国際法Ⅳ(秩序維持)
担当者則武 輝幸教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [政治学科]
科目ナンバリングILA-302

授業の概要(ねらい)

 国際関係をより良く理解するためには、国際社会を規律する法規範、すなわち国際法(国際公法)を知ることが必要である。2003年度まで、国際公法の講義は、国際公法I(2年次配当4単位)、国際公法II(3年次配当4単位)の2科目に分かれていたので、私担当の国際公法IIでは、国際法の総論にあたる部分のうち個人に関する国際法および外交使節・領事・ 外国軍隊に関する国際法、ならびに国際法の各論について講義していた。2004年度より、国際公法Iは、国際公法A(2春期2単位)と国際公法B(2年秋期2単位)、国際公法IIは、国際公法C(3年春期2単位)と国際公法D(3年秋期2単位)に分割されることになった。また、2013年度入学生より、国際公法Aは国際法(歴史・法源)、国際公法Bは国際法(主体)、国際公法Cは国際法(空間)、国際公法Dは国際法(秩序維持)と改称されることになった。さらに、2018年度入学生より、国際法Ⅰ(歴史・法源)、国際法Ⅱ(主体)、国際法Ⅲ(空間)、国際法Ⅳ(秩序維持)と改称されることになった今年度の国際法Ⅳ(秩序維持)では、国際法の各論にあたる部分のうち、条約法、国家の国際責任、国際紛争の平和的解決、国際安全保障、武力紛争と国際法について、最新の具体的事例を踏まえて講義することにする。

授業の到達目標

 ①国際法の発展科目として、条約の締結手続、条約の留保、条約の効力、条約の解釈、条約の終了および運用停止について理解できるようになる。
 ②国際法の発展科目として、国家責任の発生、国家責任の解除、国家責任の追及について理解できるようになる。
 ③国際法の発展科目として、戦争の違法化、国際紛争の平和的解決手続(非裁判手続、裁判手続)、紛争解決機関の増加と変容について理解できるようになる。
 ④国際法の発展科目として、勢力均衡方式、国際連盟の集団的安全保障制度、国連の集団安全保障制度、国連平和維持活動(PKO)、軍備管理と軍縮について理解できるようになる。
 ⑤国際法の発展科目として、武力紛争を規制する国際法、戦闘の方法および手段、武力紛争犠牲者の保護、国際人道法の履行確保、国際刑事裁判所(ICC)について理解できるようになる。

成績評価の方法および基準

 原則として、期末試験100%で評価する。中間試験やレポートは実施しない(詳しくは第1回で指示する)。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 『国際法(第3版)』  渡部 茂己・喜多 義人 編(弘文堂)
教科書『現代国際法講義(第5版)』  杉原 高嶺・水上 千之・臼杵 知史・吉井 淳・加藤 信行・高田 映 著 (有斐閣)
教科書 前者をメインテキスト、後者をサブテキストとして使用する
参考文献『ベーシック条約集(2021年版)』  薬師寺 公夫・坂元 茂樹・浅田 正彦 編集代表 (東信堂)
参考文献 『判例国際法(第3版)』  薬師寺 公夫・坂元 茂樹・浅田 正彦・酒井 啓亘 編集代表(東信堂)
参考文献『国際法基本判例50(第2版)』 杉原 高嶺・酒井 啓亘 編 (三省堂)
参考文献 『国際法判例百選 第2版』  小寺 彰・森川 幸一・西村 弓 編 (有斐閣)
参考文献 その他、講義の中で適宜指示する。

準備学修の内容

 必ず教科書・プリントで予習・復習をして、自学自習の習慣を身に付けて頂きたい。
 毎回、予習プリントと復習プリントを配布するので、必ず記入して提出すること(詳しくは、授業内で指示する)。
 教室に座っていさえすれば単位がもらえると思っているならば、大間違いである。

その他履修上の注意事項

 ①春期の国際法Ⅲ(空間)も必ず履修して頂きたい。その他、国際法Ⅰ(歴史・法源)、国際法Ⅱ(主体)、国際人権法、国際安全保障法、国際組織法I・II、国際経済法I・II、国際裁判所論I・II(法律学科のみ)、国際関係論I・II、国際政治学I・II(政治学科のみ)、外交史I・II(政治学科のみ)。ことに国際法Ⅰ(歴史・法源)、国際法Ⅱ(主体)、国際関係論I・IIの単位を既に取得し、同じ3年次配当の国際人権法、国際法安全保障法、国際経済法I・II、国際裁判所論I・II(法律学科のみ)を並行して履修していることが、極力望ましい。
 ②毎日、新聞の国際欄を読んだり、テレビのニュースを見たりして、自発的に国際問題に対する関心を深めるよう、努力して頂きたい。
 ③おおむねテキストの順序に従って講義するが、随時、補足のためにプリントも配布する。講義の初日と最終日のみ出席するようないい加減な受講態度では、単位の取得は望めない。「先生の話はだまって聞きましょうね」、「勝手にお外に出てはいけません」とは幼稚園児が習うことである。幼稚園児「未満」の振舞いは、厳に謹んで頂きたい。途中で出て行くつもりなら、初めから来なくてよろしい。

授業内容

授業内容
第1回おおむね教科書の構成に従って、以下の順序で講義する。
オリエンテーション
第2回春期の国際法Ⅲ(空間)の試験の答え合わせ
第3回条約①
 条約の締結手続
第4回条約②
 条約の留保
 条約の効力
第5回条約③
 条約の解釈
 条約の終了および運用停止
第6回国家の国際責任①
 国家の国際責任とは
 国家責任の発生
第7回国家の国際責任②
 国家責任の解除
 国家責任の追及
第8回国際紛争の平和的解決①
 戦争の違法化
 非裁判手続
第9回国際紛争の平和的解決②
 裁判手続
 国際社会における紛争解決機関の増加と変容
第10回国際安全保障①
 勢力均衡方式と集団安全保障制度
 国際連盟の集団安全保障制度
第11回国際安全保障②
 国連の集団安全保障制度
第12回国際安全保障③
 国連平和維持活動(PKO)
第13回国際安全保障④
 軍備管理と軍縮
 人間の安全保障と保護する責任
第14回武力紛争と国際法①
 武力紛争を規制する国際法
 戦闘の方法および手段
第15回武力紛争と国際法②
 武力紛争犠牲者の保護
 国際人道法の履行確保
 国際刑事裁判所(ICC)
ただし、以上は大まかな予定であり、必ずしもこの通りに進行するとは限らない。