前半は現代社会においてみられるスポーツの様々な問題点を取り上げ、スポーツ哲学及び倫理学の視点から、それぞれの問題の本質とその解決策について考察を行う。具体的な内容としては①過度の勝利至上主義がもたらす人間疎外、②体罰等のスポーツにおける各種ハラスメントの実態とその解決策、③ドーピングの実態とその防止策、④スポーツとジェンダーにおける諸問題、⑤スポーツと人種問題、⑥スポーツにおけるフェアプレーの哲学的、倫理学的意味、などについて取り上げる。また後半では、現在行われている様々なスポーツの社会現象のバックグラウンドについて社会システム論の立場から分析を行い、各種スポーツ文化生成のメカニズムについて講義するとともに、スポーツ・健康を広く社会に普及するためのスポーツ社会システムのマネジメントの手法についての基礎知識の習得を行う。具体的には①スポーツ文化の社会システム論的解釈、②スポーツ社会システムの構造と機能、③スポーツ社会システムのマネジメント、④複雑系としてのスポーツ社会システム、⑤スポーツ組織やスポーツチームのシステム構築とマネジメント、などについて取り上げる。
①スポーツの様々な社会的問題について社会学の視点から説明することができる
②スポーツ文化の本質について、各種社会理論を用いて理論的に説明できる
③現代社会における様々なスポーツ現象の本質を社会システム理論の観点から理解できる。
レポート課題20%、小テスト30%、期末試験50%で評価する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | |||
参考文献 | よくわかるスポーツ倫理学 | 友添秀則編著 | ミネルバ書房 2017 |
参考文献 | 教養としての身体運動、健康科学 | 東京大学身体運動科学研究室編 | 東京大学出版会 2009 |
参考文献 | 現代スポーツ論の射程ー歴史・理論・科学ー | 金井淳二 深草直臣 監修 | 文理閣 2011 |
①スポーツ関連ニュースなどを日常的にレビューしておくこと
②スポーツの政治、経済、文化に関する文献、情報を恒常的にレビューすること
③毎時間討論を行うので、当該時間のテーマについて事前に自分の意見をまとめておくこと
①主体的に授業に参加すること
②積極的に質問、発言を行うこと
回 | 授業内容 |
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第1回 | 勝利至上主義の社会的背景 スポーツにおける勝利至上主義の歴史的、社会的形成過程について理解する |
第2回 | 勝利至上主義の功罪 スポーツの勝利至上主義が人間にもたらす功罪について理解する。 |
第3回 | スポーツハラスメントの現状 スポーツにおける各種ハラスメントの世界的実態および日本の現状について理解する |
第4回 | スポーツハラスメントの解決策 世界及び日本のスポーツにおけるハラスメント防止策の現状と課題を理解する |
第5回 | ドーピングの実態 ドーピング行為に代表される不祥事・規則違反について理解する。 |
第6回 | スポーツとジェンダー スポーツにおけるジェンダー問題や人種差別の実態について理解する。 |
第7回 | フェアプレーの意味 小テスト スポーツにおけるフェアプレーの哲学的位置付けと倫理的意味について議論する。 |
第8回 | スポーツ社会システムの定義 スポーツ社会システムの定義と基本的考え方について理解する。 |
第9回 | スポーツ社会システムの構造 スポーツ社会システムの基本的構造について理解する。 |
第10回 | スポーツ社会システム形成のメカニズム スポーツ社会システムを動かす基本的な社会的要因について理解する。 |
第11回 | スポーツ社会システムの環境適応 常に変化する社会環境にスポーツ社会システムが適応する基本的メカニズムについて理解する |
第12回 | 複雑系としてのスポーツ社会システム スポーツ社会システムの構造変動と進化のメカニズムについて理解する。 |
第13回 | チームシステムのマネジメント 勝利を追求するための最適システムの構築法とマネジメントスキルについて海外及び日本の先進的事例をもとに理解する。 |
第14回 | スポーツ組織のマネジメント チームを統括する上位システムとしての様々な組織の効果的なマネジメントの方法を国内外の組織の分析を通して理解する。 |
第15回 | 現代社会とスポーツ文化 現代社会におけるスポーツ文化の社会的機能と本質的意義について社会システム理論の視点から理解する。 |