産業論Ⅱ
担当者堀内 英次教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECP-210

授業の概要(ねらい)

 90年代以降急速に進展した経済のグローバル化は、日本企業の海外展開を急速に推し進め、その結果大きく進展した国際分業は、日本の産業構造に大きな影響を与えてきた。特に近年グローバル競争は激化しており、またデジタル化が急速に進展する中で、日本企業は韓国や中国などのアジア系企業、またグローバル展開の進む欧米企業との競争に苦戦し、その結果各産業はめまぐるしく変化を遂げている。グローバル化とデジタル化は、日本企業の国際競争に影響を与えるだけでなく、人々の暮らしにも、ビッグデータやIoT、AIを活用したデジタルサービスの拡大、働き方の変化や格差の拡大などを通じて影響を与えつつある。
 本講義の最初は産業論Ⅰの続きであり、産業構造の変遷の中での政府の政策の役割を考察する。その後は日本の産業構造Iの各論にあたり、繊維産業、電機機器産業、自動車産業など、日本の主要産業の戦後の発展を概観する。特にそれぞれの産業の発展を、技術革新、政府の役割、国際展開に焦点を当てた上で概観し、グローバル競争の中での各産業の動向を考察し、経済環境の変化が産業によって大きく異なる影響を与えてきたことを確認する。特に、電機機器産業では、グローバル化やデジタル化の中で台頭したGAFAやアジア企業との競争や、その中でのICT産業の世界的な拡大を取り上げる。また、自動車産業では、地球温暖化の中でのエコカー開発をはじめ、自動運転技術の実用化に向けたIT企業の参入、国家のイノベーション戦略の影響も働く中での大きな業界構造の変化など、最近の動向についても考察していく。

授業の到達目標

①様々な統計データを駆使することを通じて、戦後日本の経済発展を産業構造の転換という観点から把握できるようにする
②各産業が技術変化、国際分業、政府の政策などを通じどのように発展してきたかを比較分析する力を養う
③経済学的な観点から産業構造の変化を分析する力を修得する

成績評価の方法および基準

(1) 確認テスト(毎回を予定)(到達目標①②③) 50%
(2) 期末試験 (到達目標①②③)     50%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『グローバル化・デジタル革命のインパクト:日系電機の凋落と官民の改革』 堀内英次中央経済社
参考文献

準備学修の内容

 講義の教科書、および講義で随時紹介する関連図書を精読することが望ましい。

その他履修上の注意事項

3年次に堀内の演習受講を考えている学生は、履修しておくと良い準備になる。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス
5. 産業構造の変遷と政府の役割
 5.1. 戦後復興期、高度成長期の市場介入政策
第2回5. 産業構造の変遷と政府の役割
 5.2. 石油ショック以降の市場メカニズム重視の産業政策への転換
第3回5. 産業構造の変遷と政府の役割
 5.3. 80年代、90年代の民営化と規制緩和の推進
第4回5. 産業構造の変遷と政府の役割
 5.4. 2000年以降のグローバル化の進展の中での国内産業振興策
第5回6. 繊維産業
 6.1. 繊維産業の概要と発展の歴史
第6回6. 繊維産業
 6.2. 繊維産業の国際分業の進展
 6.3. 80年代以降のアパレル産業におけるビジネスモデルの変化
第7回6. 繊維産業
 6.4. 事例研究:ファーストリテイリングの成長とグローバル戦略
第8回7. 電気機器産業
 7.1. 電気機器産業の概要と発展の歴史
第9回7. 電気機器産業
 7.2. 石油ショック後の発展とエレクトロニクス製品市場における成功(70〜80年代)
第10回7. 電気機器産業
 7.3. 技術のデジタル化、グローバル化と欧米企業の復活、アジア企業の台頭(90年代以降)
第11回7. 電気機器産業
 7.4. 日本の大手電機の構造改革(2000年以降)
第12回8. 自動車産業
 8.1. 自動車産業の概要と発展の歴史
第13回8. 自動車産業
 8.2. 自動車産業の発展と国際競争力の確立(70年代から2000年)
第14回8. 自動車産業
 8.3. 新興国市場の拡大、エコカー市場へのシフトの中での国際競争(2000年以降)
第15回総括と期末試験