ヒトの健康は細胞内での化学反応の量的、質的変化の積み重ねによって変化する。よって、健康増進や疾病予防を考える上で、健康というものを分子レベルで理解することが重要である。本特講では、健康増進や疾病予防、リハビリテーションにおける栄養、休養、運動、薬剤などによるアプローチが細胞や組織に及ぼす効果を、実際に細胞や組織標本を適宜用いながら分子レベルで学修する。
(1)生活の質と密接に関わる臓器を対象に、疾病や老化によって細胞レベルでどのような変化が生じるのか説明することができる。
(2)疾病や老化が運動や栄養といった環境要因によってどのような影響を受けるのかについて最新の国内外の研究報告を題材にして説明することができる。
(3)専門家としての知識を身に付け各人の研究課題に活かせるようになることを目的とする。
期末レポート(100%)をルーブリックに基づいて採点し、評価を行う。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
---|---|---|---|
教科書 | |||
参考文献 | 『Molecular Biology of the Cell』 | Bruce Alberts et al. | ニュートンプレス |
参考文献 | 『新編 内部障害のリハビリテーション 第2版』 | 上月正博 編 | 医歯薬出版 |
講義では学術論文を題材とするため、学術論文を理解する上で必要となる専門用語等については事前に各自で調べておく必要があります。
大学学部課程で学ぶ解剖学や生理学等の基礎を理解していることを前提に講義を進めますので、それらの知識に不安のある者は各自で復習しておいて下さい。
細胞生物学の研究手法や、研究の知見は日進月歩であり、講義で全てを学ぶことは出来ません。したがって、各自でも常に最新の情報を得るようにして下さい。
本科目の第15回目の講義はオンデマンド授業となります。
回 | 授業内容 |
---|---|
第1回 | 細胞について(担当:浅野安信) 最新の細胞の観察法やシグナル伝達や転写制御について分子レベルから理解する。細胞の観察法や基本的な細胞の扱い方についても実践する。 |
第2回 | 細胞小器官や核、生体膜の微細構造(担当:浅野安信) 細胞骨格の種類や構造、細胞接着の結合様式と上皮化について分子レベルから理解する。 |
第3回 | 細胞の機能動態と微細構造(担当:浅野安信) アクチンフィラメント系による細胞運動と細胞内輸送システムを分子レベルから理解する。 |
第4回 | 細胞の分化と増殖(担当:浅野安信) 細胞の発生、分裂、分化および増殖を制御するタンパク質の構造と機能について分子レベルから理解する。 |
第5回 | 細胞死について(担当:浅野安信) 細胞死について形態学的に分類しその制御機構と生理機能について分子レベルから理解する。 |
第6回 | 骨格筋の分子構造とその可塑性のメカニズム(担当:川田茂雄) 骨格筋の構造を分子レベルで理解し、骨格筋の量的、質的変化のメカニズムを分子レベルから理解する。 |
第7回 | 栄養、運動等が骨格筋の可塑性に及ぼす影響(担当:川田茂雄) 骨格筋の可塑性に対して、栄養摂取や運動が分子レベルでどのような影響を与えるかを理解する。分子レベルの変化をどのように評価するのか、実際の分子生物学的評価法についても実践する。 |
第8回 | 骨格筋の疾病とその予防、治療法(担当:川田茂雄) 骨格筋の疾病発症のメカニズムを分子レベルで理解し、その予防、治療法の戦略を理解する。 |
第9回 | 骨組織の分子構造とその可塑性のメカニズム(担当:川田茂雄) 骨組織の構造を分子レベルで理解し、骨組織の量的、質的変化のメカニズムを分子レベルから理解する。 |
第10回 | 骨組織の疾病とその予防、治療法(担当:川田茂雄) 骨組織の疾病発症のメカニズムを分子レベルで理解し、その予防、治療法の戦略を理解する。 |
第11回 | 高血圧症に対する運動療法の分子メカニズム(担当:小川佳子) 高血圧症に対する運動療法の効果とその分子レベルでのメカニズムについて理解する。 |
第12回 | 糖尿病に対する運動療法の分子メカニズム(担当:小川佳子) 糖尿病に対する運動療法の効果とその分子レベルでのメカニズムについて理解する。 |
第13回 | 脂質異常症・肥満症に対する運動療法の分子メカニズム(担当:小川佳子) 脂質異常症・肥満症に対する運動療法の効果とその分子レベルでのメカニズムについて理解する。 |
第14回 | 心血管疾患・慢性腎臓病に対する運動療法の分子メカニズム(担当:小川佳子) 心血管疾患・慢性腎臓病に対する運動療法の効果とその分子レベルでのメカニズムについて理解する。 |
第15回 | 運動療法における心腎連関と分子メカニズム(担当:小川佳子) 運動療法における心臓と腎臓の臓器連関とその分子レベルでのメカニズムについて理解する。正常組織と病的組織の組織標本を観察し、組織学的評価についても実践する。 |