ゲーム論Ⅰ
担当者小島 寛之教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECT-401

授業の概要(ねらい)

 ゲーム理論は、ゲームでの戦略とプレーの結果として行き着く結末を分析する分野である。諸君は、「ゲーム」というと、ファイナルファンタジーやオンラインゲーム、あるいはトランプや将棋、はたまた野球やサッカーを思い浮かべることと思うが、それらもすべてゲーム理論の分析対象である。しかし、これらのゲームは構造があまりに複雑で、ゲームと戦略そのものを定義するだけでも膨大な時間を要する。したがって、ゲーム理論では、これらの広汎なゲームのエッセンスだけを抽出し、もっと単純な構造のゲーム(例えば、じゃんけんのようなゲーム)に還元させて分析する。
 ゲーム理論は、フォン・ノイマンとモルゲンシュテルンが1944年に提示してから、多くの分野に波及し、現在では数学、経済学、生物学、統計学、心理学、法学、政治学など様々な分野で研究されている。本講義は、経済学部での講義であるため、経済分野への応用を見据えて構成することとする。例えば、寡占競争、オークション、貿易問題、賃金契約、金融政策など幅広い問題がゲーム理論によって分析可能である。
 ゲーム理論は、全体としては高度に数学的であるが、そのコンテンツ自体は身近なものであり数学的な基礎がなくても十分に理解できる。本講義では、教科書『世界一わかりやすいミクロ経済学入門』を使って、全く数学の知識を前提とせず、ゲーム理論の面白い部分だけを習得していただく。
 ゲーム理論は、おおまかに分けると、戦略型ゲーム(ワンショットのゲーム)と展開型ゲーム(手番で進行するゲーム)の二種類がある。前期には、教科書の第7講と第8講にある展開型ゲームを講義する。講義内容は、展開型ゲームの定義、ゲームの木、部分ゲーム完全均衡、逆向き推論などを、コイン取りゲーム、両性のバトル、タカ・ハトゲームなどを使って解説したあと、現実的な応用として、「石油の自由化」と「航空会社の参入失敗」を分析する。

授業の到達目標

 展開型ゲームの記述の仕方と逆向き推論の使い方を理解すること。ゲームの均衡を使って、現実の事例を分析できること。

成績評価の方法および基準

 毎回の小テスト(20%)と中間テスト(30%)と期末テスト(50%)の合計によって評価する。カードリーダーのクリック回数、小テスト・中間テストの受験回数が不足の場合、期末テストの受験資格を与えないので注意すること。就活は欠席の理由として認めない。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 世界一わかりやすいミクロ経済学入門小島寛之講談社
参考文献

準備学修の内容

 LMSに毎週、復習のための宿題をアップロードするので、次の講義までに60分程度で解答しておくこと。

その他履修上の注意事項

 講義は、スライド画面で行うので、ノートを取るゆとりはない。教科書『世界一わかりやすいミクロ経済学入門』を見ながら講義を聴く形式になるので、教科書がないと講義を理解できない。2回目の講義までに、必ず教科書を入手しておくこと。
 毎回、小テストを実施する。小テスト受験に対し加点、未受験に対しペナルティを与える仕組みなので、必ず毎回受験すること。カードリーダーのクリック回数、小テスト・中間テストの受験回数が期末テストの受験資格に関わるので、必ず初回の講義を受講し、単位取得の要件を確認の上で履修登録すること。就活には配慮しないので、就活で欠席が多くなる学生は履修しないこと。

授業内容

授業内容
第1回 講義ガイダンス+ゲーム理論の概要+
 教科書第7講p103~p107:ゲームの構造とゲームの木+小テスト
第2回 教科書第7講p107~p109:戦略とはどういうものか+小テスト
第3回 教科書第7講p100~p111:ゲームの均衡+小テスト
第4回 教科書第7講p111~p115:逆向き推論と部分ゲーム完全均衡+小テスト
第5回 補充教材:部分ゲーム完全均衡の中国史への応用+小テスト
第6回 教科書第7講p115~p122:コイン取りゲームの必勝法+小テスト
第7回 教科書第8講p127~p130:石油自由化をゲームに仕立てる+小テスト
第8回 (オンライン)宿題の解答+中間テスト
第9回 教科書第8講p131~p135:参入ゲームの均衡と価格の役割+小テスト
第10回 補充教材:航空会社の参入ゲーム+小テスト
第11回 補充教材:ニッチ路線参入ゲームの均衡+小テスト
第12回 教科書第8講p135~p136:政府による産業の保護をゲーム化する+小テスト
第13回 教科書第8講p135~p136:裁量かルールか+小テスト
第14回 まとめプリント演習
第15回 展開型ゲーム理論のまとめ+期末テスト