日本経済入門Ⅰ
担当者岡本  勉教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングECP-101

授業の概要(ねらい)

 コロナ感染で、テレビのワイドショーは、キャスターもコメンテーターも、口をきわめて、政府の対策を
批判しています。批判するのはいいのですが、その内容がめちゃくちゃです。たとえば、同じワイドショー
で、キャスターが「政府の対策が遅い」「もっと厳しい対策が必要だ」と言ったかと思うと、そのすぐ後で、
「政府の自粛要請で飲食店の経営が厳しくなっている」という現場中継をします。
 よく考えると、無茶苦茶でしょう?
 経済学的に言うと、コロナ対策と経済の活性化が、「トレードオフ」の関係にあります。
 究極のコロナ対策は、日本人がみな家にこもり、絶対外出しないことです。
 一方、経済を活性化するには、日本人がこぞって外出し、食事をし、買い物をするのが効果的です。
 コロナ対策と経済の活性化は、両立しないわけです。これを「トレードオフ」と言います。
 テレビのワイドショーは、コロナと経済がトレードオフにあることを理解していません。
 そして実は、トレードオフの状況は、大変批判しやすいのです。
 政府がコロナ対策を優先すれば、「経済はどうした!」と批判すればいい。
 経済を優先すれば「コロナが広がってもいいのか」と批判すればいい。
 ワイドショーにとっては、これほど、番組を作りやすい状況はないのです。
 言い換えれば、これほど、無責任な話はありません。
 大学は、最高学府と呼ばれ、教育体系の頂点に位置します。その大学で学ぶ私たちが、無責任なワイド
ショーにうかうかと乗るようでは、はずかしい。
 私たちは、事実を知らないまま、テレビに引っ張られて批判したり非難したりすることが、しばしばあります。
 事実を知らないで、ただ批判だけするというのは、無責任です。
 読売や朝日、日経、産経のような新聞は、ワイドショーとは違い、毎日、しっかりしたニュースを報じています。
 テレビでも、NHKは、朝7時、正午、夜7時に、ニュースを放送しています。
 新聞もNHKも、まず、政治、経済のニュースから報じます。君は、そのニュースが理解できますか? 
 帝京大学に入り、経済学部の1年生になった君に、あるいは、進級して2年生、3年生、4年生になった君に、
経済の基礎、とくに日本経済の過去、現在を知ってもらう。
 経済学部の学生としてはずかしくない知識と考え方を持ってもらう。それが、この講義の狙いです。
 1年後には、この講義を聴くすべての君たちが、新聞やNHKのニュースが分かるようになったと言えるようにした
いと思います。

授業の到達目標

 講義は、春学期のⅠと、秋学期のⅡに分かれます。
 春学期は、日本経済の基礎的な知識を学びます。
 「そうか、経済って、おもしろいんだ」「そういうことだったのか」と理解することを目指します。
 秋学期は、春学期より一歩踏み込んだ内容を学びます。
 そして、新聞やNHKのニュースが、「なるほど、そういうことか」と分かり、ニュースの内容を、
君が、君の家族に説明できるようになることを目指します。

成績評価の方法および基準

 講義では、毎回、その回の講義を聴いた感想を書いてもらいます。
 あるいは、毎回、講義に関連した課題を出し、その場で答えを書いてもらいます。
 それを通じて、普段の評価とします。
 コロナの感染状況によって、万一、オンライン講義になった場合は、音声による解説と、
文字で書いた資料を帝京大学のLMSにアップします。そして、最後に、毎回、課題を付け
ます。課題の提出で、その回の出席とします。
 最終回の15回目を授業内試験とします。
 最終的には最後の試験の成績で評価をします。ただし、5回の講義・試験のうち、
最低でも10回出席してください。10回以上出席しないと、単位は出せません。
 当然ですが、10回以上出席しても、試験を受けないと単位は出せません。
 

