日本文化講読(古典文学A)Ⅱ
担当者木村 康平教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [日本文化学科]
科目ナンバリングJLT-216

授業の概要(ねらい)

 万葉集を読みます。
 万葉集は年代の判明するところでは、およそ舒明朝(629~641)から淳仁朝の天平宝字3年(759)までの約130年間の歌を集めた、我が国に現存する最古の和歌集です。この間には大化改新・壬申の乱・大宝律令の制定・奈良遷都・大仏開眼など、さまざまな歴史的事件があいついで起こりました。万葉集には、そうした時代を背景として生みなされた人々の哀歓が歌い込められています。また、それらの歌を読むことによって、当時の人々の暮らしぶりや文化をうかがい知ることができます。
 万葉集にはじめてふれる人、古文はどうも苦手だという人にも分かりやすい授業を心がけます。

授業の到達目標

 古典の基礎知識について理解することができる。
 和歌の表現技法について説明することができる。
 万葉集の基礎的事項について説明することができる。
 万葉びとの思想や信仰などについて理解し、説明することができる。
 以上を到達目標とします。

成績評価の方法および基準

 学期末試験(50%)と、平常点(授業への意欲・コメントシート・短歌クイズ・レポートなど。50%)をあわせて評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書毎回プリントを用意します。テキストは用いません。
 
教科書
参考文献『柿本人麻呂』多田一臣吉川弘文館
参考文献『柿本人麻呂《全》』橋本達雄編笠間書院
参考文献『セミナー万葉集の歌人と作品』全巻和泉書院
参考文献『萬葉集全注』有斐閣

準備学修の内容

 ・配付するプリントを授業のあとでよく読みかえして復習してください。
 ・毎回プリントに記してある「質問」について、後日、自ら調べ、考えを深めてください。
 ・上記の参考文献や、授業時に紹介する参考文献に目をとおしてください。
 ・自ら疑問を立てて、それについて発展的に考える習慣を身につけてください。

その他履修上の注意事項

 配付するプリントは保存してください。試験の際に必要です。
 出席することが大切です。試験を受けるだけでは単位を取得できません。
 授業の終了時には毎回コメントシートの提出があります。
 コメントシートには、プリントの「質問」について、答えを書いてください。評価の対象となります。
 また、授業のマナーを守ること。授業時のスマホの使用は不可です。
 毎回の授業内容は、進行状況により、一部変更することがあります。あらかじめ、ご了承ください。

授業内容

授業内容
第1回万葉集についての基礎的な説明
柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)①(王権と和歌ー宮廷歌人の登場)
第2回柿本人麻呂②(鄙の女と貴公子の愛と別れー万葉集の貴種流離譚)
第3回柿本人麻呂③(愛する女を突然喪った男はどうするか)
第4回柿本人麻呂④(若妻の死と、幼子を抱いて途方に暮れる男)
第5回柿本人麻呂の歌集(和歌を文字に記すこと)
第6回高市黒人(たけちのくろひと)ー旅の詩人(都市と地方の成立)
第7回長意吉麻呂(ながのおきまろ)ー歌の道化者(ナンセンスなことをうたう意味は何か)
第8回山部赤人(聖武天皇の登場と宮廷歌人の活躍)
大伴旅人(世界は空虚であることの認識と人生の哀しみ)
第9回髙橋虫麻呂ー伝説を歌うことの意味
第10回和歌とはなにか(神の謎言葉と、神と巫女の婚の関係)・和歌の様式(上下二部構造)
(オンライン授業)
第11回山上憶良①(愛苦ー愛することは苦しみである)、子を愛することと、愛する子を喪うこと(世界は不条理に満ちている)
第12回山上憶良②(我らは、それでも、なぜ苦の世界を生きねばならないか)
第13回東(あづま)なる地の歌・防人(さきもり)の歌ー東国の人びとの哀歓
第14回大伴家持①(孤独の発見・和歌における感受性の成立)
第15回大伴家持②(自然を美と見ることはどのように始まるか)