グローバル社会論Ⅱ
担当者中谷 直司教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [社会学科]
科目ナンバリングSOC-312

授業の概要(ねらい)

【障碍などで配慮が必要な場合は、LMS上に記載するメールアドレスに連絡を下さい(大学からの連絡は履修が最終確定して以降になるため。】
【この授業では、3回の休講とオンライン補講が予定されています。詳しくは「7.各回の授業内容」を確認してください】
 国際社会(英語にすればInternational Society; International Community; Global Community等々)とは何か。この質問に答えることは、通常考えられる以上に難しく、国際関係論の専門家にとっても容易ではない。国際社会は(おそらくかなり確実に)存在するのだが、それは曖昧で、多用で、我々が日常慣れ親しんでいる国内社会とも多くの点で異なるからである。

 以上の問題意識のもと、グローバル社会論Ⅱでは、非伝統的な安全保障概念である「人間の安全保障」(国家の防衛ではなく、戦争をはじめとした大規模な社会変動や深刻な災害から、個々人の尊厳とそれを支える社会的、経済的、文化的幸福を防衛する行為)に焦点をあわせて、同テーマを理解するのに有用な3つのトピックを各2回で解説する。その上で、いくつかの班にわかれて各テーマに関連したテーマを設定し、班内でディスカッションを実施したうえでその成果を発表し、全体で議論する。こうすることで、国際社会がより安定し、平和で、かつ公正なものとなるためには、どのような問題を克服しなければならないのかを、クラス全体のディスカッションを通じて考察する。

 具体的な3つのトピックは以下の通り。
 1.アジア・アフリカ地域を中心に頻発する国内・国際紛争に、国際社会による「平和構築」が果たしうる役割と、今後の課題、2.現代世界の平準化(平等化)の主要な原動力の一つである「移民」が、国際および国内社会にとって持つ意味、3.難民の受入をめぐる国際社会の対応、である。なお、これら3つのトピックの解説に入る前に、共通した歴史的な背景となる冷戦を最初に解説する。

 以上の様に、授業では講義だけでなく、グループおよび全体でのディスカッションの時間を積極的に設けることで、受講生の能動的な学習を促進する。

授業の到達目標

・自らの問題をグローバルな課題と関連づけて具体的に考察して表現できる。
・グローバルな課題を理解するにあたって、国際関係論と社会学、政治学、経済学、哲学など隣接分野がどのような関連にあるのかを説明できる。
・グローバルな社会状況に関心を持ち、自分と異なる背景をもつ人々と価値観・文化・歴史を尊重しながら積極的に交流できる。
*2つ以上でA評価、3つでS評価

成績評価の方法および基準

・授業参加60%(リアクションペーパーの内容;ディスカッションへの参加;新聞記事のミニプレゼン)
・グループ発表40%(グループワークでの貢献と活躍、課題の提出状況、プレゼンテーションの完成度、質問された数)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書教科書は指定しない。
参考文献『入門 人間の安全保障──恐怖と欠乏からの自由を求めて』長有紀枝中央公論新社 (中公新書)
参考文献『保護する責任──変容する主権と人道の国際規範』政所大輔勁草書房
参考文献『平和構築入門──その思想と方法を問いなおす』篠田英朗筑摩書房 (ちくま新書)
参考文献『平和構築―アフガン、東ティモールの現場から』東大作岩波書店(岩波新書)
参考文献『移民大国アメリカ』西山隆行筑摩書房 (ちくま新書)
参考文献『移民の政治経済学』ジョージ・ボージャス(岩本正明訳)白水社
参考文献『難民問題──イスラム圏の動揺、EUの苦悩、日本の課題』墓田桂中央公論新社(中公新書)
参考文献『ルポ 難民追跡──バルカンルートを行く』坂口裕彦岩波書店(岩波新書)

準備学修の内容

・授業内容にそくした新聞記事(オンライン記事)をLMSの掲示版に投稿し、趣旨を説明する2分ミニプレゼンの準備をする(1人1-2回程度担当)。
・他の受講生がLMSの掲示板に投稿した記事に目を通し、自分の考えや疑問点をメモとしてまとめる。
・グループ発表に向けて、関連する報道記事等の文献の収集と読解、班員との意見交換、スライド作成を行う。

その他履修上の注意事項

(1)講義は配付する資料(レジュメ)を用いて行う。あわせて、関連するビデオ教材なども使用し、理解の促進を図る。
(2)受講生の関心や受講生の数に応じて、進度や内容を一部調整することがある。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション──この授業の目的と進め方、受講にあたっての注意/冷戦と核兵器1
第2回冷戦と核兵器2
第3回(休講)──第4・5回に関連したオンライン補講を実施
第4回平和構築1──その思想と方法
第5回平和構築2──克服すべき課題と日本の役割
第6回(休講)──第7・8回に関連したオンライン補講を実施
第7回移民1──「移民」とは誰か(なぜ必要とされ、同時にしばしば非難されるのか)
第8回移民2──日本の「移民」経験(移出と移入と)
第9回難民──「難民」とは誰か(なぜ発生し、彼らはどこへ向かうのか)
第10回最終発表に向けたグループワーク1──テーマの設定
第11回最終発表に向けたグループワーク2──スライドの作成
第12回課題文献のグループ発表1
第13回課題文献のグループ発表2
第14回(休講)──第9回に関連したオンライン補講を実施
第15回オンライン実施──「グローバル化」はいつ始まったのか?大航海時代から現代まで