担当者 | 財津 康司 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [心理学科 2017年度以前] | |
科目ナンバリング | CLI-311 |
2036年になると3人に1人が65歳以上の高齢者になると推計されている。また認知症患者数も増加傾向にあり、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると見込まれている。さらに、ほとんど外出しない閉じこもりの高齢者は10%以上とも推測され、年齢とともに増加していく。一方、健康寿命は、2013年の統計で男性が71.19年、女性が74.21年であり、近年延び続けている。高齢者の雇用者数の割合も上昇傾向にあり、内閣府の調査でも働けるうちはいつまでも働きたいと希望する人が28.9%と最も多かった。一口に高齢者と言っても、その差は想像以上に大きい。高齢者の心理臨床は多様な心理・社会的なテーマを抱えている。
一般に高齢者になると、脳は老化し認知機能が低下していく。それに加え、退職や近親者との死別、経済的不安や家族関係における葛藤、老いや死と直面する不安や孤独感など、高齢者特有の心理的課題は多い。また認知症や身体疾患を発病すると様々な精神症状を合併しうる。本講義ではこのような高齢者固有の問題を心理学的に理解するために必要な知識や理論を整理し解説していく。また、実際の臨床場面を想定したモデルケースを提示し、それについて心理学的、生物学的、社会的な視点を交えながら考察していく。複雑で多様な高齢者の心理臨床への理解を深め、実際の心理臨床への基本的な考え方を身につけることがこの講義の目標である。
高齢者の心理的特徴や生理学的変化、社会的背景を概説できる。
高齢者の心理臨床に関わる基本的な理論を説明できる。
高齢者の心理臨床に関して、心理学的に考察できる。
期末レポート70% 出席状況30%
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 「現代心理学シリーズ14 老年心理学」 | 下仲順子編 | 培風館 |
参考文献 | 『臨床家のための精神医学ガイドブック』 | 池田健著 | 金剛出版 |
参考文献 | 「よくわかる高齢者心理学」 | 佐藤眞一・権藤恭之編著 | ミネルヴァ書房 |
参考文献 | 専門医が語る認知症ガイドブック | 池田健・小阪憲司著 | 金剛出版 |
参考文献 | 金閣を焼かなければならぬ | 内海健著 | 河出書房新社 |
テキストの次回授業範囲を一読し、問題意識をもって授業に臨むことが望ましい。また、日ごろから身の回りにいる高齢者に触れ合うよう心がけること。マスメディアなどを通じて、高齢者の抱える問題に関して知識を深めるよう努力しておくこと。
心理臨床やカウンセリング、医学全般に関心のある学生にはぜひ選択してほしい。特に将来心理臨床家を目指す方にとっても、実践的な講義を目指し、「予備知識がありすぎること」のデメリット、「何も知らないが高齢者に対する尊敬の念を持つことの大切さ」にも触れてゆく予定である。
毎回授業の冒頭に小レポート(リアクションペーパー)を配布する。授業やテキストの内容を踏まえ、心理臨床場面を想像し自由に記述して構わない。授業の最後に提出し、評価対象の一部とする。
回 | 授業内容 |
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第1回 | オリエンテーション/高齢者心理学研究の歴史 |
第2回 | 高齢社会の到来 |
第3回 | 高齢期の健康、身体疾患 |
第4回 | 高齢期の精神疾患・認知症 |
第5回 | 高齢期の精神疾患・気分障害他 |
第6回 | 高齢期の感覚、知覚機能の加齢変化 |
第7回 | 高齢者の記憶/知能と加齢 |
第8回 | 人格と加齢/高齢期の適応 ※オンライン授業 |
第9回 | 高齢期の家族/高齢期の対人関係と社会生活 |
第10回 | 死と死にゆく過程 |
第11回 | 高齢者を対象とした心理テスト |
第12回 | 高齢者を対象とした心理療法 |
第13回 | 高齢者への心理療法の実際〜身体疾患との関係 |
第14回 | 高齢者への心理療法の実際〜喪失体験への対処 |
第15回 | まとめ |