労働法Ⅰ
担当者藤木 貴史教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2018年度以降]
科目ナンバリングSOL-201

授業の概要(ねらい)

 私たちの社会では、多くの人が雇用されて労働し、賃金を得ることで生活しています。しかし、労働者は使用者よりも力が弱いため、適切な法規制がなされないと、さまざまな困難に直面することになります。労働法は、こうした困難を防ぎ、人間が人間らしく生きられようにさまざまな規制を行う法分野です。
 労働法Iでは、個別的労働法(①総論、②労働関係の成立と終了、そして③賃金・労働時間等の労働条件)の基礎的部分を扱います。労働法Iと労働法IIは連続性が強いので、連続して履修することを強く勧めます。
 この分野を学ぶねらいは、次の3点です。
 ①みなさんが、労働に関するトラブルに直面したときに、法的論点を把握することができる(カリキュラムマップ9)
 ②みなさんが、自分の直面したトラブルを解決するために、法的な解決策を提示できる(カリキュラムマップ11)
 ③みなさんが、トラブルを未然に防ぐために、自律・自立して複合的な法制度に関する知識を学習することができる(カリキュラムマップ4)

授業の到達目標

①個別的労働法の基礎的な知識を習得する。
②個別的労働法を知らない人に対して、労働法の仕組みを説明することができる。
③個別的労働法上の問題に対して、自主的・自律的に調査・学習する習慣を身に着ける。

成績評価の方法および基準

到達目標③の計測のために小テストを、到達目標①・②の計測のために中間テスト、期末テストを、それぞれ実施します。

[小テスト]3割(穴埋め問題/選択式問題により、基礎的知識の定着度を測る)
[中間テスト]2割(説明問題/事案問題により、労働法の仕組みを説明できるかを測る)
[期末テスト]5割(説明問題/事案問題により、労働法の仕組みを説明できるかを測る)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『ファーストステップ労働法』藤本茂ほかエイデル出版(2020年)
参考文献『労働関係法規集(2022年版)』日本労働政策研究・研修機構日本労働政策研究・研修機構
参考文献『労働判例百選(第10版)』荒木尚志・村中孝史有斐閣

準備学修の内容

[予習](1時間程度)
・LMS上からレジュメを印刷し、指示された部分の教科書を読みましょう。
・内容を忘れた場合、前回の講義音声を聞きなおしましょう(オンライン授業時)。
[復習](3時間程度)
・LMS上の小テストを解きましょう。
・その回の内容を友人・家族に説明できるか試してみましょう。
・教科書の「練習問題」を解いてみましょう。

その他履修上の注意事項

[授業を受ける姿勢]
・休まないで出席することは理解の前提となるので、その旨心がけてください。ゲームや私事は止めるよう注意をします。
・教科書の購入は必須です。試験の際には、原則、教科書のみ持ち込みを認めます。
・六法/法令集も授業に必ず持ってくること。また、自分で必要な条文を探せるようにしておくこと。
[授業の進め方]
・進度は学生の理解に応じて調整されることがあります。
・小テストはLMSを通じて毎回出題する予定です。出席のみ/オンライン授業を聞くのみでは平常点となりません。
・中間テストは、期末テスト対策のボーナス問題として位置づけられます(テストはレポートとなることがあります)
[関連科目]
 本講義の理解のためには、①日本国憲法、②民法(民法総則、債権総論、契約法)、③行政法、④民事訴訟法、⑤刑法などの基礎的知識があることが望ましいです(ただし、これらの科目未履修の学生も、この講義を履修して構いません)

授業内容

授業内容
第1回≪イントロダクション≫ 労働法の意義/労働法の体系(個別法、集団法、雇用保障法)/労働法と憲法
第2回≪労働者の自由と権利≫ 労働憲章/未成年保護/足止め防止規定
第3回≪労働者と労働契約≫ 労働者性/労働基準法上の労働契約規制
第4回≪労働契約総論≫ 労働契約と労働契約法/付随義務論/パワーハラスメント規制
第5回≪労働契約の開始≫ 労働契約の成立/内定(内々定)/試用期間
第6回≪労働契約の終了(1)≫ 合意解約と辞職/定年/解雇制限
第7回≪労働契約の終了(2)≫ 解雇権濫用法理/整理解雇法理
第8回≪これまでのまとめ≫ これまでのまとめと質問/映像で見る労働問題/中間テスト
第9回≪労働条件の決定(1)≫ 労働条件を決める仕組み/労働契約/労使慣行/就業規則
第10回≪労働条件の決定(2)≫ 就業規則と労働契約法/就業規則の不利益変更
第11回≪賃金(1)≫ 労働基準法と賃金/最低賃金法
第12回≪賃金(2)≫ 賞与/退職金/休業手当
第13回≪労働時間(1)≫ 労働時間の定義/休憩・休日/時間外労働、休日労働
第14回≪労働時間(2)≫ 割増賃金/弾力的な労働時間制度
第15回≪労働時間(3)・年次有給休暇≫ 労働時間規制の適用除外/年次有給休暇