、国家元首および外務大臣、外国軍隊)について理解できるようになる。
 ④国際法の発展科目として、国際公域(国際河川、国際運河、南極、空、宇宙空間)について理解できるようになる。
 ⑤国際法の発展科目として、地球環境の保護のための国際法について理解できるようになる。

成績評価の方法および基準

 原則として、期末試験100%で評価する。中間試験やレポートは実施しない(詳しくは第1回で指示する)。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『国際法(第3版)』  渡部 茂己・喜多 義人 編 (弘文堂)
教科書 『現代国際法講義(第5版)』  杉原 高嶺・水上 千之・臼杵 知史・吉井 淳・加藤 信行・高田 映 著(有斐閣)
教科書 前者をメインテキスト、後者をサブテキストとして使用する。
参考文献『ベーシック条約集(2021年版)』  薬師寺 公夫・坂元 茂樹・浅田 正彦 編集代表 (東信堂)
参考文献『判例国際法(第3版)』 薬師寺 公夫・坂元 茂樹・浅田 正彦・ 酒井 啓亘 編集代表 (東信堂)
参考文献 『国際法基本判例50(第2版)』  杉原 高嶺・酒井 啓亘 編(三省堂)
参考文献『国際法判例百選 第2版』 小寺 彰・森川 幸一・西村 弓 編 (有斐閣)
参考文献 その他、講義の中で適宜指示する。

準備学修の内容

 必ず教科書・プリントで予習・復習をして、自学自習の習慣を身に付けて頂きたい。
 毎回、予習プリントと復習プリントを配布するので、必ず記入して提出すること(詳しくは、授業内で指示する)。
 教室に座っていさえすれば単位がもらえると思っているならば、大間違いである。

その他履修上の注意事項

 ①秋期の国際法Ⅳ(秩序維持)も必ず履修して頂きたい。その他、国際法Ⅰ(歴史・法源)、国際法Ⅱ(主体)、国際人権法、国際安全保障法、国際組織法I・II、国際経済法I・II、国際裁判所論I・II(法律学科のみ)、国際関係論I・II、国際政治学I・II(政治学科のみ)、外交史I・II(政治学科のみ)。ことに国際法Ⅰ(歴史・法源)、国際法Ⅱ(主体)、国際関係論I・IIの単位を既に取得し、同じ3年次配当の国際人権法、国際安全保障法、国際経済法I・II、国際裁判所論I・II(法律学科のみ)を並行して履修していることが、極力望ましい。
 ②毎日、新聞の国際欄を読んだり、テレビのニュースを見たりして、自発的に国際問題に対する関心を深めるよう、努力して頂きたい。
 ③おおむねテキストの順序に従って講義するが、随時、補足のためにプリントも配布する。講義の初日と最終日のみ出席するようないい加減な受講態度では、単位の取得は望めない。「先生の話はだまって聞きましょうね」、「勝手にお外に出てはいけません」とは幼稚園児が習うことである。幼稚園児「未満」の振舞いは、厳に謹んで頂きたい。途中で出て行くつもりなら、初めから来なくてよろしい。

授業内容

授業内容
第1回おおむね教科書の構成に従って、以下の順序で講義する。
オリエンテーション
第2回国家の領域①
 領域主権-領域主権の法的性質、領域主権に対する国家の義務
 国家領域の構造-領土、領水、領空
第3回国家の領域②
 領域取得の方式
第4回国家の領域③
 日本の領土問題-北方領土、尖閣諸島
第5回国家の領域④
 日本の領土問題-竹島
 沖ノ鳥島
第6回海洋法①
 海洋法の形成と発展
第7回海洋法②
 海洋の法構造ー内水、領海、接続水域、群島水域、国際海峡
第8回海洋法③
 海洋の法構造ー公海、排他的経済水域、大陸棚
第9回海洋法④
 海洋の法構造ー深海底
 海洋境界の確定
 海洋紛争の解決手続
 捕鯨問題と日本
第10回国家の国際交渉機関①
 外交使節
第11回国家の国際交渉機関②
 領事機関
 国家元首および外務大臣
 外国軍隊の特権免除
第12回国際公域①
 国際河川
 国際運河
第13回国際公域②
 南極
 空
 宇宙空間
第14回国際法と地球環境①
 国際環境法の発展と特徴
第15回国際法と地球環境②
 大気汚染・気候変動
 海洋汚染・海洋環境保護
 陸における環境問題
 生物の保護
 環境汚染物質管理
ただし、以上は大まかな予定であり、必ずしもこの通りに進行するとは限らない