担当者 | 中谷 直司教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [社会学科] | |
科目ナンバリング | SOC-112 |
【障碍などで配慮が必要な場合は、LMS上に記載するメールアドレスに連絡を下さい(大学からの連絡は履修が最終確定して以降になるため】
国際社会(英語にすればInternational Society; International Community; Global Community等々)とは何か。この質問に答えることは、通常考えられる以上に難しく、国際関係論の専門家にとっても容易ではない。国際社会は(おそらくかなり確実に)存在するのだが、それは曖昧で、多用で、我々が日常慣れ親しんでいる国内社会とも多くの点で異なるからである。
以上の問題意識のもと、グローバル社会論Ⅰでは伝統的な安全保障と戦争と焦点をあわせて、まず授業の前半では同テーマを理解するのに有用な4つのトピックを各2回で解説する。その上で、各テーマに関連した課題文献を、いくつかの班にわかれて読解し、その内容を班ごとに授業内で発表し、全体で議論する(課題文献の候補は参考文献を参照のこと;希望者全員に貸与を予定)。こうすることで、国際社会がより安定し、平和で、かつ公正なものとなるためには、どのような問題を克服しなければならないのかを、クラス全体のディスカッションを通じて考察する。
具体的な4つのトピックは以下の通り。
1.20世紀に入って出現した集団安全保障(国際連盟、国際連合)の特質と、より伝統的な枠組みである軍事同盟(集団防衛)の関係、2.20世紀の二度の総力戦が、現代国際社会の基本的な性格に与えている影響、3.結果的に70年以上に及ぶ「長い平和」を実現した冷戦の基本的な性格と、現在の国際社会の基本構造に及ぼしている影響、4.ヨーロッパ中心に国際秩序で、新しい大国としてアメリカが台頭した影響。
(1)国際平和や正義、日本の対外行動を論じる際に、規範論(こうあるべき)と、事実評価(なぜこのような問題が起こるのか)を(まずは)区別して考えられるようになる。(C~B評価)
(2)国際社会の基本的な特徴と日本との相互関係を多角的に理解するための基本的な視角を、安全保障問題を中心に身に付ける。(B評価)
(3)国際社会が、より安定し、平和で、かつ公正なものとなるためには、どのような問題を克服しなければならないのか、そのために日本が果たすべき(あるいはこれまでに、破壊的なものを含めて、果たしてきた)役割とは何かを、各受講生が考察できるようになる。(A評価)
(4)(3)の自らの考察を、根拠・理由を明確に示して、他者に説明できるようになる。(S評価)
・授業参加50%(リアクションペーパーの内容;ディスカッションへの参加;新聞記事のミニプレゼン)
・グループ発表50%(グループワークでの貢献と活躍、課題の提出状況、プレゼンテーションの完成度、質問された数)
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 教科書は指定しない。 | ||
参考文献 | 『日本の外交──「戦後」を読みとく』 | 添谷芳秀 | 筑摩書房(ちくま学芸文庫) |
参考文献 | 『平和のための戦争論──集団的自衛権は何をもたらすのか?』 | 植木千可子 | 筑摩書房 (ちくま新書) |
参考文献 | 『第一次世界大戦』 | 木村靖二 | 筑摩書房(ちくま新書) |
参考文献 | 『容赦なき戦争』 | ジョン・ダワー (猿谷要、斎藤元一訳) | 平凡社 (平凡社ライブラリー) |
参考文献 | 『米国初代国防長官フォレスタル──冷戦の闘士はなぜ自殺したのか』 | 村田晃嗣 | 中央公論新社 (中公新書) |
参考文献 | 『米中戦争前夜──新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ』 | グレアム・アリソン(藤原朝子訳) | ダイヤモンド社 |
参考文献 | 『アメリカ後の世界』 | ファリード・ザカリア | 徳間書店 |
参考文献 | 『「Gゼロ」後の世界―主導国なき時代の勝者はだれか 』 | イアン・ブレマー(北沢格訳) | 日本経済新聞社 |
・授業内容を踏まえて、次回授業で答えてもらいたい質問をLMSで提出する。リアクションペーパーに書く(毎回)。
・授業内容にそくした新聞記事(オンライン記事)をLMSの掲示版に投稿し、趣旨を説明する2分ミニプレゼンの準備をする(1人1-2回程度担当)。
・グループ発表に向けて、課題文献の読解と読書ノートの作成、班員との意見交換、スライド作成を行う。グループ発表の時間は授業内にも確保するが、それ以外にも、通常の授業と同じ程度の授業外での準備作業が必要である。
(1)教科書は使用しない。講義では毎回レジュメを配付し、講義全体の構造・流れを各受講生が確認しやすくする。あわせて、関連するビデオ教材なども積極的に使用し、理解の促進を図る。スライド資料も適宜用いる。
(2)講義では毎回リアクションペーパーを配付し、授業に対する感想・質問を書いてもらう。質問については、2~3をピックアップし、次回の授業冒頭で回答する。
(3)受講生の関心や人数に応じて、進度や内容を一部調整することがある。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 国際社会とはどんなところか──その基本的な性格と来歴 |
第2回 | 集団安全保障と集団自衛1──国際連盟と国際連合がめざしたもの |
第3回 | 集団安全保障と集団自衛2──日本外交史にみえる「同盟のディレンマ」 |
第4回 | 総力戦と現代世界1──「遅れてきた」平和主義国家・日本 |
第5回 | 総力戦と現代世界2──1つの国際社会・3つの国際政治 |
第6回 | 冷戦1──なぜ始まったか/日本ヘの原爆投下と冷戦開始をめぐる論争 |
第7回 | 冷戦2──なぜ安定したか/「長い平和」は世界と日本に何をもたらしたか |
第8回 | アメリカ1──新しい(超)大国は世界をどう作りかえたか |
第9回 | アメリカ2──"覇権国"アメリカなき国際秩序を考える |
第10回 | ディスカッション1──国連と同盟には何ができるか;グループ発表に向けたグループワーク |
第11回 | ディスカッション2──戦争は日本社会をどう作りかえたか;グループ発表に向けたグループワーク |
第12回 | (オンライン)ディスカッション3──新しい冷戦はやってくるか(やってきているか);グループ発表に向けたグループワーク |
第13回 | 課題文献のグループ発表1 |
第14回 | 課題文献のグループ発表2 |
第15回 | 課題文献のグループ発表3 |