西洋史概説Ⅰ
担当者工藤 則光教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHEA-101

授業の概要(ねらい)

 歴史をすでに誰かによって与えられた過去の事実と誤解している人が多いが、歴史は時代・地域によって異なるものであり、そこに住む人々が作り出したものでもある。この講義ではヨーロッパ及び北アメリカ(欧米)における歴史の見方、つまり歴史観と歴史の書かれ方、つまり歴史叙述について古代から近世までを概観し、あわせて時代背景を説明する。具体的には、該当事項について高等学校学習指導要領(地理歴史編)に従いつつも、歴史学の研究成果に基づいて教科書には書かれていないが、歴史理解に必要である重要な側面をできるだけ紹介する。また、欧米の人々にとっては常識であっても、多くの日本人になじみの薄いこと、例えばキリスト教などのヨーロッパを理解するうえで欠かせない常識・背景について
も解説する。
◎第14回はLMSで講義する予定である。

授業の到達目標

① 西洋史について基本的知識を獲得し、それらを説明できる。
② 世の中の動きを歴史的に考えるための視点を獲得する。
③ 教員を目指している学生として高校世界史B(当然ながら世界史A)及び世界史探求(当然ながら歴史総合)の西洋史部分について自信をもって教えることができる。

成績評価の方法および基準

 小リポート 30%、中間テスト10%、期末テスト 60%。
① 小リポートは基本的に授業中のリアクション・ペーパー(原則毎回実施)のことである。
② 小テストは履修者数にもよるが、原則毎月実施する。主に教科書から出題する。
③ 期末テストは対面授業最終回とする。ただし、定期試験期間内となることもある。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書使用しない。
参考文献『新しい史学概論』〔新版〕 適宜紹介するが、次の著作が出発点となる。
望田幸男他
昭和堂
参考文献 『最新世界史図説タペストリー 二十訂版』 ※高校で使用した場合、それでもよい。教職課程にある学生には次の高等学校用教材(資料集)と現役の高等学校教員による著作の一読を薦める。帝国書院
参考文献『世界史との対話 70 時間の歴史批評』全 3 巻小川幸司地歴社

準備学修の内容

 概説書、DVD など理解を深めることができる教材を紹介するので、事前に読んだり見たりするとよ い。また、現在日本や 世界で起きていることに関心を持つこと。最低限一日 1 回はニュースをチェッ クして動向なりを押さえておくこと。この授業 とは直接関係ないかもしれないが、色々な意味で過去 と現在はつながっているので、意外な接点に驚くこともあるだろう。

その他履修上の注意事項

① 教科書の欄にある『最新世界史図説タペストリー』は歴史学を専攻する上での基本事項を年表と地図でおさえるという意味であり、高校時代に用いた版でもよい。
② 世界史教科書(A・B)を再読すること。
③ 履修人数によるが、グループワークなどの作業も行うこともあるかもしれない。
④ 基本事項は教科書とした『最新世界史図説タペストリー』を読んだという前提で講義するので、該当箇所を何度も読んで理解すること。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス:授業の目的と進め方、評価方法など。
はじめに:②西洋史概説の前提としてのヨーロッパ
第2回はじめに:③歴史観  4グローバル・ヒストリー
Ⅰ.古代の歴史観・歴史叙述
【前提】ビッグ・ヒストリー
第3回Ⅰ.古代の歴史観・歴史叙述
1.古代ギリシア
第4回Ⅰ.古代の歴史観・歴史叙述
2.古代ローマ
第5回Ⅰ.古代の歴史観・歴史叙述
3.古代ギリシア・ローマの歴史観・歴史叙述の特徴:まとめ
特論:キリスト教についての基本知識①
第6回Ⅰ.古代の歴史観・歴史叙述
4.キリスト教的歴史叙述の誕生
特論:キリスト教についての基本知識②
第7回Ⅱ.中世の歴史観・歴史叙述
前提:中世ヨーロッパ史の概要(通説)とキリスト教史
第8回中間テスト
Ⅱ.中世の歴史観・歴史叙述
1.キリスト教的歴史観
第9回Ⅱ.中世の歴史観・歴史叙述
2.世俗的歴史叙述
特論:人名の欧米史
第10回Ⅲ.近世の歴史観・歴史叙述
1. ルネサンス期
第11回Ⅲ.近世の歴史観・歴史叙述
2.プロテスタント的歴史観とその影響
第12回Ⅲ.近世の歴史観・歴史叙述
3.啓蒙主義的歴史観・歴史叙述
第13回特論:前近代ヨーロッパ史をめぐる近年の研究動向
第14回補論:課題図書・動画についての説明
◎LMSによる講義
第15回まとめとテスト