担当者 | 寺川 隆一郎教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択必修 2単位 [経済学科] | |
科目ナンバリング | EDE-102 |
経済学という学問は、17世紀頃の西ヨーロッパで、全国的市場が確立したのを受けて誕生した。そのため、経済学は一貫して市場を研究の主題としてきた。市場のもつ、資源を効率的に配分し、新たな商品や生産方法を生み出す力は、どのように分析できるのか、また、市場取引の導入が社会関係を流動化し、すべてを貨幣で一元的に評価することは、人間社会の経済以外の側面にどのような緊張をもたらすのか。経済学の歴史を振り返ると、これらの疑問に論者たちが様々のかたちで回答を与えてきたことが分かる。
前期の「経済学概論Ⅰ」を踏まえて、本講義では、経済学の歴史に足を踏み入れ、市場と社会の関係についての、経済学の多様な洞察を学ぶことを目指す。
経済学の基本的な考え方である市場メカニズムの理論を理解したうえで、その可能性と限界を意識できるようになる
失業や貿易、景気変動、環境といった経済と社会の境界領域については、経済学の内部でも多様な立場(学派)が存在することを理解する
平常点10%、LMSで受験するオンラインの内容確認テスト(毎回)50%、期末テスト40%。合計60%以上で合格とする。平常点は、任意提出のリアクションペーパー(こちらもLMS上で提出)の内容で評価する。リアクションペーパーについてはLMS上でフィードバックを返す。よいリアクションペーパーとは、授業内容を踏まえ、独自の考えが書かれているものである。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | |||
参考文献 | 『経済思想史入門』 | 松原隆一郎 | ちくま学芸文庫 |
参考文献 | 『経済学の名著30』 | 松原隆一郎 | ちくま新書 |
講義資料はLMS上に開講曜限の2日前に毎週アップロードする。事前に目を通し、よく分からないところに印をつけるなどすることを推奨する(30分/週)。
授業後は講義で学んだ内容を、目にするニュースや、自分の身近な出来事に当てはめると、どうなるのかを考えてみること。その時に気づいた疑問点や発見が、リアクションペーパーを書く際の材料になる。時間の目安は以下の通り。復習(45分/週)、経済ニュース・参考書の視聴・講読(15分/日)、リアクションペーパー執筆(60分/週)。
講義では、日々の経済ニュースの前提にある、基本的な考え方を解説する。新聞やインターネット、テレビで経済ニュースに意識して触れるようにすると、より理解が深まるだろう。
回 | 授業内容 |
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第1回 | ガイダンス |
第2回 | 市場メカニズムの理論①ー新古典派と天体力学 |
第3回 | 市場メカニズムの理論②ー市場メカニズムの数理的解明 |
第4回 | 市場メカニズムの理論③ー新古典派の核心とその功罪 |
第5回 | スミス①ー人と時代 |
第6回 | スミス②ー『道徳感情論』:社会秩序を「同感」で読み解く |
第7回 | スミス③ー『国富論』:スミスの経済成長論 |
第8回 | スミス④ー総合知としての政治経済学 |
第9回 | ケインズ①―人と時代 |
第10回 | ケインズ②―「非自発的」失業の解明 |
第11回 | ケインズ③―『一般理論』:有効需要の理論 |
第12回 | ケインズ④―『一般理論』:投資水準決定理論 |
第13回 | ケインズ⑤―『一般理論』:流動性選好利子論と不確実性の問題 |
第14回 | ケインズ⑥―『一般理論』:不安定化する資産市場とケインズのヴィジョン(LMSによるオンデマンド形式) |
第15回 | まとめと期末テスト |