担当者 | 平岡 克行教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [法律学科 2017年度以前] | |
科目ナンバリング | CIL-315 |
本授業では、保険法の基礎及び各種保険契約(及びその標準約款)に関する法解釈上の問題等について講義を行います。
交通事故や火災、病気や怪我等の「もしもの場合」に備える制度が保険です。保険は多数の加入者が保険料という安心・安全の対価を出し合い、一部の者に生じた偶然の損害を分担する制度です。場合によっては、加入者は少額の保険料と引き換えに多額のお金(保険金)を手にすることができるため、同制度は本質的に様々な問題を引き起こします。例えば、既に病気に罹っている者が、そのことを隠して傷害疾病保険に入ろうとするかもしれません。また、ある加入者は事故が発生したように見せかけたり、損害を過大に計上して保険金を請求するかもしれません。そもそも、少額の保険料によって事故や怪我の損害が全てカバーされるのなら、加入者は注意を尽くさなくなったり、自ら事故を引き起こしてしまうかもしれません。このような問題を放置すると、保険加入者全体に大きな費用が発生してしまい、保険制度は成り立たなくなります。保険法はこうした構造的な問題に対処するため、様々な仕組みを設けています。
学生の皆さんも将来、何らかの保険に加入し、あるいは既に(自動車保険やアパートの火災保険などに)加入しているかもしれません。本講義では、保険の機能とその構造的な問題点を理解しつつ、当該問題に対して保険法がどのように対処しているのかを学びます。
保険法の学習をする際には、実際に使用されている標準約款の内容を理解することが重要です。講義でもいくつかの標準約款を扱いますので、受講者はそれらが保険法との関係でどのような法律・解釈上の問題を生じさせるのか、よく考えるようにしてください。
①保険法の基礎的な事項を理解し、説明できるようにすること
②具体的な事案に関して、法律の適用・約款の解釈上問題となる点を正しく指摘し、その点について判例・学説・自身の見解を説明できるようにすること。
学期末の試験によって成績を評価する。
ただし、受講者数によっては、出席点や簡単なレポートを課し、試験(50%)及びレポート等(50%)としたり、出席点(50%)及びレポート(50%)といった方法で成績評価を行う可能性がある。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 『保険法(第4版)』 | 山下友信=竹濱修=洲崎博史=山本哲生 | 有斐閣、2019年 |
参考文献 | 『保険法判例百選』 | 山下友信=洲崎博史編 | 有斐閣、2010年 |
各回の授業内容をしっかりと理解しなければ、ついていくのが困難になる部分があります。授業をよく聞いて基本的な内容を理解すると同時に、テキストや配布した資料を十分に読み返して復習し、必要な知識を定着させるようにしてください。実際の保険商品に使用されている普通保険約款について、各自で調べてもらうこともあります。
保険法を学習する際には、損害保険と生命保険で共通するルールと異なる部分、そして各種保険契約に典型的な約款の条項とそれらに関連する法律上の問題を把握することが重要です。
・予め民法の知識(特に債権に関して)を習得しておくことが望ましいが、必要な事項は講義中に説明します。
・授業中の私語や、他の受講生の迷惑になる行為は厳禁です。
・六法を持参してください。
回 | 授業内容 |
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第1回 | ガイダンス (保険の仕組み・機能、保険の種類、保険の当事者・関係者) |
第2回 | 保険法総論① (保険法の特色、保険監督、保険契約と約款) |
第3回 | 保険法総論② (保険者の説明義務、保険料の支払いと保険給付の履行) |
第4回 | 保険法総論③ (告知義務) |
第5回 | 保険法総論④ (重大事由による解除) |
第6回 | 損害保険① (損害保険契約の内容、被保険利益、損害保険契約の成立から終了までの諸問題) |
第7回 | 損害保険② (保険金額と保険価額、重複保険、危険の増加・減少、保険代位) |
第8回 | 損害保険③ (損害保険の免責事由、火災保険、地震保険、責任保険) |
第9回 | 自動車保険 (自賠責保険、任意自動車保険) |
第10回 | 生命保険① (生命保険契約の内容) |
第11回 | 生命保険② (生命保険契約の成立から終了までの諸問題) |
第12回 | 生命保険③ (保険金受取人) |
第13回 | 生命保険④ (生命保険の免責事由) |
第14回 | 傷害疾病保険(オンライン授業予定) |
第15回 | まとめと試験 ※上記はあくまで予定であり、進捗状況に応じて変更する可能性があります。 |