この講義の対象である美術作品や文化遺産は、人類が長い歴史の中で創造してきた美の視覚的体現であるのと同時に、貴重な歴史資料であり、それに触れることは歴史の追体験につながります。それらの資産が、先人の労苦によって現在にまで伝えられたことに感謝するととともに、それを次の世代に伝えることが私たちの責務です。このような文化遺産を尊重する気持ちを土台に、将来この分野で活動することを目標に、実学としての文化遺産の研究・保護・活用について学びます。講義では、我が国における文化財保護制度、世界遺産、文化遺産の保存、文化遺産の活用が中心的なテーマになります。この授業はそれぞれの分野に経験と実績を持つ4人の教員によって実施します。
美術史・文化遺産概説Ⅱは美術史内容の「美術史・文化遺産概説Ⅰ」とともに履修することによって、「美術史・文化遺産概説」の必修4単位となることに注意してください。
文化遺産はなぜ護らなければならないのか、貴重である理由、個々の文化遺産の歴史的背景をしっかり認識し、その保全のためにどのような活動が行われ、どのような保護制度が整えられてきたか、そして文化遺産の保護の重要性を理解することをめざします。
(1)3回の課題レポート(50%)
(2)学期末試験(50%)
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | なし | ||
参考文献 | なし |
文化遺産についてはテレビ番組も多く、文化庁やユネスコが運営する充実したWeb Siteもありますので、それらを利用してさまざまな文化遺産に触れてください。旅行をする機会があれば、目的地にどのような文化遺産があるかあらかじめ調べ、その現状を批判的に把握するよう努力することも有益です。また、美術館や博物館にも足を運び、美術作品や工芸品を間近に、自分の目で見てください。
美術作品や文化遺産を楽しみつつ、その保護や活用について学んでいただきたい思います。
回 | 授業内容 |
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第1回 | オリエンテーション(山内) 授業目的、授業方法、成績評価、課題レポート等 |
第2回 | 日本の文化財保護制度1(牧野) |
第3回 | 日本の文化財保護制度2(牧野) |
第4回 | 日本の文化財保護制度3(牧野) |
第5回 | 日本の文化財保護制度4(牧野) |
第6回 | 世界遺産1(山内) |
第7回 | 世界遺産2(山内)(オンライン) |
第8回 | 世界遺産3(山内) |
第9回 | 文化遺産の調査と保存―技法・材料調査1(藤澤) |
第10回 | 文化遺産の調査と保存―技法・材料調査2(藤澤) |
第11回 | 文化遺産の調査と保存―技法・材料調査3(藤澤) |
第12回 | 文化遺産の保護と活用1(山田) |
第13回 | 文化遺産の保護と活用2(山田) |
第14回 | 文化遺産の保護と活用3(山田) |
第15回 | まとめと学期末試験(藤澤) |