担当者 | 田中 俊光教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [総合基礎科目] | |
科目ナンバリング | POL-105 |
この講義では、朝鮮半島における政治史、さらには朝鮮半島と東アジア諸国との外交史・国際関係史を学修する。
朝鮮半島の歴代王朝の政治は、単に国内政治の問題だけでなく、陸続きの中国大陸の漢民族や北方民族の国との関係、さらには海を隔てた日本との関係のなかで展開したものが少なくない。たとえば、中国の歴代王朝のうち、高圧外交を示した王朝には、結果的に君臣関係を結んだとしても完全に心服しない政治姿勢が示されたし、日本とは古くから関係があり、多くの人的往来があったが、両国は古代以降、異なる政治のしくみと権力構造をもち、中国を中心とする華夷秩序への意識も同じでなかったため、さまざまな政治上の疑念や軋轢が生まれ、近代における日本による朝鮮統治による蔑視と怨恨は、今でもわだかまりとして根強く残っている。
日韓で歴史観をめぐる議論が噴出すると、韓国の政治家が日本に対して「正しい」歴史認識を共有するよう要求する場面がしばしばメディアで報じられる。しかし、何が正しく、正しくない(歪曲)のか、また、韓国が共有するよう要求する「正しい」歴史認識とはどんなものなのか、日本人が知ることができなければ議論すらできない。問題の実践的な解決に向けて、朝鮮半島の政治・外交の歴史、特に韓国(および北朝鮮)の学術界における歴史認識を理解する必要があろう。
春期は、先史時代から17世紀初の朝鮮時代中期までに関する政治史・外交史を取り上げる。
朝鮮半島の政治・外交について、歴史的背景から理解し説明できる。
朝鮮半島の政治・外交史を通じて、史観の違いによって歴史的事実に対する意義付けが異なり得ることを理解できる。
授業への取組み(30%)および期末試験(70%)で評価する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 特定のテキストは使用しない。毎回授業のレジュメを配布する。 | ||
参考文献 | 《世界歴史大系》朝鮮史1先史~朝鮮王朝 | 李成市ほか編 | 山川出版社 |
参考文献 | 東アジア史のなかの日本と朝鮮:古代から近代まで | 吉野誠 | 明石書店 |
参考文献 | 朝鮮の歴史 : 先史から現代 | 田中俊明編 | 昭和堂 |
参考文献 | 韓国社会の歴史 | 韓永愚(吉田光男訳) | 明石書店 |
参考文献 | その他、講義の中で適宜紹介する。 |
授業は、配布するプリントに従って進めていくので、それまでに配布したプリントを読んで復習しておくこと。
次回の授業で使用するプリントを事前に配布するので、プリントの括弧内に入るキーワードを授業前に自分で調べて書き入れること。
参考書として指示した文献の関連部分をあらかじめ読むこと。
興味関心を持って授業に臨むこと。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 《オンライン授業》ガイダンス/先史時代――旧石器~青銅器・初期鉄器時代 |
第2回 | 《オンライン授業》古代国家形成期――古朝鮮・漢四郡・三韓 |
第3回 | 三国時代(1)――4~5世紀の政治/神功紀七国平定記事/七支刀銘文 |
第4回 | 三国時代(2)――広開土王碑の解釈/倭の五王 |
第5回 | 三国時代(3)――6~7世紀前半の政治/栄山江流域の前方後円墳/白村江の戦での新羅軍 |
第6回 | 統一新羅時代――7世紀後半~9世紀の政治/渤海との関係 |
第7回 | 高麗前期(1)――10世紀~12世紀前半の政治/後三国政権/門閥家門の成長/統治機構 |
第8回 | 高麗前期(2)――対外関係史(対北方民族/対宋/対日本) |
第9回 | 高麗中期――12世紀後半~13世紀前半の政治/武臣政権/三別抄/対元関係 |
第10回 | 高麗後期――13世紀後半~14世紀の政治/事元期/反元運動と新興儒臣層/倭寇対策としての対日外交 |
第11回 | 朝鮮初期(1)――14世紀末~15世紀中葉の政治/王権の強弱と国政運営 |
第12回 | 朝鮮初期(2)――対明外交/女真人・倭人への授職政策/前期倭寇 |
第13回 | 朝鮮中期(1)――15世紀後半~17世紀初の政治/戊午・甲子士禍、己卯士禍、乙巳士禍/壬辰・丁酉倭乱 |
第14回 | 朝鮮中期(2)――後期倭寇/三浦の乱/偽使 |
第15回 | まとめ |