担当者 | 能勢 和宏教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択必修 2単位 [史学科] | |
科目ナンバリング | HEA-205 |
現在のヨーロッパでは、EUという超巨大国際機関の下で、各国政治・経済・社会の統合が進んでいます。こうした動きは第二次世界大戦後に本格化したものですが、ヨーロッパ統合というアイデアはそれ以前から醸成されてきました。本授業では古代から19世紀までを対象として、ヨーロッパに共通の意識が芽生え、統合の契機が高まっていく過程について学びます。授業を通じて、ヨーロッパという表現に込められた意味を把握し、現在ヨーロッパが直面している危機を歴史的視座から捉えなおすことを目指します。また本授業では、ルソーなどのいわゆる哲学者を取り上げることで、哲学的思想と歴史が切っても切り離せない関係にあることも学びます。
・ヨーロッパという地域概念の特徴について説明できるようになる。
・具体的な出来事と思想を関連付けて考察できるようになる。
・小テスト(30%)、期末レポート(70%)
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | |||
参考文献 | 『ヨーロッパとはどこか:統合思想から読む2000年の歴史』 | 中嶋洋平 | 吉田書店 |
参考文献 | 『ヨーロッパとは何か:分裂と統合の1500年』 | クシシトフ・ポミアン著、松村剛訳 | 平凡社 |
本授業は古代からのヨーロッパ史を扱うものですが、教科書で取り上げられるような重大事件を扱うものではありません。そのため、事前に高校教科書や西洋史概説の資料などを読み返して、同時代にどのような出来事が起こっていたのかなどのイメージをつかんだうえで授業に臨むようにしてください。
回 | 授業内容 |
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第1回 | ・授業の概要と運営方法を説明する |
第2回 | ・ヨーロッパを定義することは可能か? ・ヨーロッパという地域概念のあいまいさを学ぶ |
第3回 | ・古代ヨーロッパにおける「ヨーロッパ」概念の不在 ・ヨーロッパという表現の誕生とその含意を学ぶ |
第4回 | ・「ローマ帝国が滅びると、ヨーロッパが現れる」 ・カロリング朝、カール大帝によってヨーロッパの輪郭が出現することを学ぶ |
第5回 | ・「最初のヨーロッパ統合」 ・キリスト教世界を通じて統合されゆくヨーロッパについて学ぶ |
第6回 | ・ヨーロッパ知識人エラスムスの活躍 ・ラテン語を通じて統一されるヨーロッパの知識について学ぶ |
第7回 | ・ヨーロッパの宗教的統一の終焉 ・宗教改革によってキリスト教世界が分断されゆく過程を学ぶ |
第8回 | ・「第二のヨーロッパ統合」 ・啓蒙思想で結ばれる「文芸共和国」について学ぶ |
第9回 | ・ボヘミア王ポジェブラトのヨーロッパ統合構想 ・宗教的統一が失われた後の、ヨーロッパ統合の狙いについて学ぶ |
第10回 | ・イエズス会士サン=ピエール神父のヨーロッパ統合構想 ・EUの原型を示したとされる『永久平和論』の主眼を学ぶ |
第11回 | ・ジャン・ジャック・ルソーによるサン=ピエールに対する批判 ・ルソーが指摘したヨーロッパ統合の不可能性を学ぶ |
第12回 | ・フランス革命がヨーロッパに与えたインパクト ・フランス革命がもたらした国民統合の契機について学ぶ |
第13回 | ・ナポレオン帝国から国民国家体制に向かうヨーロッパ ・国民意識の醸成とヨーロッパ意識の関係について学ぶ |
第14回 | ・ヴィクトル・ユゴーのヨーロッパ統合構想 ・ロマン主義に基づくヨーロッパ統合の可能性について学ぶ |
第15回 | ・オンライン授業 ・授業を総括し、現在のヨーロッパ統合と過去の構想の類似・相違を考察する |