担当者 | 稲垣 綾子教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [心理学科 2018年度以降] | |
科目ナンバリング | CLI-202 |
心理臨床の実践では、①クライエントが抱える、もしくはもちこむ問題やニーズを見立て(アセスメント)、②それに基づいた具体的なアプローチや介入につなぐことが求められる。さらに、③専門家として、実践に関する適切な記録を作成し報告することが求められている。心理的アセスメントは主に①、③にかかわるものだが、②での具体的なアプローチや介入を方向づける下地や導入部分にあたり、援助の道筋に影響を及ぼしていく。また、援助経過中も関与しながらの観察を通してその機能は常に発揮される。見立てやアセスメントは心理援助において欠かせない、大きな柱のひとつである。
本講義では、心理的アセスメントについての目的及び倫理、心理的アセスメントの観点と展開、心理的アセスメントの方法としての観察・面接及び心理検査、適切な記録及び報告の仕方の4点について学んでいく。これらを通して、心理的アセスメントについての基本的な理論、姿勢、知識、視点を身に付けていく。さらに、アセスメントにおける初歩的な技能を体験的に理解するため、ワークやロールプレイ、グループディスカッションなどのアクティビティに積極的に参加すること、内的体験を省み、言葉で表現するためのリアクションペーパーを提出することが求められる。将来専門家として、あるいは臨床心理学の具体的な視点として、問題やニーズ、リソースについて、全人的に(whole personとして)見立て、アセスメントする基礎を身につけていくことを目的とする。
1)心理臨床におけるアセスメント、見立ての機能とその構成要素を理解することができる。
2)当事者やクライエントを複眼的、総合的に理解するための視点を身につける。
3)生物―心理―社会モデルに基づく具体的視点と知識を修得し,問題の成り立ちを理解する。
4)自らを含む人のこころを理解するための態度・志向性を身につける。
試験50%、LMS課題50%
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | テキストは使用しない。 授業内で、適宜、紹介する。 | ||
参考文献 |
LMSにてレジュメ、資料を印刷して事前に目を通してから、授業に臨むこと。
授業内で行われるワークやロールプレイでは、自分や周囲の事柄をテーマにすることがある。当事者やクライエントを理解する上では、自分自身の特性、課題について客観的に理解する視点は欠かせない。受講の際は、この点を十分に承知の上、臨むこと。
また、真剣に学ぼうとしている他の学生の邪魔をしないこと(私語、携帯電話等の電子機器の使用など)。個人でのワークのみならず、ペアワーク・グループワーク等も予定している。主体的、積極的な参加を望む。
※ 2018年度以降の入学生には、公認心理師受験資格に必要な科目です。
2017年度以前の入学生は、心理学科のホームページを参照してください。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 講義ガイダンス・スケジュールと評価方法 |
第2回 | 心理的アセスメントの目的と倫理 |
第3回 | 心理的アセスメントの観点及び展開1:問題の成り立ちと理解 |
第4回 | 心理的アセスメントの観点及び展開2:知能 |
第5回 | 心理的アセスメントの観点及び展開3:発達の偏り |
第6回 | 心理的アセスメントの観点及び展開4:パーソナリティと発達課題 |
第7回 | 心理的アセスメントの観点及び展開5:対象関係からみた不安・抑うつ |
第8回 | 心理的アセスメントの観点及び展開6:家族・集団・関係システム |
第9回 | アセスメントと介入の実際-事例を通して目的・倫理・観点・姿勢を考える(オンライン授業) |
第10回 | 心理的アセスメントの方法1:臨床面接と観察1 |
第11回 | 心理的アセスメントの方法2:臨床面接と観察2 |
第12回 | 心理的アセスメントの方法3:心理テスト概論1(質問紙・作業法) |
第13回 | 心理的アセスメントの方法4:心理テスト概論2(投映法・描画法) |
第14回 | 演習:アセスメントレポート(適切な記録及び報告) |
第15回 | まとめ |