関係行政論
担当者元永 拓郎教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [心理学科 2018年度以降]
科目ナンバリングCLI-204

授業の概要(ねらい)

 公認心理師及び臨床心理士などの心理専門職が心理支援を行う場合に知っておくべき法律と行政的な施策、必要となる倫理について、この授業で議論する。心理支援は、①保健医療分野、②福祉分野、③教育分野、④司法・犯罪分野、⑤産業・労働分野の5分野に大きく分けることができる。また、これらの分野をまたいで横断的に対応する必要がある心理支援もある。発達障害や自殺、虐待などの課題である。さらに、5分野に含まれない、その他の分野として、施設開業の心理相談室等の活動もある。これらの心理支援を行う上で、どのような法律が関係するのか、法律も含めてどのような施策や制度が設定され展開されているのか、どのような歴史的経緯で法律や制度が構築されどのような課題を有しているのか等を学んでいく。また、これらの分野や課題別の法律や制度の基盤となる、日本国憲法や公認心理師法などの基盤的法制度やその理念への理解も重要となる。
 この授業では、心理支援を行うものが必ずしっておくべき法律と行政的な仕組みについて学修する。また支援を行う上での倫理についても取り上げる。さらに、一般企業に就職した社会人や地域生活を営むよき市民として知っておくとよい、心の支援に関する施策や住民サービスについても学ぶことになる。 具体的な事例についてディスカッションする機会も設け理解を深める。
 心理支援に関する法律や諸制度を学ぶことで、心理専門職を目指す人はもちろん、一般就職をする人も、将来社会人となった時によりよく社会参加していく上で、その知識や時代背景の理解が役立つであろう。家族や友人、知人が心理支援を必要とした時の諸制度の利用、家庭を持ち子育てをする際に受けることのできる行政、福祉、教育サービスへの理解を深めることで、自らの人生をよい形で展開することにも貢献するであろう。
 この授業は、心理学科のディプロマポリシーにある、「1.心理学の幅広い分野にわたる、こころに関する知識や法則を理解できる」「3.こころに関わる様々な問題に実践的な解決を与えうる、柔軟な思考能力と実践力を有する」の獲得に向けて位置づけられている。特に、人生の様々な困難な局面に直面した際にどのような法律および制度を、我々社会が構築し取り組もうとしているかについて焦点をあてた重要な選択科目となる。
 なおこの科目は、公認心理師になるために学部で履修が求められる25科目のうちのひとつである。

授業の到達目標

 1)臨床心理学的支援と関連する法律や制度の概説ができる
 2)心の支援に関する諸政策の展開を行政の動きも含め説明できる
 3)心の支援に関する倫理的課題について論点を説明できる。
 4)よき市民として生活する上で心の支援に関する住民サービスの利用について意見を持つことができる

成績評価の方法および基準

 小テスト20%、レポート30%、試験50%
 到達目標に達しているかを評価の基準とする
 授業を5回を超えて欠席した場合、試験を受けることができない。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書公認心理師の基礎と実践シリーズ-㉓関係行政論[第2版] 元永拓郎編(法律監修 黒川達雄)遠見書房
参考文献心の専門家が出会う法律[新版] 津川律子・元永拓郎 編著誠信書房
参考文献心理臨床における法・倫理・制度 津川律子・元永拓郎 編著放送大学教育振興会

準備学修の内容

 教科書の指定範囲(次回授業範囲等)について充分に読み込み、授業で提示した学習課題に目を通し、自分自身の意見をノート等に記述して授業に臨む必要がある。授業内で学んだことをふまえ、用意した記述からどう考えが深まったかを、小テストで確認したり、レポート課題を出すこともある。LMSを活用して、予習や復習課題等に取り組むことになる。

その他履修上の注意事項

 公認心理師及び臨床心理士として社会で活動する上で、関連する法律の知識と行政が行う施策の理解は必須のものとなる。また公認心理師及び臨床心理士の倫理について、基本的な事項を学ぶことは意義深い。
 心の支援に関する法律や制度、倫理を体系的に学ぶことで、社会人となった後に、心の支援を有効に利用することにつながる。また周囲の人に、そのような制度の活用を勧めることもできるであろう。よき社会人として生きるための基本的知識として、法律および倫理を位置づけることができる。

※2018年度以降の入学生には、公認心理師受験資格に必要な科目です。
 2017年度以前の入学生は、心理学科のホームページを参照してください。

授業内容

授業内容
第1回・ガイダンス
・法律と倫理の総論  *グループワークディスカッション
第2回・公認心理師法について
第3回・医療全般における法律と制度(保健医療分野①)
第4回・精神科医療における法律と制度 (保健医療分野②)
第5回・保健活動における法律と制度(保健医療分野③) *グループワークディスカッション
第6回・児童福祉における法律と制度(福祉分野①)
第7回・障害者における法律と制度(福祉分野②)
第8回・高齢者における法律と制度(福祉分野③) *グループワークディスカッション
第9回・教育における法律と制度 (教育分野①)
第10回・教育における法律と制度(教育分野②) *グループワークディスカッション
第11回・非行矯正における法律と制度 (司法・犯罪分野①)
第12回・犯罪及び犯罪被害における法律と制度(司法・犯罪分野②)
 *民事における法律と制度を含む
第13回・産業労働における法律と制度 (産業・労働分野)
第14回・ いのちに関する法律と制度、倫理(オンライン)
第15回・まとめと展望