理科概論
担当者森  富子
単位・開講先選択  2単位 [初等教育学科 初等教育コース]
科目ナンバリングESS-206

授業の概要(ねらい)

 本授業では、「物質(粒子)」「エネルギー」「生命」「地球」などについての基礎的な概念や理論を深め、理科指導に役立てることがきるようにすることを目標としている。「エネルギー」では、エネルギーの見方、エネルギーの変換と保存、エネルギー資源の有効利用、「物質(粒子)」では、粒子の存在、粒子の結合、粒子の保存性、粒子のもつエネルギー、「生命」では、生物の構造と機能、生物の多様性と共通性、生物と環境のかかわり、「地球」では、地球の内部・表面・周辺の視点で、自然事象を捉えることができるような内容になっている。また、子供の発達の段階に応じた理科の指導との関連も図られるようなっている。さらに、動物とのふれあいや学校や教室での動物の飼育についても触れる。受講者は、理科への興味、関心をもって、授業に取り組んでほしい。

授業の到達目標

 ・「物質(粒子)・エネルギー」「生命・地球」の分野に関する内容の理解を通して、理科の授業の内容や在り方についての知識や技能を身に付けることができる。
 ・学校内や教室での動物とのふれあいや飼育の方法について、正しい理解と方法について身に付けることができる。
 ・理科の学習指導案の作成や教材作成、模擬授業を通して、理科の指導に関する理解と教師としての素養を身に付けることができる。

成績評価の方法および基準

 定期試験の成績を基本とする。毎回の講義記録、中間の課題レポートの提出、授業参加状況、授業態度も加味して、成績評価をする。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『小学校学習指導要領解説・理科編文部科学省』大日本図書
教科書『理科の見方・考え方を働かせて学びを深める理科の授業づくり』日置光久・星野昌治・船尾聖大日本図書
教科書『なぜ、理科を教えるのか』理科教育がわかる教科書角屋重樹文溪堂
参考文献『シリーズ日本型理科教育 1~5』日置光久他編著東洋館出版社
参考文献『新しい小学校理科・授業づくりと教材研究』星野昌治編東洋館出版社
参考文献『小学校理科授業に役立つ学習チェックのミニ技法』星野昌治編明治図書
参考文献『小学校教師の専門性育成』帝京大学初等教育研究会編現代図書 2020
参考文献『アクティブラーニングによる理科の授業づくり』日置光久・星野昌治・船尾聖大日本図書

準備学修の内容

 ・文部科学省学習指導要領理科編の解説書の内容をよく読み、理解しておくこと。
 ・小学校理科の目標について、どのようなものか自分なり考えておくこと。
 ・科学読み物に興味・関心をもち、読書しておくこと。

その他履修上の注意事項

 小学校理科は、子供の学び方の特性と中学校理科の接続などを考慮して、以前の3区分制から2区分制に変わった。このことにより、国際的な通用性、科学内容の系統性が増すことになった。授業は、出席してノートをとれば十分に内容が理解できるようになっている。解説もできる限り平易にしますので、理科に興味と関心をもって受講してもらいたい。

授業内容

授業内容
第1回1 ガイダンス
◎理科学習の目的や小学校理科の学習指導要領解説書の見方と利用について説明し、理科教育を学ぶ心構えを伝える。
◎今後の授業の進め方を説明する。
◎理科室と実験器具について学ぶ。
第2回2 生物(生命Ⅰ)と理科室にある実験器具について
(1)生物の構造と機能、植物、動物、人体のつくりと働きについて理論を学ぶ。
(2)理科室にある実験器具について確認する。
第3回3 生物(生命Ⅱ)について
(1)生物の多様性と共通性について理論を学ぶ
(2)実際の動物や植物の写真や動画等を見てスケッチして、植物、動物の成長と運動について学ぶ。
第4回4 生物(生命Ⅲ)について
(1)生命の連続性、植物の発芽成長、動物の誕生、環境とのかかわりについてまとめる。
(2)自然の観察の方法について学び、可能であれば外に出て、植物観察と観察記録の体験をする。
第5回5 地学(地球Ⅰ)について
(1)地球の内部について、内部の構造図や火山の爆発などの資料から理論を学ぶ。
(2)流水の働き、土地の変化について 台風の前と後での川の流れや川原の様子から川の水のはたらきについて学ぶ。
第6回6 地学(地球Ⅱ)について
(1)地球の表面について 写真や構造図などの資料から学ぶ。
(2)太陽と地面、天気の様子と変化について、天気図や雲の様子から、天気の変化について学ぶ。
第7回7 地学(地球Ⅲ)について
(1)地球の周辺について 天文説や地動説などから学ぶ。
(2)月と星、月と太陽について、太陽の表面温度図や星座早見盤などから、地球を取り巻く天体全体について学ぶ。
第8回8 化学(粒子Ⅰ)について
(1)粒子の存在と空気・水の性質について理論を学ぶ。
(2)水の三態変化について、実際の日常に水の変化から考える。
第9回9 化学(粒子Ⅱ)について
(1)粒子の結合や燃焼の仕組みについて理論を学ぶ。
(2)酸性やアルカリ性、中性など水溶液の性質について、試薬を通して判断する方法などについて学ぶ。
第10回10 化学(粒子Ⅲ)について
(1)粒子、物と重さ、物の溶け方、水溶液の性質について学ぶ。
(2)秤を使って、形の違う物の重さを測ることを通して、質量の保存について学ぶ。
第11回11 物理(エネルギーⅠ)について
(1)エネルギーの見方①風やゴムの働き、光の性質について理論を学ぶ。
(2)風やゴムで動く実験キッドを使って簡単な実験を通してエネルギーを学ぶ方法にについて学ぶ。
第12回12 物理(エネルギーⅡ)について
(1)エネルギーの見方②磁石の性質、振り子の運動、てこの働きについて学ぶ
(2)てこ実験器や振り子の実験装置を使って簡単な実験を通して、エネルギーの見方について学ぶ。
第13回13 物理(エネルギーⅢ)について
(1)電気の性質と働き、電気の利用について、回路図を書いたり、懐中電灯を見たりして、エネルギーの変換と保存について学ぶ。
(2)今までの理科概論を通して、理科の学習指導案の書き方について学ぶ。
第14回14 今までの復習として小テストを実施して、理科概論をまとめる。 
・理科の学習指導案を完成させる。
・理科授業の構想を考える。
第15回15  「なぜ、理科を教えるのか」の教科書を読んで
(1)今まで学んできた理科の学習をふりかえり、学校で実際に理科を教える方法と注意について考える。
(2)動物介在教育について 動物の飼育の専門家から、学校で飼育する意義や方法などを学ぶ。
◎オンライン授業(LMSによるオンデマンド形式)で実施する。