憲法特講Ⅱ
担当者鬼頭  誠教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2018年度以降]
科目ナンバリングPUL-202

授業の概要(ねらい)

 日本国の基本法中の基本法である憲法は、国会で成立する法律とは異なり、主権者の国民に制定・改正する権利と義務があります。それを理解することに講義のねらいがあります。
 日本国憲法は世界各国の憲法の中でも異例の長期間、1947年に施行されて以来今日までの75年間、細かな勘違いミスも含め当初から多くの不備・間違い、また、時代の変遷に伴う改正すべき問題があるにかかわらず、政治家や研究者らの怠慢と無関心によって、一言半句も直されずにきました。
 憲法に用いられている日本語は1946年当時の「現代口語」ですが、75年も経った現在は一般国民には読めない漢字等が1,000字以上満載の状態。ハンディなポケット六法は出版社側が便宜的に口語・常用漢字に書き換えているため、一見、改正がすんだような体裁だが、実は、原文、原本は古い体裁のまま。現代語・口語への改正は、緊要なる課題なのです。
 修正・改正がなされない最大の原因は、憲法制定権力者である国民に主権者意識が希薄なことでしょう。講義を通じて、履修者にその現状を体感してもらいたいと考えています。
 憲法は、国会議員たちが制定する民法や刑法などの法律とは次元が異なります。憲法は「国民投票」、つまり、わたしたち国民の判断で改正されます。したがって、普通の国民であっても、全103か条の現在の憲法各条に、9条以外にも、目を通し、大まかでもある程度は内容を知っていることが望まれます。一般職の公務員、警察官・消防官・自衛官の試験でも頻出する憲法問題。就活・試験に役立つ知識を培うことも念頭に進めます。
 授業は毎回、録音録画され、履修登録した人は講義終了翌日から学期末まで、ポータルサイト(LMS=学習管理ソフト)で視聴することが可能です。
 
 憲法特講Ⅱでは、国会、内閣、司法、財政、地方自治など政治機構の構造面を中心に勉強します。

授業の到達目標

 ①基礎的であって、かつ、発展的な講義内容の理解が深まる。
 ②主権者としての意識が向上する。

成績評価の方法および基準

 授業内レポートと授業での発言などの貢献50%、期末の試験に代わるレポート50%、最終的には総合評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書電子書籍『初学者が分かる解説日本国憲法』(2019年 読売電子書籍用テキスト)毎回LMSから配信します。読売新聞憲法問題研究会編 読売新聞東京本社
参考文献『憲法概説』(2017年)3,000円+税松浦一夫ほか編著成文堂
参考文献『憲法 第七版』(2019年)3,200円+税芦部信喜著・高橋和之補訂岩波書店
参考文献『世界の憲法を知ろう』(2016年)1,620円西修著海竜社

準備学修の内容

 LMS配信または配布によるプリントを中心に、授業のあったその日のうちに習ったことを確認しておきます。復習が中心ですが予習すれば興味が増します。この積み重ねを着実に実行しておけば、期末試験は比較的に楽なはずです。

その他履修上の注意事項

 シラバスは目安で、適宜変更することがあります。近年まで政治・外交・憲法担当の新聞記者でしたので、日々の新聞報道を活用した授業を心がけます。
 万一、授業を欠席した場合には、録画された授業をLMSで視聴することができ、欠席分の穴埋めをすることが可能です。
 授業中の行動はすべて就活に直結すると考えて、礼儀正しく、建設的、現実直視で授業に臨みましょう。

授業内容

授業内容
第1回 第9章 憲法改正、 憲法制定前史、 憲法第3章 人権=春学期に到達しなかった各条文
第2回 第3章の刑事手続きに関する条文(31~40条) 改正の検討
第3回 第4章 国会の運営、二院制(政党、選挙制度) 改正の検討
第4回 第5章 議院内閣制度(首相公選、大統領制) 改正の検討
第5回 非常事態 改正の検討
第6回 第6章 裁判所(裁判員制度、国民審査、検察審査) 改正の検討
第7回 違憲立法審査
第8回 憲法裁判所 改正の検討
第9回 第7章 財政 改正の検討
第10回 第8章 地方自治(「地域主権」「地方分権」) 改正の検討
第11回 条約、憲法附属法 改正の検討
第12回 憲法改正(改正要件)
第13回 新しい条文案、各国例
第14回(オンライン授業) おさらいと改正案の試作をてほどきする
第15回 おさらいと授業内試験に代わるレポート(複数課題の中から1テーマを選ぶ)