児童発達心理学
担当者木原 久美子教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [心理学科 2018年度以降]
科目ナンバリングDEP-102

授業の概要(ねらい)

 本授業では、胎生期、乳幼児期・児童期といった初期発達における主要な発達現象に焦点を当て、育ちの原点、育つ原動力、環境と発達の関係について、当事者である子どもの視点から考える。児童期までの発達に関する授業であるが、その後の青年期・成人期の発達の土台となるものを取り上げていく。例えば、知能、コミュニケーション、仲間関係、遊び、学習等である。これらの検討では、個と社会、家庭、園、学校との関係にも留意する。
 授業は、講義と課題提出を組み合わせて行う。課題は、講義2~3回分をまとめて、過去の授業内容の復習として出題する。それぞれのトピックスは、過去の授業内容をベースに組み立てられているので、復習することが重要である。

授業の到達目標

(1) 発達は「できるようになること」ではないことを学ぶ。
(2) 人が育つ環境が、人の"こころ"に与える影響を学ぶ。
(3) 発達に伴う悩み・課題・支援の方法を学ぶ。
 

成績評価の方法および基準

 授業資料に対する課題の提出(13回×5点=65点)、まとめの試験あるいはレポートへの取り組み(35点)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 テキストは指定しない。参考文献は適宜紹介する。なお、配布資料はLMSにて配信する予定である。
参考文献

準備学修の内容

(1)LMSに授業資料を事前に掲載するので、授業前に読んでポイントを整理する。
(2)授業資料の課題は、授業3回に1回出題するので、期日までに回答をLMSを通じて提出する。

その他履修上の注意事項

(1)発達心理学に関する授業を併行でもよいので履修することが望ましい。「発達心理学概論(心理学科)」「障害者・障害児心理学( 心理学科)」「実践発達科学Ⅰ・Ⅱ(オープン科目)」等。
(2)授業に関する重要な連絡や資料の配付はLMSで配信するので、必ず確認すること。

授業内容

授業内容
第1回授業の紹介と進め方を説明する。
授業で取り上げるテーマは以下の通りである。
発達とは何か:発達の語源、人のシステムとしての特徴を学ぶ。胎生期の発達の特徴を学ぶ。
第2回発達の道筋を考える:発達心理学の先駆者であるピアジェ、エリクソン、ワロン、ヴィゴツキーの考えを比較しながら、それぞれが重視している点、共通点と相違点を整理し、発達の考え方について学ぶ。受講生は、自分のこれまでの発達を振りまとめる(レポート提出)。
第3回知能を測る目的と運用:心理学は社会的なニーズに応えるために知能の測定の研究をもとに発展してきた学問分野である。開発当時の社会のニーズを振り返りつつ、知能についての考え方と運用について、最初に知能検査を開発したビネーの理論をもとに学ぶ。
第4回IQとDQ: ビネー以降の知能指数の導入に伴う考え方の変遷を整理し、知能指数の使い方を学ぶ。合わせて、発達検査についても取り上げ、知能検査との違いを学ぶ。例として新版K式発達検査を取り上げる。
第5回他者との関係性を築く:初期のコミュニケーションの特徴が、ことばのやりとりの原点である。ことばのやりとりに伴う違和感を、初期コミュニケーションの仕組みに基づいて学ぶ。
第6回ことばの土台となるもの:初期のコミュニケーションからことばへの移行に至るプロセスについて学ぶ。
第7回幼稚園が育むもの:最初の自立を促す場である幼稚園における子どもの意識の変化について学ぶ。
第8回子どもの入園と親の意識:子どもが入園することで親の意識がどう変わるかを学ぶ。
第9回遊びの不思議:遊びとは何か、遊びを通して何が育つのかを学ぶ。
第10回架空の存在を信じる心:想像の世界の出来事を信じる心について学ぶ。
第11回遊びとしての描画:幼児期になぜ描画に熱中するのか、なぜその後衰退するのか、その謎について考え、子どもにとっての描画の意味について学ぶ。自閉症児の絵と通常の子どもの絵を比較しながら検討する。
第12回学校への移行:学校への移行に伴う子どもと家族の意識の変化について学ぶ。
第13回学校という場の特殊性:学校の特殊性を理解し、学びを促すメカニズムや不登校やいじまなどの問題の発生要因について学ぶ。
第14回学校の中での心理学的支援:学校という場の特徴をふまえた心理的支援の考え方を学ぶ。
第15回授業のまとめ・最終課題提出。(オンライン)