日本文化研究(書論・鑑賞)Ⅱ
担当者中村 健太郎教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [日本文化学科]
科目ナンバリングJLT-318

授業の概要(ねらい)

日本文化のなかでも、特に書道文化・文字文化に関連する文化事象を理解することを目的とします。書道分野の研究では、関連する学術分野(国文学や歴史学、美術史学など)を視野に入れた、多様な研究の方法論について理解し、実践できる能力を身に付けることが求められます。これは、日本文化としての書を、さまざまな視点からアプローチする能力を獲得することで、異分野領域の研究との連結が可能となり、新たな知見や考察が可能となるためです。本授業では、各研究領域へとつながる可能性を持つ、日本の書道文化・文字文化について理解を深めてもらいたいと思います。授業内容の理解度を深めるために、ディスカッションやグループワークを取り入れることも予定しています。
 春期に開講した「日本文化研究(書論・鑑賞)I」の授業内容を踏まえ、近代以前に毛筆で記録された古典籍や古文書を実際に解読する基礎知識を学び、独力で文献資料を解読できる技能の習得を目指します。資料内容の解読を通して、日本における書文化の奥深さと広がりについて学習し、広い視野から日本文化を考えられる能力を修得することを目標に講義を行います。

授業の到達目標

・日本文化と書の関連について、具体的な事例を挙げて説明できる。
・基本的な変体仮名の判読ができる。

成績評価の方法および基準

 ・レポートの提出(4割)と、授業時間内の小テストおよび、授業への積極的な参加状況等を合計した平常点(6割)で評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献『和様の美 かな古筆名跡便覧』福井淳哉淡交社
参考文献『くずし字辞典』波多野幸彦監修思文閣出版

準備学修の内容

美術館、博物館などの常設展や特別展を利用して、実物鑑賞の機会を多く持つように心掛けてください。また、参考文献や授業時間内に配布するプリントを活用して、予習と復習を行ってください。

その他履修上の注意事項

・第1回目の授業の冒頭で、本科目の到達目標やレポート課題、成績判定方法について説明を実施します。履修希望者は例外なく必ず出席し、履修希望票(第1回目の授業時間内に配布)を提出してください。
・レポートは、美術館・博物館の見学が必須となる。授業内容に関連する書の作例を実際に見学し、書写年代や筆者、書風の特徴などを自分で調べ、レポートにまとめてください。
・春期開講の「日本文化研究(書論・鑑賞)I」を履修していることが望ましいですが、たとえ未履修者であっても予習と復習で授業内容を理解できる授業計画となっています。

授業内容

授業内容
第1回授業の目的と内容、授業の進め方、評価方法について
第2回日本書論と中国書論の概要
第3回日本の書論『夜鶴庭訓抄』(1)成立と概要
第4回日本の書論『夜鶴庭訓抄』(2)本文内容の判読1入木道とは
第5回日本の書論『夜鶴庭訓抄』(3)本文内容の判読2額字など
第6回日本の書論『夜鶴庭訓抄』(4)本文内容の判読3仮名書の重要性
第7回日本の書論『夜鶴庭訓抄』(5)享受の歴史と影響
第8回日本の書論「近世の入木道伝書」(1)中世から近世への伝承
第9回日本の書論「近世の入木道伝書」(2)本文内容の判読1入木道とは
第10回日本の書論「近世の入木道伝書」(3)本文内容の判読2額、願文など
第11回日本の書論「近世の入木道伝書」(4)本文内容の判読3執筆法
第12回日本の書論「近世の入木道伝書」(5)本文内容の判読4日本書道の正当性
第13回日本の書論「近世の入木道伝書」(6)近代書論との接点
第14回研究領域を横断する書跡資料研究の可能性
第15回日本の書論と日本文化