担当者 | 中谷 直司教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [社会学科] | |
科目ナンバリング | SOC-113 |
【障碍などで配慮が必要な場合は、LMS上に記載するメールアドレスに連絡を下さい(大学からの連絡は履修が最終確定して以降になるため。】
国際社会(英語にすればInternational Society; International Community; Global Community等々)とは何か。この質問に答えることは、通常考えられる以上に難しく、国際関係論の専門家にとっても容易ではない。国際社会は(おそらくかなり確実に)存在するのだが、それは曖昧で、多用で、我々が日常慣れ親しんでいる国内社会とも多くの点で異なるからである。
以上の問題意識のもと、グローバル社会論Ⅱでは、非伝統的な安全保障概念である「人間の安全保障」(国家の防衛ではなく、戦争をはじめとした大規模な社会変動や深刻な災害から、個々人の尊厳とそれを支える社会的、経済的、文化的幸福を防衛する行為)に焦点をあわせて、同テーマを理解するのに有用な4つのトピックを各2回で解説する。その上で、各テーマに関連した発表課題にいくつかの班にわかれて取り組みし、授業内で発表し、全体で議論する。こうすることで、国際社会がより安定し、平和で、かつ公正なものとなるためには、どのような問題を克服しなければならないのかを、クラス全体のディスカッションを通じて考察する。
具体的な4つのトピックは以下の通り。
1.「人間の安全保障」の誕生・広まりと「保護する責任」、2.アジア・アフリカ地域を中心に頻発する国内・国際紛争に、国際社会による「平和構築」が果たしうる役割と、今後の課題、3.現代世界の平準化(平等化)の主要な原動力の一つである「移民」が、国際および国内社会にとって持つ意味、4.中東からの大量の難民をヨーロッパ諸国が受け入れた背景と、ヨーロッパ社会への影響、である。
以上の様に、授業では講義だけでなく、グループおよび全体でのディスカッションの時間を積極的に設けることで、受講生の能動的な学習を促進する。
(1)国際平和や正義、日本の対外行動を論じる際に、規範論(こうあるべき)と、事実評価(なぜこのような問題が起こるのか)を(まずは)区別して考えられるようになる。(C~B評価)
(2)国際社会の基本的な特徴と日本との相互関係を多角的に理解するための基本的な視角を、「人間の安全保障」問題を中心に身に付ける。(B評価)
(3)国際社会が、より安定し、平和で、かつ公正なものとなるためには、どのような問題を克服しなければならないのか、そのために日本が果たすべき(あるいはこれまでに、破壊的なものを含めて、果たしてきた)役割とは何かを、各受講生が考察できるようになる。(A評価)
(4)(3)の自らの考察を、根拠・理由を明確に示して、他者に説明できるようになる。(S評価)
・授業参加50%(リアクションペーパーの内容;ディスカッションへの参加;新聞記事のミニプレゼン)
・グループ発表50%(グループワークでの貢献と活躍、課題の提出状況、プレゼンテーションの完成度、質問された数)
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 教科書は指定しない。 | ||
参考文献 | 『入門 人間の安全保障──恐怖と欠乏からの自由を求めて』 | 長有紀枝 | 中央公論新社 (中公新書) |
参考文献 | 『保護する責任──変容する主権と人道の国際規範』 | 政所大輔 | 勁草書房 |
参考文献 | 『平和構築入門──その思想と方法を問いなおす』 | 篠田英朗 | 筑摩書房 (ちくま新書) |
参考文献 | 『平和構築―アフガン、東ティモールの現場から』 | 東大作 | 岩波書店(岩波新書) |
参考文献 | 『移民大国アメリカ』 | 西山隆行 | 筑摩書房 (ちくま新書) |
参考文献 | 『移民の政治経済学』 | ジョージ・ボージャス(岩本正明訳) | 白水社 |
参考文献 | 『難民問題──イスラム圏の動揺、EUの苦悩、日本の課題』 | 墓田桂 | 中央公論新社(中公新書) |
参考文献 | 『ルポ 難民追跡──バルカンルートを行く』 | 坂口裕彦 | 岩波書店(岩波新書) |
・授業内容を踏まえて、次回授業で答えてもらいたい質問をLMSで提出する。リアクションペーパーに書く(毎回)。
・授業内容にそくした新聞記事(オンライン記事)をLMSの掲示版に投稿し、趣旨を説明する2分ミニプレゼンの準備をする(1人1-2回程度担当)。
・グループ発表に向けて、課題文献の読解と読書ノートの作成、班員との意見交換、スライド作成を行う。
(1)教科書は使用しない。講義では毎回レジュメを配付し、講義全体の構造・流れを各受講生が確認しやすくする。あわせて、関連するビデオ教材なども積極的に使用し、理解の促進を図る。スライド資料も適宜用いる。
(2)講義では毎回リアクションペーパーを配付し、授業に対する感想・質問を書いてもらう。質問については、2~3をピックアップし、次回の授業冒頭で回答する。
(3)受講生の関心や人数に応じて、進度や内容を一部調整することがある。
回 | 授業内容 |
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第1回 | イントロダクション──授業の進め方と狙いの説明 |
第2回 | 人間の安全保障1──概念の登場・広がりとその背景 |
第3回 | 人間の安全保障2──「保護する責任」は誰にあるのか |
第4回 | 平和構築1──その思想と方法 |
第5回 | 平和構築2──克服すべき課題と日本の役割 |
第6回 | 移民1──「移民」とは誰か(なぜ必要とされ、同時にしばしば非難されるのか) |
第7回 | 移民2──日本の「移民」経験(移出と移入と) |
第8回 | 難民1──「難民」とは誰か(なぜ発生し、彼らはどこへ向かうのか) |
第9回 | 難民2──日本の「難民」政策──過去の受け入れ経験と現在の事実上の「拒絶」 |
第10回 | ディスカッション1──人間の安全保障に日本はどう貢献できるか/貢献すべきか |
第11回 | ディスカッション2──平和構築に日本はどう貢献できるか/貢献すべきか |
第12回 | (オンライン)ディスカッション3──日本の外交方針と移民・難民政策は整合的か |
第13回 | 課題文献のグループ発表1 |
第14回 | 課題文献のグループ発表2 |
第15回 | 課題文献のグループ発表3 |