近代思想Ⅱ
担当者濱田  陽教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [日本文化学科]
科目ナンバリングPHE-102

授業の概要(ねらい)

 前期に探求した生命と文化の時空の世界観を元に、自然と生きものの豊かさのメタファーとしての龍鱗、暦・名・人生の多様性、新たな年を迎えることの深い意味等の具体例を分析する。その上で、存在と時空をめぐる探求の先に、死にいたる生と対照的な世界の見方を開く「生なる死」の概念を提起し、その可能性を考察する。

授業の到達目標

 生命と文化と死をめぐる世界観への多様な想像力を養い、講義内容をふまえて自身の思考を展開し、内容の深い考察をまとめる思考力、文章表現力を身につける。

成績評価の方法および基準

 授業参加、期末レポートにより総合評価 

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『生なる死――よみがえる生命と文化の時空』濱田陽ぷねうま舎、2021年
※必ず大学内の書店等で購入して下さい。授業、期末レポート作成に必須です。
教科書
参考文献

準備学修の内容

・毎回の授業の事前・事後学修として、平均して毎週30分以上の教科書通読が、到達目標達成に最低限基本となる。一回の授業で平均10ページほど進むことを目安とする。
・学修内容の理解、期末レポートの準備に役立てるため、教科書から、印象に残った見出しと本文箇所を引用し、その理由を数行書いてLMSオンライン上で提出する課題を出すことがある。

その他履修上の注意事項

・コロナなどの状況を考慮し、対面授業のなかでアプリ・ツイキャスも活用して、欠席時には授業内容をオンラインでリアルタイム、事後的に聴講できるようフォローアップを行うなど、多くの履修者が学修ペースをつかみやすくなるよう工夫、授業参加度も履修者の立場から、柔軟かつ公平に評価する。
・授業に沿って教科書本文の着目すべき箇所を自分の判断でマークし、気づいたことや考えを主体的にメモするなど(教科書に書き込んでもポストイットなどを用いてもよい)、少しずつ理解を深めていって欲しい。
・「7.授業内容」には教科書各章が割り振られているが、章によって分量の差があるため、じっさいの授業進行はある程度前後することがある。
・LMSオンライン上で重要情報はUPしていくため、対面授業前後にLMSの方も確認してほしい。
・出欠についての申告(公欠、学生証忘れ、出校停止、発熱などによる病欠等)は当科目のLMSオンラインの「掲示板」に統一する。掲示板の出欠申告に関するフォーラムをクリックし、スレッドの作成から件名に学籍番号、該当授業月日、欠席理由を簡潔に記入、メッセージ欄に具体的な状況を書いて送信すること。

授業内容

授業内容
第1回第一章から第五章について前期の学びをふりかえり、授業で用いる教科書の特徴について解説する
第六章 自然、生きものの豊饒―龍と龍鱗 一 龍鱗の始原 二 変容し、増殖する鱗
 龍と人の関係性について学ぶ
第2回第六章 自然、生きものの豊饒―龍と龍鱗 三 龍鱗のなかの逆鱗
 龍と人の関係性について学ぶ
第3回第七章 時空、名前、人生は一か多か 一 一、ゼロ、多様 二 「一つ」の歴史性
 暦、名前、数え年の多様性について学ぶ
第4回第七章 時空、名前、人生は一か多か 三 暦・名・歳を統一する制度、観念のゆらぎ
 暦、名前、数え年の多様性について学ぶ
第5回第八章 若水と新年 一 若返りの水と新たな年 二 若水のメタファー
 新年の思想的意味について考察する
第6回第八章 若水と新年 三 いくつもの時空の更新をともに経験する
 新年の思想的意味について考察する
第7回第九章 生なる死 一 死にいたる生と生なる死
 生物個体としての死ではない関係性の根本的変容としての「生なる死」の概念について考察する
第8回第九章 生なる死 二 死の形態と時空
 生なる死、生物個体としての死、アルゴリズムとデータの死という三つの死の形態を比較、考察する
第9回第九章 生なる死 三 生なる死の復権
 生なる死の文化的、文明的意義について学ぶ
第10回第十章 新たなる時空 一 人としての関係性 二 時空と祈り
 人としての関係性をさらに掘り下げて考察する
第11回第十章 新たなる時空 三 わたしであること、新たな関係性の驚き
 生なる死と新たなる時空の深いつながりについて考察する
第12回結序章 人知を超えるものの生なる死
 人知を超えるものと生なる死の関係について考察する
おわりのおわり
第13回後期の授業の到達目標に向けて、期末レポート提出直前のまとめ
 第六章から結序章までの学習内容で得た「存在と時空」「生死」への新たな視座、知識のポイントをふりかえる
第14回講義のまとめ
 学習を振り返り、存在と時空をめぐる思想の多様性と豊かさについて考察する
第15回期末レポートのテーマ発表・解説 *LMSオンデマンド形式による授業、第11回前後(12月上旬)に実施予定