問題行動の究明と児童生徒指導計画
担当者蒲地 啓子教員紹介, 嶋津 常弘
単位・開講先選択  2単位 [教職研究科]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 【教育と医療の連携】関連科目
 授業は、ティーム・ティーチングの形態で行う。
 学校心理学の考え方をもとに、問題行動の経緯を究明・理解する方法を学ぶ。校内外の人的援援助資源、援助チーム構築の可能性、学校組織の教育相談力等のアセスメントの方法を学び、問題行動に関する事例検討会の運営方法、心理・健康面への援助、学習や進路への援助、集団適応への援助の諸方法等について検討する。また、多様化する今日的な課題について展望・洞察・理解する。
 グループワークによる協議を通し、個別的支援や集団への支援の双方から、「成長を促す指導」、「予防的な指導」、「課題解決的な指導」の3つの方向性を視野に、生徒指導計画を作成する。
 また、ゲスト・ティーチャーによる講義により、関係機関連携の在り方について学ぶ。  
 当授業では、次の内容について適宜取り上げ、教育と医療との連携の視点を養う。
 虐待の発見と対応、学習の躓きと問題行動への対応、発達障害のある児童生徒の行動の理解、摂食障害・依存症・希死念慮・睡眠障害等の理解と対応、いじめの背景としての集団理解と対応(感染症等、被災等による差別含む)、性事案の未然防止と対応 

授業の到達目標

<A類学生>
 ・児童生徒の内面理解と問題行動との関連を理解する。個人の学習面、心理社会面、進路面、健康面、学校社会面にかかる課題や、特性及び自助資源についての情報収を行い、整理することができる。チーム援助計画を立案できる。
<B類学生>
 ・個人の学習面、心理社会面、進路面、健康面、学校社会面の課題や、自助資源や学校組織や地域の援助資源についての情報収集・分析を行い、チーム援助計画を立案する作戦会議を運営できる。また、アセスメントに基づいた生徒指導計画を作成したり、作成された指導計画について教職員に助言・指導できる。

成績評価の方法および基準

 児童生徒指導及び教育相談に関する指導計画の立案、報告など(60%)、資料を読む等やレポート課題(40%)にて評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書特定のテキストは使用しない。
参考文献チーム援助入門石隈利紀・田村節子図書文化
参考文献生徒指導提要文部科学省

準備学修の内容

参考書で学校心理学の基本的な考え方を理解しておくこと。取り上げるテーマの基本的知識は事前に調べておく。

その他履修上の注意事項

児童生徒の問題行動への理解に正解があるわけではない。様々な仮説を立てながら議論をすることを通して、教員・学生ともに相互に学びあう授業にしたい。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション(講義とディスカッション)
 事例検討の意義を理解する。今まで経験した児童生徒の「問題行動」について出し合い、互いの問題意識を共有する。本授業を概観し、授業計画を立てる。改訂される「生徒指導提要」の試案を読む。
第2回学校心理学の基本的な考え方(講義とディスカッション)
 学校心理学による「問題行動」の考え方を理解し、三段階の援助サービスの考え方を知る。また、改訂される「生徒指導提要」の試案の方向性について報告し、話し合う。
第3回事例検討の方法への理解(LMSで行う) 1
 援助チームシート、及び援助支援チェックシートの使い方について理解する。また、事例を使って援助チームシート及び援助資源チェックシートを作成し、活用方法を知る。関係諸機関との連携について調べ、第4回の報告資料を作成する。
第4回事例検討の方法への理解(講義と演習) 2
 A類学生:子どもをめぐる関係機関の役割について調べ、報告する。
 B類学生:関係機関とのかかわりの経験から、連携における成果と課題を報告する。
第5回事例検討の方法への理解(講義と報告・協議) 3
 援助チームの構成について考えるとともに、それぞれの立場と役割について話し合う。
 A類学生:SC、SSWについて、導入の経緯やその役割を調べ、報告する。
 B類学生:所属校の援助資源マップを作成し、活用事例と連携の課題について報告する。
第6回児童相談所の役割への理解(講義)
 児童相談所の機能と今日的な役割について理解する。
第7回児童相談所・警察・家庭裁判所と連携した子ども支援の実際(講義/ゲスト・ティーチャー)
 児童相談所・警察・家庭裁判所との連携の在り方等について、事例をもとに理解する。
第8回多様化する家族と心理教育的援助の実際:家族援助の理論と方法(講義)
 様々な困難を抱える家族への心理教育的な援助のあり方を理解する。
第9回子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・グループワークによる協議) 1
 以降は問題行動の事例を通し、その発生に至る経緯と児童生徒の心情を理解するとともに、事案への対応・指導計画の作成ついてて協議する。
第10回子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・グループワークによる協議) 2
第11回子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・グループワークによる協議) 3
第12回子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・グループワークによる協議) 4
第13回子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・グループワークによる協議) 5
第14回生徒指導計画全体計画の作成(報告・協議)
 連携協力校の生徒指導・教育相談の全体計画を報告し、その課題と改善策を探る。
第15回まとめ(協議)
 授業を振り返り、チーム援助の考え方を現場でどう生かすかについて協議する。