担当者 | 稲田 尚子教員紹介 | |
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単位・開講先 | 必修 2単位 [心理学科 2018年度以降] | |
科目ナンバリング | SEM-201 |
毎日の生活の中で、困難な出来事・状況を完全に避けることは不可能であり、そのような困難な出来事に直面した際、ストレスや不安などの不快な内的体験が生じるのは必然的である。イライラする気持ちや不安な気持ちなど、そういった不快な内的体験をなんとか取り除こうと葛藤し、それらに過度にとらわれてしまうと、人は、自らの価値やこうありたいと思う自己とは一致しない行動をとりやすい傾向がある。一方、不快な内的体験に気づき、それらと距離をとることができると、こうありたいと思う自己の実現に有効な行動や、価値にそった行動が選択しやすくなるとされる。
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)とは、行動分析学に基づいた行動変容を促す手法である。「いま、この瞬間」自分の中にある思考や感情を受け入れながら(アクセプタンス)、自分自身が大切にしたいことに向かって行動パターンを作り上げる(コミットメント)ためのトレーニングである。本授業では、ACTに関する文献購読をし、各自の担当回について相手に伝わるプレゼンテーションを行う。ワークを通してACTの概要を体験的に学び、行動分析学の理論と関連づけてディスカッションを重ねていく。
1.論理的思考に基づき、相手に伝わるプレゼンテーションができる。
2.多様な人々と良好な関係を築くためのコミュニケーションスキルを活用できる。
3.実社会におけるこころの問題を解決するために、様々な分野・立場の人と協働することができる。
4.心理学的課題に対し、自分の意見をもち主張できる。
5.グループで協力して、心理学的課題に取り組むことができる。
プレゼンテーション30%、授業中のディスカッション40%、最終レポート30%
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門 | ラス・ハリス (著)岩下慶一 (訳) | 筑摩書房 |
参考文献 | よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)明日からつかえるACT入門 | ラス・ハリス(著)武藤崇(監修・翻訳) | 星和書店 |
発表のために文献の内容をしっかりと読み込み、分かりやすいプレゼンテーション資料を作ること。
準備は授業時間外に行う必要がある。
初回授業までに教科書を準備しておくこと。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 初回ガイダンス、発表者決め、行動分析学とは |
第2回 | 第1章 私たちは不幸になりやすいように進化してきた |
第3回 | 第2章 幸福の罠 |
第4回 | 第3章 本書の言うACT心理療法とは |
第5回 | 第4章 マインドフルネスとACT |
第6回 | 第5章 脱フュージョンが最も重要。思考と感覚を切り分ける。 |
第7回 | 第6章 アクセプタンスは我慢や諦めでは無く、現実を受け入れることで前に進むための行動をとる前向きなこと |
第8回 | 第7章 思考する自己と観察する自己 |
第9回 | 第8章 今に繋がる感覚を作るために。身体感覚に注目する。 |
第10回 | 第9章 まとめとレビュー |
第11回 | ACT関連論文の購読と批判的な論考 |
第12回 | ACT関連論文の購読と批判的な論考(オンライン) |
第13回 | ポジティブ心理学関連論文の購読と批判的な論考 |
第14回 | 様々なマインドフルネス・ワークの体験 |
第15回 | まとめと研究計画 |