文化財科学Ⅰ
担当者藤澤  明教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [文学研究科 日本史・文化財学専攻]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 本講義では文化財を科学的な視点から読解し、材料・技法・環境に関する多様な情報を収集・分析して文化財研究の方法論を理解することを目的とします。  
 文化財が製作された背景には、構成する材料が入手可能であること、加工する道具があること、加工する技術があること、流通や販路が確保できていることが不可欠です。よって、文化財を対象に自然科学的手法を用いて研究することで、作られた当時の歴史的、文化的、民俗学的、技術的背景の一端を明らかにできます。
 本授業では、これまでに文化財の科学的研究によってどんなことが分かって来たのか、世界の研究事例や論文を通して紹介します。これにより研究手法の多様性を学び、各自の修論研究をより高い次元で行うことを目指します。

授業の到達目標

 自然科学的調査で得られた結果を歴史研究成果と結び付け、議論できる能力を高めることを目標とします。

成績評価の方法および基準

 2回のレポート課題(各50%)で評価します。課題の内容は、①各自の研究対象について自然科学的手法を取り入れることを検討、②その手法の問題点の考察になります。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献考古科学と自然科学日本文化財科学会日本文化財科学会
参考文献ArchaeometryUniversity of OxfordUniversity of Oxford

準備学修の内容

 自然科学的調査には、一般化学、分析科学、材料科学の知識が必要です。各自の研究テーマに沿った理系書を利用して各自勉強してください。参考図書は個別に指示します。また本講義内で英語論文を取り扱います。事前に配付するので分らない英単語は調べてきてもらいます。

その他履修上の注意事項

 文化財科学Ⅱを履修する前に本授業の履修をおすすめします。ⅡはⅠとの連続した内容になります。

授業内容

授業内容
第1回研究倫理と不正
第2回文化財を使用した研究に必要な手続及び管理と取扱
第3回文化財研究概論1ー分析手法ー
第4回文化財研究概論2ー実験手法ー
第5回分析データの読み取り方と整理方法(オンライン)
第6回図表の作成方法と誤差の扱い
第7回先進的な分析方法を取り入れた自然科学的研究1ー非破壊分析ー
第8回先進的な分析方法を取り入れた自然科学的研究2ー微量試料分析ー
第9回年代同定の新たな方法論確立
第10回産地推定の新たな方法論確立
第11回鉛同位体比を用いた研究の世界的な動向ー中央アジアー
第12回鉛同位体比を用いた研究の世界的な動向ー中国ー
第13回鉛同位体比を用いた研究の世界的な動向ーヨーロッパー
第14回再現実験の方法論
第15回比較研究の方法論