論理学Ⅰ
担当者宇多 浩教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングPHE-105

授業の概要(ねらい)

 「論理的」とは、広い意味では、言葉と言葉、主張と主張とのつながりが「一貫している」「矛盾がない」ということを意味しています。たとえば、相手に何かの主張をするときに、何の根拠もなく主張したり、根拠から主張までの間に飛躍・矛盾がある場合には「論理的」ではありませんが、ある根拠から一貫した仕方で(矛盾なく)ある主張を導くならば、その主張は「論理的」であるといえます。言い換えれば、ある根拠から「(矛盾を含まない)正しい推論の形」にしたがって主張を導いた場合に、その主張は「論理的」と呼ばれれます。
 「論理学」とは、私たちがこうした「論理的」な主張をするときに従わなければならない「正しい推論の形」を探求するものです。なかでも「演繹」という推論の形はかなり厳密な推論とされ、これに従った推論は最も確実なものであると考えられています。
 この授業では、日常のなかで使用される言葉を題材にとりながら、いくつかの重要な「正しい推論の形(=演繹)」を習得することを目標にします(前期はテキストの第1部まで)。この授業で重要な推論の形を習得できれば、日常の場面でも「正しい推論」と「正しくない推論」を自分自身で見分けることができるはずです。そのような能力を身に着けることが、この授業の最終的な狙いです。

授業の到達目標

・演繹的な推論の特性を理解することができる。
・「演繹」と「演繹でないもの」とを区別することができる。
・「否定」と「反対」とを区別することができる。
・ド・モルガンの法則を適用することができる。
・条件法の逆・裏・対偶を作ることができる。
・対偶律や推移律を使った推論を行うことができる。
・全称命題や存在命題を用いた演繹の推論を行うことができる。

成績評価の方法および基準

平常点(約60%)、中間テスト(約20%)、期末テスト(約20%)を基準として、総合的に評価する予定です。

* 欠席が5回を超えた場合には原則として失格となり、試験の受験資格はありません。(試験を受験しても不可(D)となる)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『まったくゼロから論理学』 野矢 茂樹岩波書店
参考文献特になし

準備学修の内容

 論理学の知識を身につけるためには、実際に多くの練習問題を解いていくことが最も早道です。ですので、この授業ではほぼ毎回、授業の終わりに練習問題を課す予定です。次の週までにそれを行ってくる必要があります。

その他履修上の注意事項

 今期は、初回の授業と第14回目の授業をオンライン形式で実施する予定です。(詳細は初回の授業で説明します)

授業内容

授業内容
第1回講義の概要(オンライン形式で実施する予定)
第2回1章 命題と真偽:命題とは何か?
(課題)命題と命題でないものを見分ける
2章 推論と演繹 演繹とはどのようなものか
(課題)演繹を見つけ出す
第3回3章 否定
(課題)ある文の否定と反対を作ってみる
第4回5章 連言・選言・ド・モルガンの法則:連言と選言の否定
(課題)ある文を連言文や選言文に書き換える 
   連言文・選言文の否定を作ってみる
第5回6章 消去法
7章 条件法 (1) 命題の逆・裏・対偶を作る
(課題)消去法の誤謬を指摘する
第6回7章 条件法 (2) 「だけ」「のみ」と必要条件・十分条件
(課題)「だけ」「のみ」を含む文を条件文に書き換える 
   条件文から必要条件・十分条件を読み取る
第7回7章 条件法 (3) 条件法とドモルガンの法則
(課題)ド・モルガンの法則を使って、条件文の対偶を作ってみる
第8回授業のまとめと中間テスト
第9回8章 対偶論法 
9章 推移律
(課題)対偶論法や推移律を用いて、やや複雑な演繹を行う
第10回10章 背理法  
11章 全称命題・存在命題・単称命題
(課題)背理法を用いた推論を行う
第11回12章 「すべて」と「ある」をもちいた演繹
(課題)全称命題と存在命題を組み合わせた推論の正しさを判別する
第12回13章 全称と存在のド・モルガンの法則
(課題)全称命題・存在命題の否定を作ってみる
第13回14章 全称と存在を組み合わせる
(課題)「すべて」と「ある」を組み合わせた文を作ってみる
第14回練習問題  追加の練習問題をやってみよう (オンライン形式で実施する予定)
(課題) やや難しい応用問題をやってみる
第15回授業のまとめと期末テスト