国際法(秩序維持)
担当者喜多 康夫教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングILA-302

授業の概要(ねらい)

 新聞やテレビなどの報道機関の影響のせいか、各国政府の動向などの国際政治が着目される傾向が世間にはあるかと思います。そのためか、国際法についてよく理解されていなかったり、逆に誤解されることも多いかと思います。例えば、武力紛争が起こるたびに「国際法は死んだ」とか、「国際法は役に立たない」などと言われますが、このような発言は、国際法が国際関係において現実に果たしている役割を正しく理解しているとはいえません。平時であろうと戦時であろうと、主権国家の関係を規律するのが国際法の役割であって、それを理解することが重要です。
 本講義の目的は、2つあります。第1の目的は、上記で指摘した国際法が実際に果たしている役割を学生さんに知ってもらうことです。本講義では、国家責任、国際紛争の平和的処理、国際安全保障などについて説明します。第2の目的は、国際法を通して学生さんのリーガル・マインドの育成にあります。そのため、判例の説明に重点をおきたいと思います。

授業の到達目標

 ①国際法の基本知識をさらに発展させ、国際法秩序の全体像を理解できる。
 ②リーガルマインドを成長させることができる。

成績評価の方法および基準

 成績評価については、各回における質問票の評価(56%)とLMS試験(44%)に基づいて行います。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『ベーシック条約集 2022』浅田正彦(編代)(東信堂、2022年)
参考文献『基本国際法(第3版)』杉原高嶺(有斐閣、2018年)
参考文献『判例国際法(第3版)』薬師寺公夫・坂元茂樹・浅田正彦・酒井啓亘 (編代)(東信堂、2019年)

準備学修の内容

 LMSでPowerPointのスライドや国際法に関する論文のpdfファイルを授業資料として配布しますので、事前に読んできてください。

その他履修上の注意事項

【関連科目】国際法の授業は全体として「国際法Ⅰ(歴史・法源)」、「国際法Ⅱ(主体)」、「国際法Ⅲ(空間)」及び「国際法Ⅳ(秩序維持)」から構成されており、国際法の全体像を理解するためには、上記科目を履修することが望ましいと考えます。また、さらに国際法の専門分野として、「国際組織法Ⅰ/Ⅱ」「国際人権法」「国際安全保障法」「国際経済法Ⅰ/Ⅱ」「国際裁判所論Ⅰ」「国際刑事法Ⅰ/Ⅱ」などがあり、より深く勉強できるようになっています。
 【学生へのメッセージ】本学ではセメスター制を採用しているので、「国際法Ⅳ(秩序維持)」だけを受講するのは確かに可能ですが、この授業だけ履修しても授業内容が理解できないと思います。そこで、昨年度に「国際法Ⅰ(歴史・法源)」「国際法Ⅱ(主体)」または本年度に「国際法Ⅰ(歴史・法源)」と「国際法Ⅲ(空間)」を履修していない学生は、来年度でもいいですからできれば上記科目を履修していただきたいと思います。やる気のある学生をお待ちしています。また第1回目のオリエンテーションで、授業のスケジュールと単位の取得方法などを説明するので、必ず出席するようにしてください。
 質問のある学生は、yaskita@main.teikyo-u.ac.jpにまでメールを送ってください。なお、その場合は表題に「・・・の件」とした上で、氏名及び学籍番号と用件の内容をメール本文に記して送ってください。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション
第2回01. 国家の国際責任(1):国際違法行為
第3回02. 国家の国際責任(2):過失
03. 国家の国際責任(3):国際請求
第4回04. 国家の国際責任(4):賠償
05. 国家の国際責任(5):環境損害の国家責任
第5回06. 国際的環境保護制度
第6回07. 国際紛争の平和的解決(1):総論
第7回08. 国際紛争の平和的解決(2):外交的手段
第8回09. 国際紛争の平和的解決(3):国際裁判
第9回10. 軍備管理と軍縮
第10回11. 武力不行使原則とその例外(1):武力不行使原則の確立と国連の集団安全保障
第11回12. 武力不行使原則とその例外(2):自衛権と人道的干渉
第12回13. 武力紛争法
第13回14. 戦争犯罪者の処罰
第14回15. 武力紛争後の法的諸問題
第15回オンライン授業としての復習テストの実施