国際会計論Ⅱ
担当者徳山 英邦教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングACC-306

授業の概要(ねらい)

 (この科目は、隔年開講科目です。)
 今日、日本企業は国内における国際化に直面しています。会計制度もその例外ではありません。国内の大会社は、日本基準、国際会計基準・財務報告基準(IAS/IFRS)、米国基準等の採用が可能です。その意味では、国際会計基準等はすでに国内会計の一部です(直接的影響)。
 さらに、間接的影響もあります。それは国際的会計統合(コンバージェンス)を前提として、国内会計基準の開発・改定の際に国際基準が事実上考慮されたうえで設定されることにより生じます。そしてその国際会計基準と基礎概念それ自体が動き続けている現況にあります。
 なぜ、国内企業の一部は国際会計基準を採用するのか(作成者の視点)、なぜ国内基準設定機関は、国際会計基準の動向を考慮する必要があるのか(監督規制当局の視点)、そしてなぜ、これらの動向を学ぶ必要があるのか(利用者の視点)、これらのなぜについて理解するためには、会計制度の過去と現在、そして将来の方向性をみる必要があります。そのために、(1)取得原価主義会計、公正価値会計の特徴、(2)会計の国際的統合の利点と欠点、(3)IASB概念フレームワーク(新しい基礎概念)の特徴を理解することをねらいとします。

授業の到達目標

 経済学部の学びの中の本科目の役割として、以下の3つを当初の成果目標とします。
1.企業経営における会計学の役割を理解し、説明できる。
2.企業経営に関する基礎的理論、事業展開に必要な資金の流れを理解し、説明できる。
3.企業経営に要求されるコミュニケーション力、リーダーシップ力、倫理観を有する。
上記の学びの成果を基礎として、以下の3つを到達目標とします。
1.実社会の出来事について自ら学び、吸収することができる。
2.企業経営の場で生起する実践的課題に対処できる専門的な知識・スキルと態度を有する。
3.会計数値を適切に理解・計算するために必要な知識や技術を修得し、責任をもって財務諸表を作成できる。

成績評価の方法および基準

 ①自ら学び、吸収する不断(普段)の態度の評価として授業各回のミニッツペーパーや受講姿勢等(65%)、②専門知識の修得力評価として小テスト(2,3回)、LMSを活用した課題(35%)を目安として、総合的に判断します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献『基本から学ぶ会計学』近田典行、他著中央経済社
参考文献『国際会計論』森川八洲男白桃書房

準備学修の内容

 「学びの種を蒔く回」と「収穫(修得)の実感を伴う回」のタイミングが各回で完結しない箇所があります。当日内の答えの照合をあせらずに、試行錯誤する時間を大事にしてください。過去2回分との関連学習60分、学習全体における今回の学びの位置づけの理解30分、その未消化領域の復習30分を目安に学習してください。

その他履修上の注意事項

 計算機、3色ペン、各回に配布済みのプリントを毎回持参して下さい。

授業内容

授業内容
第1回 ガイダンス(授業の進め方、成績評価、履修上の留意点)、学修の必要性
第2回 会計行為(認識、測定、伝達)と利害関係者(作成者、利用者、国と基準設定機関)
第3回 株式会社制度と資金調達(直接金融、間接金融、会計主体論と資本コスト)
第4回 制度会計(商法、会社法、金融商品取引法、税法)と利害関係者
第5回 日、米、国際会計基準(財務報告基準)の基準設定機関等の概要
第6回 ストックとフロー、財政状態計算書(貸借対照表)と財務業績の計算書(損益計算書)
第7回 概念フレームワーク:日米及び国際会計基準審議会発行資料の紹介
第8回 企業会計原則の体系と収益費用アプローチ、取得原価主義会計
第9回 概念フレームワークの体系と資産負債アプローチ、公正価値会計
第10回 概念フレームワーク:財務報告の目的と質的特性、財務諸表構成要素の定義
第11回 概念フレームワーク:会計事象(取引)の認識と測定
第12回 IFRS各論:財務諸表の表示
第13回 IFRS各論:収益概念と収益認識、金融商品その他の論点
第14回 EU諸国における会計制度
第15回 学修内容のまとめ