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 新聞、テレビ、あるいはネットでもかまいませんが、毎日のニュースを、しっかりウオッチしてください。
 新聞を取っている人は新聞を読み、取っていない人は朝か夜のNHKニュースを見るよう、心がけてください。



教科書 特定のテキストは使用しません。
参考文献
参考文献 適宜紹介する。

準備学修の内容

 経済は、すべてのことの土台になります。経済は、政治、国際、社会のすべての分野に関係してきます。
 スポーツにも経済が関係します。例えば、東京五輪が、なぜ最も暑い真夏に開かれたか、知っていますか?
 実は、夏の五輪には、経済が関係しています。
 君は、ニュースの渦巻く世界で生きています。
 いま、日本と世界で、何が起きているのか、日々のニュース、あらゆるニュースにしっかり関心を持ってください。

その他履修上の注意事項

 第一に、この講義は、大きなニュースが発生すれば、そのニュースをテーマにして進めていきます。
 一応、講義の内容をシラバスとして書いていきますが、ニュースの状況によって、シラバスとは関係
のない講義とすることも、しばしば、起きると思います。
 そのため、この講義は、必ずしも、シラバス通りに進むとは思わないでください。
 このシラバスは、あくまで、ひとつの参考として考えてください。

 第二に、この講義のためのノートを一冊、用意してください。
 小さなノートではだめです。 大きなノート、A4サイズのノート、いわゆる大学ノートを用意してください。
 授業でも話しをしますが、いま、日本も欧米も、書類は、A4が正式な規格です。
  講義の内容を、しっかりと、ノートに取ってください。
 そして、大事なことは、講義ごとに1冊ずつ、ノートを取ることです。
 日本経済入門で1冊、ライフデザインで1冊、ほかの経済の科目でも1冊ずつ、です。
 1冊のノートに、いろんな講義の内容をごちゃごちゃに書き込んではいけません。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス
 大学での心構え、勉強の仕方、講義の進め方などを、説明します。
 
