医療経済学Ⅱ
担当者福田 直人教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECP-314

授業の概要(ねらい)

 医療はほぼすべての先進諸国において、何らかの形で公的に保障されています。それは何故でしょうか。そもそも一つのサービス(ここでは医療)が公的に運営されるというのは、何を意味するのでしょうか。本講義では、先ず医療制度に関する基礎的な知識を学んだ上で、医療サービスに関する経済学的な論点を学びます。
 医療はすべての市民にとって、時には命すら左右する極めて重要なサービスです。それにもかかわらず、その仕組みを学ぶ機会はそれほど多くはありません。現在、日本の医療は大きな転換期にあります。10~20年後の制度が現在と大きく変わっている可能性がありますが、そうした情報共有も十分に行われているとは言い難い状況です。
 こうした認識は経済学的な観点から医療と市場の関係を学ぶことによって、問題をより深く掘り下げることが可能です。加えて、現場で患者と向き合っている医療に携わる人々の視点も看過してはいけません。医療と市場の関係(具体的な例を一つ挙げれば、社会保険と民間保険の関係等)を学びつつ、みなさんを取り巻く医療の現状と将来について、共に理解を深めていきたいと思います。
 医療経済学Ⅱでは医療経済学Ⅰの応用科目として、特に日本の医療の現場や健康における論点等も取りあげて講義致します。

授業の到達目標

 ①医療が何故、公的な保障の対象となりうるかを理解する。
 ②日本の医療に関する論点、課題を、歴史的経緯や他国との比較を踏まえて理解する。
 ③生活に密接する医療に関する情報に対し、リテラシーを身に着ける。
 ④政府(≒公)と民間企業(≒市場)の違いについて、理解する。

成績評価の方法および基準

期末試験        100%
*本基準は小テスト及び中間テストを行わなかった場合の「予定」である。

①オンラインで講義を実施することになった場合は、成績評価基準が変更される可能性があるので十分留意されたい。
②小テストは出席率によって予告せず「抜き打ち」で行う可能性がある。
 その場合は成績評価に大きく影響するので注意すること。
 (上記の評価基準は、あくまで「予定」であることに留意されたい。)
③講義の3分の1を欠席した場合、成績評価の対象とならないので注意すること。
④欠席理由の「事後申告」は基本的には認めない。部活動等、やむを得ない理由がある場合は必ず事前に申告すること。
⑤他の学生の受講を妨げる行為を行ったものは単位認定の対象とならない。
 私語を含め講義の妨害行為は「厳禁」とする。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書教員が作成した講義資料を使用する。
配布・または公開があった講義回以外で、事後公開・配布等は行わないので注意すること。

本講義において教科書の指定はないが、授業内容に関連する参考書として以下のものを挙げておく。
教科書*ご興味があれば購入してもよいが、必須ではない。
教科書*要望によっては、映像資料等を使用する場合がある。
参考文献(1999)『日本の医療 統制とバランス感覚』池上直己・J.C.キャンベル中公新書
参考文献OECD,Health at a Glance,OECD Indicators.    =邦訳は『図表で見る世界の保健医療』明石書店(各年版)

準備学修の内容

 医療制度について、自分の興味のある論点を深く掘り下げることをお勧めします。日本の医療制度は現在転換期にあり、新聞を読むだけでもある程度の時事的な情報を得ることができます。ご興味があれば日本に限らず、諸外国の医療制度について調べていただいても構いません。テスト前は毎回の講義を通して作成したご自分の講義ノートを、十分に見直して準備することを推奨致します。講義の内容が踏まえられていなければ、単位認定の対象にならないことに十分留意してください。

その他履修上の注意事項

①新型コロナウイルスの感染拡大状況次第で、本講義はオンラインとなる可能性があることを十分留意されたい。
 (教員には肺の慢性疾患があり、本シラバス作成時点では先行きが予測できない状況です。)
②講義内において、他の学生の受講の妨げとなる行為が認められた時点で不合格とする。
 特に私語は本講義では「厳禁」とする。
③履修している学生に対して事前に説明、もしくは希望を聞いた上で授業内容が変更される可能性がある。
④授業スケジュールはあくまで「計画」なので、毎回の講義に出席しないと講義の内容を把握することはできない。
 講義内容は要望があれば適宜変更する。
 講義ノートの作成が重要であり、配布資料があったとしても、その丸暗記のみでは単位の取得は難しいと考えること。
⑤毎回の講義では、必ず講義ノートを作成することを心掛けること。
 講義資料を配布する回があったとしても、その事後配布は基本的に行わない。
⑥講義の3分の1を欠席した場合、成績評価の対象とならないので注意すること。
⑦欠席理由の「事後申告」は原則的に認めない。
 部活動等、やむを得ない理由がある場合は必ず事前に申告すること。
⑧本講義に関連することで、オフィスアワーにて面会を希望の学生は講義前後等にて事前にアポイントを取ること。
⓽期末試験は「持ち込み不可」で実施する予定である。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション 医療経済学Ⅱについて(導入)
第2回 医療経済学Ⅰの要点を振り返る 
第3回 医療における効率性と平等性
第4回 日本における医療保険の位置づけ
第5回 医療を含む公的サービスと民主主義
第6回 日本の医療制度の概要
第7回 日本の医療制度の分立構造
第8回 医療費負担の仕組み
第9回 日本の医療費は高いのか? -現場の過重労働
第10回 日本の医療費は高いのか? -要因に関する議論
第11回 医療の市場化へ -混合診療について
第12回 医療の市場化へ -民間医療保険について
第13回 「健康」の市場化へ
第14回 医療経済学Ⅱ(及びⅠ)の総復習
第15回 まとめ・試験
 ※各回の講義の内容は変更される場合がある。