EU法Ⅱ
担当者久保田 隆教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングPUL-306

授業の概要(ねらい)

 本講義では、EU法の「各論」ともいうべき、EUが推進する各政策に関する法について学びます。具体的には、域内市場とEU競争法、単一通貨ユーロ、移民・難民政策、共通外交・安全保障政策、警察・刑事司法協力などを扱います。
 日本が位置する東アジアには、EUに相当する制度は存在しません。国内法とも国際法とも一味違うEU法に触れることで、これまで学んできた法の世界に新たな「窓」を開くことが本講義のねらいです。

授業の到達目標

①EU法の各領域およびそれに対応するEUの政策に関する基礎的な事項について、最新の事情を踏まえながら正確に説明できる。
②EU法の各領域およびそれに対応するEUの政策に関して独自に調査・検討を行い、その成果を調査レポートにまとめることができる。

成績評価の方法および基準

・学期末レポート(80%)と小レポート(20%)によって評価します。
・その他、Slackへの投稿や講義中の発言なども加味します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『はじめてのEU法』庄司克宏有斐閣
参考文献『新EU法 政策篇』庄司克宏岩波書店
参考文献『EU政治論──国境を越えた統治のゆくえ』池本大輔=板橋拓己=川嶋周一=佐藤俊輔有斐閣
参考文献『EUとは何か──国家ではない未来の形──〔第3版〕』中村民雄信山社
参考文献『EU 欧州統合の現在〔第4版〕』鷲江義勝〔編著〕創元社
参考文献『EU法基本判例集〔第3版〕』中村民雄=須網隆夫〔編著〕日本評論社
参考文献『EU法研究』1号〜11号中西優美子〔編〕信山社

準備学修の内容

【予習】毎回、講義の最後に翌週の講義内容を予告しますので、上記「教科書」の該当箇所を読んで予習してきてください。また、常日頃からEUに関する新聞記事やニュースにアンテナを張り、そこにどのような法的論点が潜んでいるかを洗い出し、Slackに投稿してください。
【復習】講義後には、理解が追いつかなかった点やもっと深く知りたいと思った点について、上記「参考文献」の該当箇所(講義中に指示します)に目を通すことを習慣化してください。

その他履修上の注意事項

・「EU法Ⅰ」をすでに履修済みであることが望ましいです(必須ではありませんが、未履修の場合には、秋期開始前に教科書の該当箇所を通読しておくことを推奨します)。
・『ベーシック条約集』(東信堂)や『国際条約集』(有斐閣)などの条約集を持参してください。
・講義中にメモをとるためのノートを持参してください(スライド資料は、講義後にLMSにて配信予定)。
・質問や相談は、講義の前後に受け付けるほか、LMSにも専用の項目を設けます(内容の濃い質問やコメントは、翌週の講義でとりあげることがあります)。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション
──秋期の内容の概観|EUとは何か|EU法とは何か
第2回域内市場
──市場統合のアプローチ|共同市場から域内市場へ
第3回物・人・サービス・資本の自由移動
──基本概念|物の自由移動
第4回EU競争法
──域内市場と競争法の関係|EU機能条約101条・102条|EU競争法の目的
第5回単一通貨ユーロ
──通貨同盟|経済同盟|欧州債務危機への対応
第6回物の自由移動と契約法
──自由移動原則と消費者保護|EUの対応
第7回域内市場と環境保護【LMSを利用したオンデマンド方式にて実施】
──環境統合原則|予防原則|競争法と環境
第8回EU市民権と外国人①
──EU市民権|「忘れられる権利」
第9回EU市民権と外国人②
──自由・安全・司法領域と第三国国民|移民・難民政策(難民危機を含む)
第10回共通外交・安全保障政策(CFSP)①
──EUの安全保障政策の発展|共通安全保障・防衛政策(CSDP)の特質
第11回共通外交・安全保障政策(CFSP)②
──安全保障アクターとしてのEUの現在と将来|ウクライナ情勢とEU
第12回人の自由移動と警察・刑事司法協力①
──ヨーロッパ刑法とは何か|欧州刑事警察機構(ユーロポール)|欧州司法機構(ユーロジャスト)|欧州検察庁(EPPO)
第13回人の自由移動と警察・刑事司法協力②
──刑事司法協力と相互承認原則|一事不再理の原則|欧州逮捕状|相互承認原則と基本権保護
第14回人の自由移動と警察・刑事司法協力③
──個別の犯罪類型および刑事制裁におけるヨーロッパ刑法の調和
第15回総括
──秋期のまとめ|学期末レポートの講評