日本経済入門Ⅰ
担当者小林 成弘教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングECP-101

授業の概要(ねらい)

 本講座では「日本の産業革命と経済発展」をテーマに、幕末の開国から今日に至るおよそ160年間に日本の産業・経済がどのように西欧の近代技術を吸収し「技術立国」としての国際的地位を確立するようになったのかを学ぶことで、現代日本の経済社会を歴史的視点と地政学的視点の両面から複眼的に理解することを目指します。
 前期は、まず大航海時代を経てイギリス産業革命が生まれた歴史的経緯を振り返り、次いで、これら近代西洋技術が幕末期の日本に刺激を与え、その後の日本の繊維業、鉄鋼業、造船・海運業などの技術革新に繫がって日本の近代経済成長が始まっていったいった経済発展過程を主に「技術の習得」という側面に焦点を当てて辿り、明治日本の産業革命の歴史的意義や日本の近代化の秘密を探ります。

授業の到達目標

 グローバル化した国際経済社会の中で日本は今どのような状況に置かれているのか、また、日本の近代経済成長の歴史の中で今日の日本はどのように位置づけられるのかを、受講者それぞれが自分なりにストーリーを描いて説明できるようになってもらいたいと思います。

成績評価の方法および基準

 期末に行うペーパーテストの成績を基礎点(評価配分=約70%)とし、これに普段の授業への取り組み姿勢(義務的課題の提出や任意レポートの提出など:評価配分=約30%)を加算して総合評価します。 ただし、この成績評価は15回の授業すべてに出席することを前提としたものですので、授業を休んだ場合は(やむを得ない事情による場合を除き)欠席回数に応じて総合点から減点します(最大30%減点)。
 なお、以下のような迷惑行為や不正行為があった場合は、大幅な減点となります。(最大100%減点)
①授業中の私語や、他の学生に迷惑や悪影響を及ぼすあらゆる「迷惑行為」
②出席の偽装、テストにおけるカンニング、レポート等におけるネット情報等のコピー&ペーストなどあらゆる「不正行為」

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 テキストは特に指定しません。
教科書
参考文献『日本の経済発展』南亮進(登用経済)
参考文献『日本近代技術の形成―“伝統”と“近代”のダイナミクス』中岡哲郎(朝日選書)

準備学修の内容

 授業は講義の都度配布(またはLMSに掲示)するパワーポイント資料に沿って進めます。資料は情報量が大変多いうえ、期末テストは受講生の論理的思考力や文章力を育てるため持ち込みは一切不可(予定)、しかも出題形式は長文の記述解答問題が中心ですので、授業にろくに出席せずテスト直前に配布資料だけ読んで勉強しても解答することは到底不可能です。 必ず毎回授業に出席し、何が問題なのか、何が重要なポイントなのか、過去の様々な出来事が相互にどのように繫がり影響し合っているのかなど自分の頭でしっかり整理し、講義の要点やストーリーを毎回400字程度の文章に纏めることを習慣づけるよう努めて下さい。
 なお、講義内容の理解を深め知識の定着を図るため、学期途中で何度か練習問題を出す予定です。 解答を提出は求めませんが、期末テストではこれら練習問題の中から何問か出題されることもありますので、受講生は各自で積極的にこれら課題に取り組み自習していくことを強く勧めます。

その他履修上の注意事項

 単に授業を聞くという受け身の姿勢ではなく、講義を通して自分の関心や疑問を掘り起こし、原典や関連文献、または統計データに直接あたって調べ確認してみるといった積極的な姿勢で取り組むことを期待します。 なお、本講義は例年留学生の受講生も大勢います。 留学生にとって、本講座で取り上げる日本の歴史的な話はなかなか理解しにくい面もあると思いますが、1国の産業経済の発展過程において政府がどのような役割を果たしたのか、どのように産業や経済が発展してきたのか、日本と各自の出身国の発展過程とではどのような点で異なり、或いは似通っているのか、といった視点を持って受講してもらえれば、得るものは非常に大きいと思います。
 今学期は全15回の授業のうち対面授業が14回、LMS授業が1回となっていまが、LMS授業の実施日については後日、授業の中でお知らせします。 また、今期の講義予定を不足なく実施するため、15回の授業とは別に、補講の形でLMS授業を行うことがありますのでご承知おきください。

授業内容

授業内容
第1回 大航海時代の幕開け
第2回 オランダ商業帝国の誕生
第3回 イギリス東インド会社とキャラコ熱
第4回 イギリス産業革命と三角貿易
第5回 アジアの植民地化
第6回 武士の戦闘準備
第7回 日本の開国と近代西洋技術への挑戦
第8回 明治政府の産業政策
第9回 明治日本の産業革命(製鉄)
第10回 明治日本の産業革命(造船)
第11回 明治日本の産業革命(海運)
第12回 明治日本の産業革命(生糸)
第13回 明治日本の産業革命(綿糸)
第14回 明治日本の産業革命(石炭)
第15回 まとめ