第2回コロナ対策のお金はどこから出ているのか?
 日本では2020年1月に、初めてのコロナの感染が確認されました。
 その後、政府は、コロナに対応するためのたくさんの政策が打ち出してきました。
 君たちにも関係したのは、2020年、国民一人ひとりに配られた10万円です。
 テレビのワイドショーでは、それを、決定が遅いとか支給が遅いとか、さんざんに批判していました。
 君たちも、ワイドショーを見て、政府を批判したかもしれません。
 では、問います。
 その10万円、政府は、どうやって調達したのでしょうか?
 それを知らなければ、政府を批判しても、まったく意味がありません。
 あの10万円は、政府が補正予算案というものを作成し、国会に提出して、与野党で審議し、国会で可決して、
ようやく、財源が確保できたのです。
 それだけの手続きをすると、当然、時間がかかります。
 でも、それが、民主主義です。
 そのことを、理解してもらいます。
第3回世界における日本のポジションを知っていますか?
 今回と次回で、日本経済の基本的なデータを確認してもらいます。
 日本は、世界経済でどんなポジションにあるでしょうか。
 各国の経済の大きさを比べるには、どうすればいいでしょうか。
 日本は、実は、GDPで見て、いまも世界第3位の経済大国です。
世界における日本の位置を知ってもらいます。
第4回日本は広い海洋国家であること
 日本は面積的に小さな国と見られることがありますが、それは、とんでもない誤解です。
 日本の面積は37万㎢あり、ドイツやイギリスより広いのです。
 北海道だけで、韓国と同じぐらいの面積があります。ちょっと驚くでしょう?
 日本は島国というイメージもありますが、逆にいうと、海が広大です。
 排他的経済水域(EEZ)は、世界の第6位という広さです。日本は広い海洋国家です。
 日本についての誤解を払拭してもらいます。
第5回東京五輪はなぜ真夏に開かれたか? 1回目
 2021年の東京五輪は、コロナ禍をはねのけて、無事、開かれました。
 しかし、なぜ、東京五輪は、暑い暑い7月から8月にかけて、開かれたのでしょう。
 前回、1964年の東京五輪は、日本のベストシーズン、10月に開かれました。
 それがどうして、2021年は、7月、8月なんだろう。
 それは、五輪を取り巻くお金の事情が絡むからです。
 いまや、五輪は、経済の動きによって、動くようになりました。
第6回東京五輪はなぜ真夏に開かれるのか? 2回目
 国際五輪委員会(IOC)は、そう簡単には、五輪の開催を中止しません。
 なぜか?
 中止すると、IOC に入るお金、収入が激減するからです。
 もちろん、お金だけではありません。
 ほかにも、五輪が夏になってしまう原因がいろいろあります。
 五輪は、すっかり変質してしまいました。
 その背景を探ります。 
第7回コロナと日本経済
 コロナの影響で、日本経済は、成長が鈍化しました。
 では、経済の成長は、どうやって計測するのでしょう?
 それがGDP(国内総生産)です。
 日本のGDPの中身は、どうなっているのか?
 コロナで、GDPは、どう減ったのか?
 そして、どう回復しているのか?
第8回コロナと日本の財政
 コロナで景気が落ち込み、政府は、コロナ対策だけではなく、大きな経済対策を何度も打ちました。
 経済対策の中身を、君は、知っていますか?
 対策には財源が必要ですが、その財源を、政府は、どうやって確保するのでしょう?
 テレビのワイドショーは、無責任ですから、その財源のことも知らずに、政府の対策を批判します。
 結論からいうと、経済対策の財源は、国債を発行して調達します。
 国債を出すと、日本の財政赤字は、増えます。コロナで、日本の財政赤字は、拡大してしまいました。
 対策を打つのも、大変なんですよ。
 その実態を見ます。
第9回日本の財政赤字
 日本の財政赤字が大きいということを、君たちも、よく聞くと思います。
 では、赤字は、どのぐらい大きいのか。
 世界各国は、どうなっているのか?
 それを勉強します。
第10回日本と少子高齢化 1回目
 日本は少子高齢化だということを、ニュースでよく聞くと思います。
 でも、日本の総人口は、いま何人いるか、知っていますか?
 出生率って知ってる?
 少子高齢化、少子高齢化というけれど、説明してよ、と言われると、説明できないでしょう?
 その実態を学びます。
第11回日本と少子高齢化 2回目
 団塊の世代という言葉を聞いたことがありますか?
 第一次ベビーブームと、第二次ベビーブームのことを聞いたことがありますか?
 日本はどうして子供の数が減ってきたのでしょう。
 じゃあ、世界各国は、どうなっているのでしょう。
 そもそも、日本って、本当にそんなに人口少ないの?
第12回年金は不足するのか?
 若い君たちに、年金の話は、まだピンと来ないかもしれません。
 しかし、老後の生活に、年金だけではどうしてもお金が足りないという話を聞くでしょう?
 本当にそうなんだろうか?
 そもそも、年金って、何?
 年金が足りないって、そもそも、どういうこと?
第13回GAFA
 経済は、冒頭に述べたように、幅広い分野を扱います。
 今回は、がらりと趣を変えて、GAFAをやります。
 君は、GAFAが何を意味するか、分かりますか?
 GAFAって、何?
 日本にはGAFAはあるのだろうか?
第14回G7サミット
 毎年、だいたい夏前に、G7サミットという国際会議が開かれます。
 G7サミットという言葉を聞いたことがあると思います。
 では、G7って、何でしょう。
 日本はG7サミットがスタートしたときから、重要な一員です。
 G7サミットに入りたいという国も少なくないのですが、G7サミットって、入れるの?
 G7サミットの歴史と現状を学びます。
第15回まとめと試験
 最終回の15回目は、期末の試験をします。