日本文化講読(古典文学A)Ⅰ
担当者木村 康平教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [日本文化学科]
科目ナンバリングJLT-215

授業の概要(ねらい)

 万葉集を読みます。
 万葉集はわが国に現存する最古の歌集です。700年頃から780年頃までの間に、複数回の手を経て成立しました。最も年代の新しい歌は759年の作品です。したがって、今からおよそ1300年ほど前の歌々が載せられていることになります。古代の和歌集ですが、恋愛の歌などには今のわたしたちと共通する感受性を思わせるところがあります。また、今日のわたしたちの美意識や文章表記の方法など、さまざまなところで万葉集が影響を及ぼしていることを知ることができます。万葉集を読み解くことは、わたしたち自身の文化について知ることにつながります。
 古文の知識がない人にもわかりやすく話します。ただし、専門科目でもありますので、最近の研究動向についてもふれたいと思います。
 前期は、「前期万葉」と呼ばれる時代-奈良時代になる前-の歌を主に読みます。

授業の到達目標

 古代の文学に親しみ、古代の和歌に関する基礎的な知識を理解することができる。
 万葉びとの暮らしや考え方、呪術や信仰などの基本について理解することができる。
 以上を到達目標とします。

成績評価の方法および基準

 試験(50%)と平常点(授業への意欲・コメントシート・短歌クイズ・レポートなど。50%)をあわせて評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書毎回、プリントを用意します。テキストは用いません。
 
教科書
参考文献『額田王』菊池威雄著新典社
参考文献『額田王』梶川信行ミネルヴァ書房
参考文献『柿本人麻呂』橋本達雄著新典社

準備学修の内容

・毎回プリントを配付します。プリントの内容量が多いので、授業で説明できなかった箇所は各自、授業の後、必ず読んでください。
・上記の参考書や、授業で紹介する参考文献について各自でふれる機会を持ってください。特に、取り上げる作品について、授業の前後に読んでください。
・自ら疑問を立て、発展的に学習することを心がけてください。

その他履修上の注意事項

・試験の時に必要なので配付プリントは保存してください。
・授業の終わりに毎回、「質問」をいくつか出すので答えをコメントシートに記述して提出してください。評価の対象となります。
・出席することが大切です。試験だけでは単位を取得することはできません。
・遅刻をしないように。授業のマナーを守っておしゃべりをしない。授業時のスマホの使用は不可とします。

授業内容

授業内容
第1回元号と万葉集(元号=年号とは何でしょうか)
第2回王の歌①(聖婚の儀礼と歌垣行事)
第3回王の歌②(王の国見儀礼ー国土の豊饒と支配)
第4回王の歌③(狩りの歌ー恋情をもって王を讃美する方法)
第5回中皇命(ナカノミコノミコト)の旅の喜びと、有間皇子事件
第6回額田王①(恋歌の成立ー恋情の内省化)
第7回額田王②(神の山ー三輪山と王権の関係)
第8回額田王③(春と秋、いずれが憐れか)
第9回近江宮廷の華やぎ(貴族文化と和歌、額田王と鏡王女をめぐる男たちー中大兄皇子・中臣鎌足)
第10回万葉集の基礎知識(編纂と成立、時代と背景)
(オンライン授業)
第11回天智天皇の死を悼む女性たち(英雄の死と女たちの悲嘆)
第12回天武天皇の死と持統天皇(天皇号と日本の国名など)
第13回大津皇子の悲劇(王権への叛逆者を歌うことの意味―恋物語として語る歴史)
第14回柿本人麻呂の登場(天皇の成立と王権讃美)
第15回前期万葉の流れ・まとめ