入門マクロ経済学Ⅱ
担当者小島 寛之教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [現代ビジネス学科]
科目ナンバリングECT-104

授業の概要(ねらい)

 経済学の理論は大きく分けると、ミクロ経済学とマクロ経済学に分かれる。ミクロ経済学が、一人一人の消費者や労働者、それから一つ一つの企業などに注目して、経済を営む最小単位からアプローチするのに対し、マクロ経済学は、国家単位で集計して巨視的な観点から経済にアプローチするものである。
 マクロ経済学を学ぶことは何の役に立つのだろうか。
 それは、経済が国家単位の集団として営まれるとき、そこに現れる法則性が、わたしたち個人個人の生活にどんな影響を持つかがわかる、という点で役にたつのである。このような知識は、単に「単位が取れて卒業できた」ということ以上のメリットを諸君にもたらすだろう。それはなぜか。例えば、社会人になると、多少の蓄えができる。そのおおよそは銀行預金にするが、一部は株や投資信託などで増やそうと考える。このとき、物価や利子率の動向を予測するのは大切で、それは景気の先行きと密接な関係を持っている。また、家庭を持って子供ができると、いずれ住宅を購入する。現金で買える人は少ないので、たいていはローンを組むだろう。このとき、利子率の動向を予見したり、自分の職業の将来を見据えるのは、大切な態度である。このような「経済の見通し」を作るには、マクロ経済学の知識はなくてはならないものなのである。
 この講義では、マクロ経済学への入門を、できるだけ身近な例を使って行うこととしよう。前期に、GDP、消費、投資、利子率、経済成長率、GDPデフレーター、インフレ率、実質成長率、貨幣供給量などのマクロ指標を講義したのを受けて、後期には、もっと突っ込んだ分析を行う。前期が主に、「経済の静止画像」的な講義だったのに対し、後期には「動画」のほうを講義する。専門的にいうと「経済成長理論」という分野である。
 一国の経済が成長するのは、どういうメカニズムだろうか。なぜ、世界には豊かな国と貧しい国があるのだろうか。急激な経済の発展はどのように達成されるのだろうか。日本は、高度成長が止まり、今はゼロ成長の時代となっているが、これはどうしてなのだろう。これらの疑問に答えるのが、経済成長理論である。ソローモデルを基本にして、経済成長をシミュレートし、GDP・消費・投資・投資率・利子率・物価の決定方法を講義する。前期よりはいくぶん数理的になるが、使うのは「算数」だけなので恐れなくてもいい。

授業の到達目標

 資本量、貯蓄率、減耗率を変数とする経済成長理論(ソローモデル)を正しく理解し、それを現実の国家経済へ応用できることが到達目標。

成績評価の方法および基準

  毎回の小テスト(20%)と中間テスト(30%)と期末テスト(50%)の合計によって評価する。カードリーダーのクリック回数、小テスト・中間テストの受験回数が不足の場合、期末テストの受験資格を与えないので注意すること。就活は欠席の理由として認めない。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 
参考文献

準備学修の内容

LMSに毎週、復習のための宿題をアップロードするので、次の講義までに60分程度で解答しておくこと。

その他履修上の注意事項

 講義は、スライド画面で行う。スライド画面はLMS上にアップロードする。
 毎回、小テストで実習する。小テスト受験に対し加点、未受験に対しペナルティを与える仕組みなので、毎回受験を心掛けること。カードリーダーのクリック回数、小テスト・中間テストの受験回数が期末テストの受験資格に関わるので、必ず初回の講義を受講し、単位取得の要件を確認の上で履修登録すること。就活には配慮しないので、就活で欠席が多くなる学生は履修しないこと。

授業内容

授業内容
第1回  (オンライン) 講義ガイダンス+マクロ経済学の概要+小テスト
第2回 経済成長理論とは何か、各国の成長率のデータ+小テスト
第3回 経済成長モデル1~タマゴ産業国のモデル(線形生産関数モデル)+小テスト
第4回 ねずみ算的成長とナイフエッジ+小テスト
第5回 定常状態での利子率の決定+小テスト
第6回 定常状態での物価の決定+小テスト
第7回 凹関数と限界生産性逓減の法則+小テスト
第8回 (オンライン)宿題の解答+中間テスト
第9回 経済成長モデル2(凹生産関数モデル)とそのシミュレーション+小テスト
第10回 定常状態への収斂原理+小テスト
第11回 定常状態の見つけ方と黄金律+小テスト
第12回 投資率の変化と定常状態からの脱出+小テスト
第13回 定常状態での利子率の決定+小テスト
第14回 定常状態での物価の決定+小テスト
第15回 マクロ経済学のまとめ+期末テスト