出版文化論Ⅰ
担当者影山  亮
単位・開講先選択  2単位 [社会学科]
科目ナンバリングSOC-229

授業の概要(ねらい)

 この授業では明治後期から大正期、昭和初期の雑誌・新聞メディアについての講義を行う。
 出版というと、とりわけ単行本をイメージすることが多いだろう。また文学研究の領域においては、作品そのものの読解にのみ力点を置いた方法が目立ってきた。しかし、単行本書き下ろしといった特殊な例を除けば、作品は同時代に流通していた雑誌や新聞に掲載されて読者の眼に触れる。文学研究は作品を現在の視点からだけでなく、〈書かれ〉、〈流通し〉、〈読まれた〉時代に即して読解することが重要である。そこで実際に流通した雑誌・新聞そのものに着目することで、そこに掲載された作品や作家の意味合いを、歴史的、社会的、文化的な文脈から考察する。
 具体的には授業計画にある雑誌・新聞を予定しているが、変更もあり得る。

授業の到達目標

 実際に出版流通してきた〈初出紙誌〉に注目することで、日本における出版文化への知見を深める。同時に基礎的な情報を質的、あるいは量的観点から調査・分析することで、多角的な視点を養う。さらに日本の近代史の歩みとも重なる文学史について深く学ぶことで、国際社会で通用する文化を発信する力の修養を目指す。また卒業論文の執筆や、他の授業においても汎用可能な調査能力、フィールドワークスキルの向上を目標とする。

成績評価の方法および基準

 期末レポート(60%)と授業内リアクションペーパー(40%)。ただし出席率も加味して総合的に評価。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書なし。教員側でレジュメ、適宜パワーポイント等を用意する。
参考文献

準備学修の内容

 対象となる時代の歴史的事項や、発表された作品について年表などをもとに知識を得ておくこと。事前に読んでおくことを指示された資料等には、目を通しておくこと。

その他履修上の注意事項

 電子媒体による調査だけでなく、可能な限り雑誌・新聞の実資料に触れてみることが望ましい。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス
第2回『読売新聞』と家庭小説
第3回『朝日新聞』と夏目漱石
第4回『早稲田文学』(第2次)と自然主義
第5回『白樺』と白樺派
第6回『三田文学』と永井荷風・谷崎潤一郎
第7回『新思潮』(第4次)と芥川龍之介・菊池寛
第8回『大阪毎日新聞』『東京日日新聞』と新聞連載
第9回『講談倶楽部』と講談速記
第10回『大衆文芸』(第1次)と長谷川伸・白井喬二
第11回『少年少女譚海』と山手樹一郎・山本周五郎
第12回『新青年』と江戸川乱歩
第13回『キング』と大衆社会
第14回『日の出』と新潮社
第15回まとめ・その他の雑誌新聞について(オンライン授業・LMSによるオンデマンド形式)