ミクロ経済学Ⅱ
担当者堀内 英次教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECT-202

授業の概要(ねらい)

 ミクロ経済学の幅広い分野を網羅する。特に、市場構造と企業行動及び経済厚生の関係、寡占市場における企業行動を議論するためのゲーム理論、不完全情報や不確実性が市場均衡に及ぼす影響などを議論する。
 まず、市場構造と企業行動の関係を、独占市場複占市場の市場均衡と企業行動の違いを考察することによって考察する。さらに、ゲーム理論の基礎を学習する。まずナッシュ均衡の概念を学習した上で、繰り返しゲーム、展開型ゲームなどを学習し、現実の経済問題のゲーム理論による分析例を紹介する。
 不完全情報の経済学では、現在の経済の中で不完全情報がもたらす様々な問題例を取り上げた上で、情報の不完全性が如何に市場の効率性を損なうかをレモンの市場のモデルを用いて考察する。さらには現実の市場の中で情報の不完全性に対応するための様々な経済主体の行動、契約関係などを紹介する。
 不確実性の経済学では、不確実性に直面した経済主体の行動や、リスク分散の機能を持つ様々な市場・制度を分析する。まず現実の経済における企業の意志決定が如何に大きな不確実性の下にあるかを紹介した上で、まずはリスクを回避する代表的な方法としての保険の機能とその限界を学習する。そして現実の経済に存在する様々なリスク分散の機能を持つ制度や契約を学習する。また、リスクに直面した経済主体の行動を説明する期待効用最大化仮説を学習し、保険市場の成立についてのミクロ経済学的な基礎付けを学ぶ。

授業の到達目標

①ミクロ経済学の中級レベルの理論―ミクロ経済学の基礎となる生産者理論を修得する
②ゲーム論を学び、相互作用の下での経済主体の関係を分析する理論的手法を修得する
③不確実性、情報の不完全性など、様々な状況での経済主体の行動を分析する理論的手法を修得する

成績評価の方法および基準

(1) 小テスト(LMSにより毎回実施) 33%
(2) 中間・期末試験    67%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『ミクロ経済学』, 第3版, 2018年.  伊藤 元重日本評論社
参考文献『マンキュー経済学I ミクロ編』, 第4版, 2019年. グレゴリー・マンキュー東洋経済新報社

準備学修の内容

 以下のような準備学習、および復習を課す。理論の講義では議論が毎回積み上がっていくことが多いので、以下のことを行い、確実に講義内容を修得するように努めること
 ・講義ノートを事前に読み込んでおく
 ・講義後も講義ノートを復習した上で、確認テストを受験し、毎回の内容を確実に修得する。

その他履修上の注意事項

 入門ミクロ経済学をしっかりと習得していることが前提となる。
 第1回講義までにLMS上で講義ノートを公開する。プリントアウトした上で最初の講義から毎回持参すること。
 内容は必ずしも平易ではないが毎回出席していれば十分理解できるものである。現実問題に関心があり、かつそれを考えるために経済学の基礎をしっかり学ぼうという意欲を持った学生の参加を望む。

授業内容

授業内容
第1回 第2章 企業行動と市場構造
 第3節 独占市場における企業行動
 独占市場における企業の供給行動、および総余剰との関係について考察する
第2回 第4節 独占的競争市場における企業行動
 独占的競争市場における企業の供給行動と市場均衡の関係について考察する
第3回 第5節 不完全競争市場における企業行動
 寡占市場における企業の供給行動について考察する
第4回 第6節 ゲームの理論
 非協力ゲームと協調の発生のメカニズムについてそれぞれ考察する
第5回 第6節 ゲームの理論
 展開型のゲームを利用して様々な経済問題を分析する
第6回 第3章 不完全情報の経済学
 第1節 情報の不完全性のもたらす問題
 市場における情報の不完全性がもたらす問題を解説する
第7回 第1節 情報の不完全性のもたらす問題
 レモンの市場について学習する
第8回 第2節 情報の不完全性への対応
 シグナルの理論を学習する
第9回 第2節 情報の不完全性への対応
 自己選択メカニズムとプリンシパル・エイジェンシー理論について学ぶ
第10回 第4章 不確実性とリスク
 第1節 経済問題に潜んでいるリスク
 不確実性がもたらす様々なリスクについて学習する
第11回 第2節 危険分散のための仕組み
 不確実性の下でのリスクを分散するための様々な経済の仕組みについて学習する
第12回 第3節 期待効用最大化仮説
 期待効用最大化仮説に基づいて、保険市場の成立とその機能を考察する
第13回 第3節 期待効用最大化仮説(続き)
第14回 復習①
第15回 復習②